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第195話 団らんしていただけなのに、厄介事はやってくる

 寒さも和らぎ師匠の家の周りの雪が少なくなった。

 暖炉の火の調整をしていた俺は薪をいれ部屋を暖かくしてからソファーに座った。


 その横では少し銀髪が戻り始めた師匠が本を読んでいる。

 ちらっとタイトルを見ると『馬鹿な弟子を殺す方法』と書かれたタイトルだ。


 うん。

 突っ込まないでおこう。



「なんじゃ? 読みたいならワラワが読んだ後でよかったら貸すのじゃ? 中々に面白い話じゃぞ? うざい弟子を殺すために師匠が奮闘する騎士の物語じゃ」



 どんな展開だ。



「いえ。大丈夫です」

「ふむ。朝食の準備が出来たらアレを起こして来いなのじゃ」

「うい」



 俺が立ち上がると、背後から『無責任な返事をドアホウは……』と文句が聞こえてくるが、それ以上怒ってこないで俺も気にしない。


 師匠の寝室に入ると、まだベットで寝ているセリーヌを起こす。

 毛布に包まって可愛らしい寝顔をしているが、第3の眼だけは俺を見ては金色の瞳を大きくさせる。



「セリーヌ。朝食」



 寝ていたはずのセリーヌが飛び起きる。



「本当!? 今日は何を食べさせてくれるのかしら? 昨日の晩はサンドイッチだったわ! その昨日のお昼もサンドイッチ。昨日の朝モサンドイッチだったわね。一昨日の夜もサンドイッチ……ねぇ……セリーヌ何か悪い事をしたかしら?」

「…………今日の朝もサンドイッチだ」



 楽なんだって。

 野菜スープと焼いたパン。

 チーズと各種野菜に、乾燥した肉を薄切りにした奴。


 サンドイッチといっても毎回同じ具材じゃないし、色々とバリエーションがある。


 それをテーブルに並べたら各自好きなように食べれるし。



「むぅ……美味しいけど、これだったら人間を食べに行ってもいいと思うの、お友達じゃなければいいのよね?」

「駄目でしょ。顔洗って、師匠が居間にいてまってるから」

「もう、意地悪はよくないとおもうのよね。まぁいいわベルお兄ちゃんおはよう」

「ああ、おはよう」



 師匠の寝室から出る。

 なんて言ったって小さいレディが着替えるのだ俺がいてもしょうがない。


 師匠に起こしてきました。といってテーブルに具材を並べる。

 最後にグラスを3つ用意した所で着替えをしたセリーヌが寝室から出てきた。

 そこで師匠も本をとしてテーブルに着く。


 サンドイッチに文句を言いつつもセリーヌは美味しそうに食べ、何度もお代りをしては口の中にパンを詰め込む。



「平和だ……」

「何じゃ突然」

「平和なのは良い事よメルママ」



 考えても見て欲しい。

 この数年、やっと師匠と同じ領地で暮らしまったりできてるのだ。

 請け負った依頼もない。

 問題事も起きなく、最後に問題を解決してから1ヶ月は立っている、なんで一緒にいるのか分からないがセリーヌとの暮らしも慣れてきた。



「で、何時までいるのじゃ?」



 師匠はハチミツティーを飲みながら口を動かした。

 驚きである。

 そりゃ、セリーヌがよくわからなくついて来たとは言え、小さい子供…………にしか見えないんだ。



「師匠! セリーヌに酷くないです? 何時までとか」

「ドアホウ、ワラワはドアホウにいったんじゃ。家が無いからと、かってに居間に住みおって……せめて小屋を外に作るとかなかったのじゃ?」

「追い出されるのはまさかの俺!?」

「ふふ、ベルお兄ちゃん驚きの真実ってやつね」



 セリーヌが嬉しそうで何よりだ。



「じゃなくて、え、内縁の夫で過ごそうと思っていたんですけど」

「馬鹿な弟子のままじゃな。内縁の夫を自称するなら夜這いの一つでも仕掛けてみるのじゃ、抵抗はするがななのじゃ」



 子供前で何てことを。



「師匠! セリーヌがいるんですから」

「いうて、何千年も生きる竜なのじゃ」

「ふふ、その時はセリーヌを起こしてね、成功も失敗もみてみたいわ」

「……ノーコメントで! 弟子が一緒に暮らす、いいと思うんですけどね」



 俺は野菜スープを飲み干し師匠に提案する。



「ワラワが読んでいる作品は、弟子はいずれ旅起つ。師と戦い物理的に死ぬか、師にかって旅起つでなのじゃ」

「どっちも嫌なんですけど」

「そうしたら死体はセリーヌにちょうだい。きっとおいしいと思うの」

「断る! 死ぬの決定で話さないで……別に週一で通う弟子でも良いんですけど、部屋汚くなりますよ」



 ここは仕方がない。

 こっちも最終手段のカードを使う。

 ずぼらな師匠は1人で暮らすとゴミ屋敷になるのだ。



「…………まぁもう少しいてもいいのじゃ」

「メルママはお片付けしないものね。全部食べちゃえばいいのに」



 そりゃなんでも食べるセリーヌは大丈夫だろう。

 一緒に暮らしていて古びた武器や割れた食器なども食べたのは驚いた。


 まるで吸引力の落ちない掃除機のよう。



「ベルお兄ちゃん、変な事かんがえない?」

「ぜんっぜん」

「ふーん」



 あぶない。

 男と違って女性は感が鋭いからな。


 朝食を終えて俺は食器を片付ける。

 師匠は散歩。その護衛というかセリーヌは付いて行った。


 魔力が戻りつつある師匠に、その師匠をしたってるセリーヌであれば遠出しても大丈夫だろう。


 食器を棚に閉まっていると家のドアノッカーが鳴った。



「はいはいは……」



 俺が扉を開けると思わず声が止まった。

 30代は越えている顔つきで金髪の高身長の男性。

 鋭い眼光で俺をにらみつけるように目線があった。



「何だ狗か……魔女はどこだ」



 帝国の第一皇子。アレキ・パール。

 強い奴が好きみたいな戦闘狂でクウガを義弟と言っては可愛がっている。


 先日の古代遺跡城で俺と敵対しては俺が勝った……のか? 


 まぁそんな相手で俺は会いたくない奴の1人である。

 もう一人はナイ。

 以前より顔見知りになったが、昔の俺の顔でヘラヘラと見てるだけで吐き気が来るぐらいに会いたくはない。



「師匠ならいない」



 俺は直ぐに扉を閉めて鍵をかけた。



「開けろ!」



 扉が強打してくるアレキ。

 それ以上叩くと壊れるから。


 俺は黙ってバケツに水をくんだ。

 この水は植木様に用意した水だ。



「一昨日きやがれ!」



 扉を開けて全力で水をかけた。

 師匠に。



「なっ!?」

「あっ……」



 てっきりアレキが居るのかと思っていたのに師匠にすり替わっていた。


 汚い水は師匠の顔へとかかる。

 髪や顔から滴る水は床へと落ちていく、その後ろではセリーヌがアレキに挨拶をしているのが見えた。



「家に鍵などかけおって……詳しい話も何も家の中でと……なのじゃ」



 師匠がぐったりした顔で俺を見ると、セリーヌを腰に付けたアレキが近寄って来た。



「狗のしつけぐらいしとくんだな魔女よ。で……オレの命令を聞け。不死の薬をよこせ」



 なんだか飛んでもない話が出てきたな……。

 


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