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負け悪役貴族に転生した俺は推しキャラである師匠を攻略したい  作者: えん@雑記


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第178話 強制クエストなんてふっとばせ

 酒場オリオン。

 お客が帰った大きな酒場で、たんこぶを作ったおっさんと美人な長い耳の姉妹。

 そして俺と師匠が酒場に残っている。



「……なんで?」

「ワラワにいわれてもなのじゃ」



 おっさんが手を叩いては師匠の手を握る。

 その手を離せおっさんよ! と口に出したいぐらいだ。

 師匠も若干眉をひそめるだけで別に何もいってない。



「まぁまぁまぁ。食事代はこちらが持ちましょう」

「いや。払うよ」



 俺は師匠の代わりに返事をしテーブルに金貨を置く。

 食事代なんて2人でも少額よ、それを餌に変な頼み事はされたくない。



「お釣りはいいから」

「いえ。受け取れません!」

「受け取れよ」



 俺がおっさんの前にお金を出すと、力強く帰ってくる。



「で。こんな所で押し問答する時間より早く取ってきて貰いたい」

「何をだよ!」

「話を聞いてなかったのか!?」



 何なんだこのおっさんは。

 話も何も、なんだったら残ってる客を追い出しの閉店だよ!? 俺達のテーブルにはまださっきの料理残ってるからね。



「ドスケベ……いやドスケッベルの命とかだったら俺達より暗殺者に頼んで」

「お客様。ドスが名前でケッベルがファミリーネームです」



 スターシャと呼ばれた松葉杖を持ってる女性が教えてくれた。

 どっちでもいいんだけど。



「ワラワのケーキは……」

「師匠もうあきらめましょう」

「ケーキでしたら依頼を終われば好きなだけ!」

「ケーキ代高いって言ってもそんなしないからね!?」

「じゃぁ何でしたらいいですか!? ドスケッベルのように、貴方達もこの店を奪うんですか!」



 奪うも何も話がわからないんだって。



「オーナー少し黙っていてください」

「わかった。お口チェックマンだな」



 オーナーと呼ばれてるおっさんは口を閉じる動作をすると椅子から降りて体育座りになる。

 可愛いアピールなんだろうか? 目だけがぎろっとして不気味だ。



「初めまして耳の長い女性と恋人さん。私達はスターシャ。こちら妹のスターニャ。姉妹で旅をしていた所こちらのオーナー。名前はハッスルさんに拾われて働いている者です」

「恋人……いやぁそう見える? いやぁ師――」

「ドアホウとは恋人ではないのじゃ」




 まだ俺が喋ってるのに、即否定された。

 こんな悲しい事ある?



「は! 師匠とは恋人以上になってるとか!?」

「殺すぞ」

「…………すいません」



 そんなマジ切れで怒らなくても。

 いや、でも師匠の顔を見るとそんなキレてない?

 照れてるだけなのか?



「あの……では2人は仲間さんって事でいいかしら?」



 スターシャが言葉を選んで聞いて来た。



「ああ、そういう認識でいいよ。それと2人とも普通の女性? 魔法などは使える?」

「少しだけですけど……それが?」



 耳は長いけど別種族なのかな?



「俺がクロウベルでこっちが師匠。本名はメルっていうんだけど、昔はバリバリの冒険者で今は呪いのせいで一般人以下」



 呪いって事にしたほうが話が早い。



「悪いけど君達が望むような依頼は現在してないんだ。なるべく早くレイアランド諸島に行く気だし」



 先手必勝。

 こっちは忙しいから何もできない事を相手に伝える。



「あっ……姉さん。レイアランドって禁止地域だよね」

「スターニャそうね。クロウベルさん、レイアランド諸島は現在入る事は出来ませんよ」



 妹のスターニャが話しに入って来ては禁止地域と教えてくれる。

 それこそ何で?

 説明をしてくれいるスターシャさんの顔を見る。



「荒れた海域もそうなんですけど、最近は海賊や魔物も多く。それに諸島は大小さまざまは迷宮が連なってます。元々管理する国は無かったんですけど出航は禁止されています…………オーナー喋っていいですよ」



 スターシャさんがおっさんに話を振ると、おっさんは立ち上がる。



「ではハッスルが説明しましょう!! スターシャ説明を頼む」

「はい」



 ハッスルおっさん。いやハッスルオーナーはまた体育座りになった。

 ゲーム中に出てくる突然黙るNPCのようで怖い。

 目はギラギラだ。



「申し訳ありません。オーナーは口下手で……この依頼を受ければレイアランドの行きのチケットを出せますと、オーナーは言っています」

「一言も言ってないよね!?」



 思わず口に出すツッコミは、スターシャの笑顔で流された。



「ワラワに何をさせたいんじゃ? 殺しか?」

「先ほどもいいましたが殺して問題が終わるのであれば……ドス・ケッベルが今度主催するパーティー。そこに来られる、ある人物に感動する踊りを見せて欲しいのです」

「踊りなのじゃ?」



 師匠が疑問に思うのもわかる。



「踊りってあれ? 棒が1本あってそこに足を絡めておっぱい見せて踊る奴?」



 大人のお店に行くと、少女から女性まで男性を喜ばせる踊りと言えばこれである。



「………………ドアホウ」

「………………違います」

「………………最低」



 女性陣から避難を受けた。

 だって酒場で踊りっていったらこれしかないだろ!

