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負け悪役貴族に転生した俺は推しキャラである師匠を攻略したい  作者: えん@雑記


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第17話 がんばれD級冒険者グループのクウガ君

 

 案内役なんだから一緒に戦えばいいじゃない。と思われるが「先に言われたように黙って見ていてください」と、言われたのでその通りにする。


 何か怒ってるクウガは怖いからね、前に出て背中から刺されても嫌だし。


 俺がクウガのパーティーを見ている限りなんだろう……全体的に弱い。


 まず主人公であるクウガ。

 魔法も使えるはずなのに剣1本で戦い始める、力も弱いのかジャイアントゴッキーちゃんを一刀両断出来ない。


 次にクウガの義妹ミーティア。

 武闘家タイプで手足に魔力のゆらめきが見える、見た目はかっこいいけどあんまり効いてない。あっ触りたくないからか。


 現時点で俺が少しだけもふもふしたい毛並みを持つ女性。

 戦力的にはナンバー2になるのか獣人クィル。


 弓師でありゲームでは攻撃力が素晴らしい仲間だ、しかし短剣で戦っている。理由はクウガから狭い場所では弓は向かない。と戦闘中に言われたから……めっちゃ落ち込んでるけど確かに、弓はあっても矢には限りがある。

 強いんだけどスタックは10本ぐらいしかないよね。


 最後に友人…………うん。友人以上はないよ? とにかくアリシア。

 パーティーの役割というか回復に徹してる、魔力切れは怖いもんね。そのせいで火属性の魔法は使えてないようだ。

 俺の考えではアリシアが前に出て全部燃やせばよくない? って思ったけど、ゲームでは全員に経験値はいるけど現実は違うのかもしれない。



「あっ戦闘終わった? 次は左の壁。そこ壁にみえて隠し通路。通れるから手入れてみて」



 やっと戦闘が終わったらしいので俺は背後から声をかけた。

 クウガが俺をにらむように振り向く。


 …………ようにじゃなくて、あれ睨んでるよね?



