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負け悪役貴族に転生した俺は推しキャラである師匠を攻略したい  作者: えん@雑記


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201/420

第201話 ほかほかの金のメダル

門番の兵士が消えた事により俺達はそのまま進む。

 幸いというか、目撃者がいないようで騒ぎにはなってない。


 どこ行ったんですかね……と言うのは1人理由をしらないフォック君だ。説明はしないけどね。



「車通れそうだからそのまま進んで、建物の横に道あるでしょ?」

「わかりました」



 車のまま大きな門を抜けると手招きする男が現れた。

 筋肉ムキムキのブーメランパンツをはいている男だ。

 ああ……《《やっぱ、いるんだ。》》




「そこの馬なしの馬車! ここに止まれ!」

「む。なんじゃ?」

「ああ、アレなら知ってる……街の案内人の男ですよ」




 俺が師匠にそう言うと、フォック君が俺の方を見てくる。

 頼むからハンドル握っている最中に真横を見ないで欲しい。



「先生のお知り合いですか?」

「先生じゃないからね、知り合いじゃない。なんであんなビキニパンツ一丁の奴と知り合いにならんと」

「え、でも先生は知ってるって」

「先生じゃないからね知ってるってだけ」

「はぁ……」



 フォック君は変態の横につけると命令書を見せる。

 見せた後にニカっと笑いだす。



「待たせたな、門前に誰もいなかっただろ? ここからはオレが案内だ」

「え? いましたよ? ねぇ先生」

「………………いや、いなかった」



 フェック君が訂正をして俺に聞いてくる。

 もちろん門前には門番がいた。

 でも、こいつがいないって言うなら、いない方で進めたほうがいい。

 だってセリーヌが食べちゃった。っていえな…………は? いや待て! こいつが俺達にウソをつく理由が見つからない。



 俺は振り返ってセリーヌを見た。

 いやまさかそういう事なのか!?


 セリーヌの横に居た師匠もセリーヌを見ては眉をひそめている。

 気づいたのだろう。



「セリーヌお利口だからバレないようにしたの。でもその場にいた人は無理よ」

「………………次回から勝手にそれは辞めて」

「セリーヌ怒られちゃった」



 悪びれもせずに嬉しそうに喋るセリーヌに俺はドン引きだ。

 運転席のフォック君が俺を見て「先生何の話ですか?」と聞いて来た。



「訂正されるまで言うけど、先生じゃないからね。いや、気にしないで」



 以前セリーヌは『ばれなければいいのよね?』と何度か聞いて来た。

 その返しに何度か『バレなければね』と返事した気もする。


 そうセリーヌは誰にもバレないように、門番の《《存在を食べた。》》

 だからこそ、その場を見てない人間は門番の事など何も覚えてないのだ。


 覚えてない。と言うか最初からいなかった。と。


 まさに邪竜…………そんな事が出来るのか。と思ってしまうが俺もデバックルームとかそういう場所を見て来ただけに信じるかない。



「あと、あまり強い人には効かないの」



 セリーヌが残念そう俺に伝えて来てくれた。



「先生――!」

「いや先生じゃって何?」

「あのこの人が道案内をしてくれるって言うのですが車に乗せても……」

「施設の案内なら俺が知ってる。まっすぐ行くと小さい闘技場。左手は選手控え室。馬車のこの道をまっすぐ進むとゴールダン都市。右に進むと聖都に戻る。と。さらに聖王様がいる闘技場はゴールダン都市の大型闘技場でしょ?」