 俺の膝が軽くたたかれた。

 ハッスルオーナーだけは親指を見せてくれる。


 なんだ、おっさん良い人じゃん。



「でも、感動なんて人それぞれでは? 俺は師匠の踊りで勘当するけど、スターシャさんが踊っても感動しないけど」

「そうですよね。では話を戻します踊りは何でもいいのですけど……そのさいにスターアミュレットをつける約束を」

「ほう」



 俺が思わず声を出してしまった。

 スターアミュレット。

 装備品で幻惑効果プラス100と化物バフがかかった装備。

 もはや超レアアイテムで売ったら二度と手に入らないし売ると金貨30000ゴールドという破格の値段。


 ちなみに幻惑効果といっても、普通に遊ぶ分には全然要らないし99%以上のプレイヤーが売る隠し金策アイテム。


 バランス崩壊するので後に買取が300まで下がったアイテムだ。



「あの……知っているんですか?」

「全然」

「………………ドアホウ。お主、いやスターシャと言ったなのじゃ。話を」

「スターアミュレットとは神器とよばれるような首飾りです。もちろん、そんなアミュレットなど持ってません。ですが見事なプロモーションをお持ちです、あの代わりに踊って頂けないでしょうか?」



 話を色々聞いてみた所、疑問が凄いある。

 聞いていいのか、でも聞くと首を突っ込まないといけない。

 師匠をちらっとみると師匠も腕を組んで悩んでる。



「ドアホウ。気になる点がありそうじゃな」

「いうと深みになりますよ……」

「代わりに踊る人がいなければこの店はもちろん。私達姉妹はドスファミリーに売られてしまいます。その証文が先代ナクケッベルさんと、オーナーの約束でして」

「泣き落とし?」

「事実を言ったまでです」



 ちらっとハッスルオーナーを見る。

 置物のようで本当にオーナーなのか、実質オーナーってこっちのスターシャじゃないの?

 見るに見かねたのかスターシャはオーナーを見た。



「オーナー発言しても大丈夫ですよ?」

「おお。では時間を稼いでくれるだけでいいのだ。もしくはスターアミュレットを取って来てくれ。めぼしい場所はついているのだ! まさか古い時……しかも酒の席での約束でこうなるとは……」

「あっ。場所しってるの?」



 であれば話は少し変わって来るか。



「師匠に任せます。俺が踊るわけじゃないし」

「むぅ」

「もちろん。成功……いえ失敗してもレイアランド行きのチケットは手配させていただきます」



 最後は物で釣る気か。

 俺個人なら断る。レイアランド行きのチケットを手配と言う事は何らかの道はあるのだ。それを調べたい……が時間制限もあるし難しい所だ。


 クウガやアリシア達だったらここまで聞く前に引き受けるだろう。



「先ず。その足なのじゃ。さっさと魔法で直せばいいじゃろ」



 もっともだ。

 俺が思っていた事を師匠が言う。



「…………これでして」



 スターシャは足の包帯を取って見せると足先が黒く変色していた。



「呪いです。アミュレットを取りに行った時に……」

「俺からも言わせてもらえば、別に妹のスターニャでも、他の女性が踊ってもいいのでは?」

「私達姉妹は踊りが下手なのです……」



 ああ。そう……。



 何だこの違和感。



「あっ!?」



 俺が突然声を出したので全員が俺を見た。



「何でもないです。話を続けて」

「はあ……どうでしょうか? メルさん引き受けてくれますか?」



 多分これ強制イベントだ。

 矛盾点をいくら指摘しても逃れられないのでは。


 踊りもそうだし、そのスターアミュレットなんて誰も見た事ないなら偽物を出してもいいのにそれがない。


 そもそも客人に踊りを見せる。と言うのも不明だし、本物かどうかだれか調べるの?


 クウガが俺を殺そうとした強制イベント……5年以上かけてやっと回避したのにクウガは俺と絡んでくる。みたいな奴。



「あー……仕方がないなのじゃ」

「そうなるんですかね」


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