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負け悪役貴族に転生した俺は推しキャラである師匠を攻略したい  作者: えん@雑記


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第183話 権力ある友達

 舞台上では師匠が舞を踊っている。

 何時もの地味な魔女風のワンピースしか着てないというのに動きは素早く、ヒールから奏でる足音は心地よい。


 横を見ると皇女サンにドスケッベルが涙を流して感動していた。

 反対側でも祈るようなポーズをしているハッスルがいる。


 さすが呪われた靴と魅了のついたアミュレットだ。


 ………………にしても踊りが長いな。

 師匠の顔を見ると俺をにらんでいる。



「ドアホウ! あ、足が止まらんのじゃ!」

「多分足が満足したらとまるんじゃないんですかね?」

「ドアホウ!!」


 さらに30分はおどっただろう。

 演奏をする女性の弦が切れたと同時に師匠の動きも止まった。

 崩れるように倒れるので俺は慌てて支える。



「師匠大丈夫ですか?」

「ど、どの口が……覚えておけなのじゃ……足が……」



 師匠を抱きかかえて椅子に座らせると、美人姉妹が師匠のサポートに回った。

 タオルや水などを渡し、呪われた靴を脱がす。


 ………………師匠の履いた靴か。

 匂いとか嗅ぎたいとか言ったら流石に変態か? 

 こっそり持ち帰るってもある。

 あっでも、洗わないで履かせたらからあのミイラの匂いついてるのかな? それはいやだ。


 色々考え黙って見ていると視線が気付いたのか姉のスターシャが振り返って来る。



「そんなに心配をされているんですよね。私達のために踊りを……もうしわけございません」

「え? ああ、いやうん。大丈夫」

「はぁ」



 俺も何が大丈夫なのかわからないけど、とりあえず大丈夫と、いって別の方を見る。

 涙を拭いている皇女サンと、涙を出し続けてるドスケッベルのほうだ。


 このクエストを完了させないといけない。

 いや、別に義務はないんだけどさ……この闇鍋の様に意味不明な状態から丸く収めないと、あと俺にかかった呪いも困る。

 これも早くクウガにうつしたい。



「どうだったサン?」

「よくわかりませんが、メルさんの踊りは情熱的で感動的でした……この茶番のような歓迎会をされて一時は『コメットⅡ』から砲門でもぶちかまそう。と思っていましたのに、その怒りも今では涙と共に流れ出てしまいましたわ」

「そ、そう……それはよかった」



 よし。皇女サンの方は何とかなりそうだ。次!

 ドスケッベルの方を見る。



「ああ、オレとサーシャの婚約祝いに何て感動的な踊りなんだろう。お前がダンジョンに言ったと聞いて帰ってくる前に結婚式をしようとしたオレが馬鹿だった気分だ」



 だから早く開催していたのか。

 さすがは悪党である。人の嫌がる事を思いつくのが上手い。



「俺が言うのもなんだけど結婚はお互いの気持ちがあったほうがいいとおもうんだ。ここに皇女サンがいるだろ? 皇女サンが認めればいいと思うんだ。全員が祝福してくれるだろ? で。サン。どうかな?」



 ハンカチをカバンに閉まった皇女サンの方を見る。



「貴方。変なたくらみに帝国を巻き込まないでくれますか? ですが踊りを見せて貰ったお礼です。いいでしょう……同じ女性として困っているようではありましたし」



 皇女サンはちらっとクウガを見た。

 あっ!