 俺の説明で案内人は黙ってしまった。



「そこまで知っているなら話は早い。しかしだ! ゴールダン都市に言ったとしても聖王には会えないだろう!」

「命令書があるんだけど?」

「ふ。命令書なド所詮は紙切れだ。現場がノーと言えば駄目なのだ」



 いや駄目でしょ。

 何のための命令書だよ。



「そこの筋肉だるま、何が言いたいんじゃ?」



 イライラした師匠が背後から案内人に文句を言いだす。



「なに、命令書1枚じゃ闘技場に行っても会えない。という事だ」

「回りくどいのじゃ」

「優勝すれば、会場である闘技場に入れるチケットがある!」



 なるほど。

 ようは、ここの前線基地で実力を示せば、ゴールダンの闘技場に入れるチケットが手に入る。という仕組みなのか。



「先生! ここはボクが出ます」

「先生じゃないし。それに君、さっき負けたよね?」

「それはその……じゃぁ先生が出るんですか? 確かに先生なら楽勝かと」

「違うからね……後は俺も出たくはない」

「わかったわセリーヌが全部食べればいいのね!」

「違う!」

「セリーヌ怒られたのかしら?」



 そこだけははっきり言っておく。



「ちょっと案内の人待ってもらえる」

「いつ、だれの挑戦でも受ける!」



 一方的で会話になってないような。

 まぁいいや。

 助手席を思いっきり背後に倒すと、椅子が座椅子のようになる。

 突然の行動で師匠が俺の顔を覗きむ感じで様子を見て来た。



「なんじゃ?」

「師匠ちょっと耳を貸していただければ」

「ふむ…………」



 寝そべっている俺に師匠の顔が近づくとクイっと横にしてくれて、先端が長い綺麗な耳にが見える。

 そっと耳の穴に息を吹きかけた。



「ふぅっ」

「んひゃ!!」



 師匠らしからなぬ声が聞けた。



「このドアホウ!! 死ね! 死ね!! 死んでしまえ!! ライトニング!!」

「冗談でっあばあばばばばばばばばばばばばばばばば」



 視界がチカチカとなって星が飛ぶ。

 世界が二重、三重にも見えて体全体がしびれまくる。


 体感10分ほど続いたかと思うとやっと痺れが無くなった。



「せ。先生……生きてますか?」

「先生じゃないからね。生きてるよ? 師匠! いきなり魔法を飛ばさないでください」

「この期におよんで……次同じ事してみろなのじゃ! 一生口をきかないなのじゃ」



 それは困る。



「いやだって、アレだけ綺麗な耳が合ったら誰でも息を吹きかけますよ、ねぇセリーヌ」

「セリーヌ、子供だからあなたのようは性癖はわらないわ」



 思いっきり大人びた口調で否定されてしまった。



「まぁ本題ですから、もう一回耳を」

「次やったら……」

「わかってますって」



 もう一回耳に息を吹きかけようか思ったけど、本気で口を聞いてくれなくなると寂しいので辞めた。

 そっと小声で話すと顔を離した師匠は俺を顔を見てくる。



「ほれ」



 師匠は自分のマジックボックスから杖を出して俺に手渡す。

 それを見たマッチョ案内人は凄い嬉しそうだ。



「ほう、魔法使いか。魔法使いといえど闘技場は大関係だ。さぁ試合の手――」



 師匠の杖にあるボタンをカチっと鳴らした。

 魔石に込められた魔力を放出するだけの技、師匠が切り札の1つとして使っていた武器だ。


 先端から魔力があふれマッチョ案内人の顔の横を通り過ぎ、ゴールダン前線基地の建物丈夫を吹き飛ばす。


 一応人が居なさそうな場所を狙っての一撃だ。



「――続きをしようで…………」

「俺達は急いでいる。面倒な試合には出たくない。でもゴールダンで聖王と会いたい。どうしても試合に出ろっていうなら、今の一撃を地下に向けて撃ってしまうかも。それで《《大事な物》》でも壊したらこまらない? もちろん俺は困らないけど」



 アレだけ笑顔だった案内人が真顔になった。

 俺と視線が合うと、ブーメランパンツの中から金色のコインを出して来た。



「通行メダルだ」



 通行チケットを手に入れた! いや、まだ手に入れてないけど。

 《《案内人でありながら前線基地責任者蒼のスターク》》が黙ってメダルを突き出している。



「いらないのか? 強者よ」



 誰も触りたくない。

 だってコイツの恰好はパンツ1枚だよ?

 もっこりした場所から金色のメダルを出したんだ、何か金色のメダルから湯気出てるし。



「せ。先生……どうぞ」

「先生じゃ……あっ先生命令でフォック君預かってくれ」

「うわぁ……」

「ドアホウそれは」



 運転席の後ろから避難の声が聞こえて来た。



「じゃぁ師匠かセリーヌ受け取って貰えます?」



 背後の文句が一切聞こえなくなった。

 フォック君は俺と師匠、セリーヌを交互に《《何度も見た後》》にハンカチを使ってメダルを受け取った。



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