 なるほど……クウガのクエストって一般クエストかと思っていたけどこれ皇女サンの街の噂集めも入ってるな。


 だから安そうな依頼なのに受けていたのか、てっきり女の子と遊べるから延長してるのかと思ってたわ。




「ドスさん貴方を親衛隊にします、今後帝国に一緒に戻り訓練後、それからでもいいと思いますわ」

「な……この俺が親衛隊……だと!?」

「ええ名誉ある称号と思いますが不服でしょうか?」



 ドスケッベルは片足をついて皇女サンに頭を下げる。



「ドブみたいな世界に生まれて……この俺がやらせてください!!」

「わかりました。クウガさん、彼を拘束してください」



 皇女サンの慈悲深い案から無慈悲の命令。

 クウガは言われるままにドスケッベルの手足を拘束しはじめた。



「先生!? おい、ウソだよな!? なんで俺を拘束するんだ。俺が何かしたのか!?」

「すみません。すみません。すみません。僕は命令にしたがってるだけですみません!」



 クウガは謝るも任務を遂行する。

 芋虫みたいになったドスケッベルの出来上がりだ。



「このクソアマ! 嘘ついたな! 妊婦だろうか関係ねえ、生きてこの街から出れると思うなよ!」

「あらあらあらあらあら」



 うっわ。

 皇女サンがめちゃくちゃ楽しそう。



「別に嘘はついていませんわ。親衛隊たるものこれぐらいで根を上げられたら困りますわ。まずは口の聞き方ですわ、代理とはいえ、この私にその口の聞き方、死刑になっても当然です」

「死刑!?」



 場がシーンとなる。



「ですが、初回は大目に見ましょう。貴方も訓練すれば少しはまともになると思いますし。そこの貴女……スターシャさんと言いましたわね。ご安心ください、このドスケベな男は数年は、いえ下手したら一生戻ってくる事はありませんわ。ですからどうぞ好きな人と結ばれなさい」



 ぴしゃりと宣言すると、まるでゴミを見るような目で視線を下げた。



「貴方もよく考えてみなさい。帝国には女性が沢山いますのよ? 親衛隊となれば選び放題ですわ。ねぇクウガさん」

「ぶっ!? 皇女様!? 僕は別に親衛隊でもないですが!」

「あら…………そうでしたわね」



 突然の流れ弾を食らってクウガが慌て始める。


 お、いいぞ。


 よくわからないが他人の力でうまく事が運んでいる、持つべきものは権力を持った友人に限る。



「そこでアホ面の貴方」

「一応周りを確認するけど、俺の事?」

「貴方以外いませんわね。これでいいかしら? これでも忙しい身なので帰りたいんですけど」

「え? ああ……完璧だ。あと暫くは混乱さけるのにクウガをこの街においてほしいんだけど……」

「わかってますわ。皇帝代理の代理としてドス・ケッベルさんの抜けた穴を塞いでもらいます」



 じゃぁ、もういいか。

 クウガが初めて聞いた。って顔してるけど、流石にこのまま帰られると俺も残ったハッスル達だって困るだろう。

 皇女が手を複数回叩くと、外から兵士がなだれ込んでくる。


 何人かは帝国の城で見た兵士だ。

 俺の肩を叩いたり、ハイタッチしたりしてドスケッベルを連れて行く。その最後に皇女サンも現場を後にした。


 スターニャに足を揉まれている師匠を見ると目があった。



「と、言う事で師匠終わりました」

「何が、と言う事じゃのじゃ! ドアホウいつか地獄に落ちるなのじゃ!」

「その時は一緒に」

「なんでワラワがいくんじゃワラワが! 後スターニャよ別に揉まなくてもワラワ1人で」

「ううん。メルさんの踊り私も感動した。これからは踊りも練習する! 揉ませて」



 うん。俺が師匠の足を揉む係を変わりたい。

 ええっと、次にクウガはっ。



「クウガちょっとこっちに」

「…………なんなんですか、あのクロウベルさんのせいで突然仕事が増えて困っているんですけど……」



 お、クウガも俺に文句とは成長したもんだ。

 最初の頃は敵意むき出して、次に敬意むき出しで、やっと普通になったと思ったら、また少し敵意が増えたか?



「まぁまぁまぁ」



 俺はクウガの肩に腕組をすると、手に巻き付いている包帯を見せる。



「何ですか。変な魔力を」

「あっわかる? ダンジョンの地下に美少女がいるんだけど、助けを求めていてさ」

「…………あのクロウベルさん。僕は美人だからって何でもかんでも」



 俺はクウガの肩から腕を離した。



「いや、忙しかったらいいや」



 俺はスターシャから説明を受けては頷き始めてるハッスルのほうへ顔を向けると、俺の肩にクウガの腕が巻き付いて来た。

 

 体重がかかっており俺を逃がさないほどの力だ。



「クロウベルさん。何も話を聞かないわけじゃないですって……ええと美人が困ってるんですよね? 困ってる人は助けないと」

「…………俺。お前のそういう所は好きだわ」



 逆ピラミットの場所を教えると呪いの包帯は俺からクウガへすんなりと移動した。

 まぁ後はクウガが勝手にやってくれるだろう。


 よし絶対に解決方法とか違った気がするけどとにかく解決だ!



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