「アリシアに聞くのでクロウベルさんの意見はいいです」



 それじゃ俺が来た意味がない。

 仕事はないほうがいいんだけどさ、この疎外感。

 泣いちゃうよ俺。



「クロウ君ー別の道ないかな?」



 アリシアだ。

 近道じゃない道を聞いてくる。




「え。なんで? 古代ミミズと戦った場所行きたいんだよね?」

「そうなんだけど、この隠し通路……通るだけで魔力取られるの……」

「え! まじで」



 5年前は全然そんな感じしなかった。


 ためしに俺は隠し通路に手を入れて腕を振り回す、う《《ん……何も感じない。》》


 体を全部いれて反対側へと抜けた。

 反対側につくと少し景色が変わる、敵の待ち伏せもないようで、匂いはきついが普段の地下下水道だ。



「どれウォーターボール」



 別に『水球』と唱えてもいいが気分で変えた。

 短い詠唱で俺の周りに水の球が数個浮き上がる。

 うん、俺の魔法は平常運転だ。



「とくには……師匠も平気そうだったし。でも確かに5年前のアリシアは魔力切れ起こしていたな……戻るか」



 アリシアが通りたくない、と言えばその方がいいだろう。

 体を全部いれて反対側へと抜けた。

 俺はもう一度隠し通路を抜けて皆の所に戻る。



「どうだった?」

「たしかに、《《俺の魔力もごっそり抜かれた感じがする》》」

「でしょ?」



 ウソを伝える事になったけどアリシアの機嫌が良さそうでよかった。

 クウガのほうを見ると下を向いている……あっ地図をみているのか。



「アリシア。この空白の場所は続いてるのか?」

「ええっとね、行ったこと無いから……」



 ちらっと俺を見て来た。



「繋がってるよ」

「…………わかりました。ありがとうございますクロウベルさん!! クィル鼻のほうは?」

「匂イ無理ィ」

「わかった、ミーティア前方を頼む」

「はーい。ねぇクウ兄ちゃん、このド変態は何時まで付いてくるの?」



 別に着いて行きたくないよ。

 道案内だから一緒にいるだけで。



「ミーティア、口が悪い。すみません」

「いやいいよ。道案内だけだし、迷ったら手助けする程度って聞いてるし」

「ふーん。ザコザコのくせに」

「ミーティア!」

「え。でもクウ兄ちゃんに負けたよね? 腰ぬかしてたし」



 うんうんうん。

 腰は抜かしてないけどね試合には負けたよ。



「そう。俺は弱い! 弱いから守ってほしい。怪我したらアリシア頼むよ」

「んーーー考えとくね」



 アリシアはいつもの笑顔で拒絶した。


 少し時間がかかりながらも5年前の場所に来た。

 周りの壁と違って新しい壁になっている。



「はい、着いたけど……大丈夫か」

「だ、大丈夫です! 心配は無用です」



 無用っていったって……アリシア以外青い顔をしてる。

 ここに来るまで8回の戦闘があった、流石に手慣れて来たが疲労が見え始めたからだ。


 その点ゲームってすごいよ。

 1日に命をかける戦いを何十回もしても宿に泊まれば回復する。次の日にはまた同じことの繰り返した。



「クウ兄ちゃん疲れたー……」

「ミーティアちゃん回復するよ?」

「アリ姉ちゃんありがとうー!」



 アリシアがヒールを唱えるとミーティアの体全体が光り輝く。

 先ほどの顔から少し明るくなった。

 続いてクィルとクウガにも同じ魔法をかけていった。



「はい、おしまい」

「え?」



 思わず声が出た。



「どうしたのクロウ君!?」

「いや……なんでもない」



 てっきり俺の番もあると思って期待してただけに、仲間外れにされて驚きの声が出ただけだ。



「ここが古代ミミズが大量に出た場所ですか……」

「見ての通り穴は塞いだけどね。普通の冒険者が丸呑みされるんだよ。そんなのが街に入って来たら街が終わるよ」

「倒せばよくないですか?」



 …………何を言っているんだコイツは。



「古代ミミズぐらい僕達だけでも倒せます。街には冒険者が沢山いるんですよね」



 せめてジャイナアントゴッキーちゃんを楽に倒してから言って欲しい。


 クウガが死ぬのは良くは無いがいいとして、他の3人が死ぬのは寝ざめが悪い。

 悪い所じゃない、ゲームでプレイした時のヒロインが死ぬんだよ? 目の前で起きてみてよ、世の中にはそういう趣味の人もいるけどさぁ、この3人には俺は恨みは無い。




「まぁ何を言ってもいいけど、このように封鎖した所は叩いても崩れないよ」



 俺は新しい壁を二回ほど叩く。

 ゲームではお約束で壁が崩れるんだろうけど、今回はぜええったいいに崩れない。

 だって師匠と冒険者ギルドがこの壁の製作に手を貸しているから。


 クウガが何度も壁を叩いているが壊してどうする気だ。



「本当に崩れないですね」

「そりゃ師匠が協力してるから」

「師匠…………アリシアの先生という方ですよね。とても美人とか」



 お、聞いてくるか。

 ならば答えよう。



「そりゃもちろん、魔法使いメルと言えば。年齢不詳の大魔法使い。銀髪で銀色の瞳。雪の様に白い肌。豊満な胸にきゅっとした腰、すらっとした足。桃のように甘い匂い。きっと余分な毛は生えないんだろうな、年齢不詳なのにきれいな肌だったし、さらにはその――」

「ちょクロウ君!!」

「え。何? アリシア、足りない所あった?」



 俺の師匠の説明をさえぎって話しかけて来た。



「皆引いてるよ」

「え。なんで……」

「やっぱド変態じゃん……」



 俺が疑問を言うとミーティアが一歩引いてクウガの後ろに回った。

 クィルも無言でその後ろに回る。



「そ、そのクロウベルさん。すみません」

「え、いや謝られても、語り足りないと言うか、屋敷にもどったら 続き聞かせるよ」

「勘弁してください」



 なんで!?


 アレだけ好戦的だったクウガが素直に俺に謝った。

 …………俺としても引くしかない。

 説明下手だったかなぁ、今度師匠の魅力を簡潔に伝える努力をしなければ……。


 俺が考えていると物影からうねった触手が見えた。

 ここの本当のボスで食中花。


 ラフレシアみたいな大きな頭をもち、胴体と下半身は根というか茎というか、そんな奴。

 


「じゃっアレを倒して帰ろうか、《《古代ミミズより弱いから楽勝》》と思うよ」

「アレ?」



 俺が首を動かすと、食虫花をクウガ達に知らせた。



「襲ってくるみたいだし。っじゃぁ俺は雑魚だから後ろに避難っと」



 俺が4人の背後に行くのと食虫花が突進してくる。

 


「うああああクウ兄ちゃん! 今までのと違う!」

「弓ウツ!」

「クウガ君さがって。火の力よ! ファイヤーウォール!」



 おお、アリシアが放つのは炎の壁だ。

 飛んでくる触手をすべて焼き切った。


 火の壁を打ち破るようにクウガが飛び出し行った、彼の剣には炎が宿ってる。かっこいい……付属魔法かな。


 火の属性を上げたって事は水の属性は捨てた感じか、弱いもんなぁ水属性。


お。サポートするようにミーティアが動く。

なるほど、本番に強いパーティーか、これは認識を改めなければ。



「クウ兄ちゃん。コイツ皮膚が固い!」

「くっ! クィル! 弓を」

「ン!」



 俺の仕事と言えば見守る事、持参した水筒からお茶を取り出し飲み始める、うーん、旨い。


 アリシアが魔法を唱えた足元に魔法陣が現れると魔力の光が上に向かって飛ぶ。



「「ハイ・ヒール」」



 俺とアリシアの言葉が重なった。

 全体回復魔法(小)であり序盤では有り難い魔法だ。

 あれを唱えられるって事はレベル30はありそうなんだけど、アリシアやばいな。


 持って来た水筒からお茶を出して口に含んだ、一緒にアンジュから貰ったクッキーも口に入れる。



「クロウ君! 一人お茶飲んでいるけど弱点はどこ!」

「え? なんで俺に」



 アリシアがなぜか俺に怒りだす。



「そんな所で1人でお茶のんで余裕たっぷりだからに決まってるから」



 まずい、俺はクウガより弱く見せないといけないんだ。

 たとえ俺が実はこいつをソロで倒した事がある、といってもあまり余裕でいればクウガとの試合が八百長というのが広まってしまう。



「…………こわいよー! 助けてー!! クウガさーん」

「そういうの良いからっ!」



 アリシアの怒りメーターが見えないはずなのに上がった感じがした。


 仕方がない。



「ええっと、皮膚は堅いし弱点は火で。口の中が柔らかいけど、結局は物理で押すのが一番早いかな、HP(ヒットポイント)は130ほどでファイヤーボールが8ダメ程度っおっと」



 攻撃が俺にも飛んでくる。



「水盾」



 別にウォーターシールドと短い詠唱でも同じ効果が表れるが俺にとって水盾と詠唱を変えた方が早い。


 飛んで来た触手を水盾ではじくと、スパっと触手を切り落とす。



「で。剣の攻撃が5ダメは入るから多分あと20発ぐらい?」

「まったまった! クロウ君途中から意味不明な事を……ハイ・ヒール!!」



 確かにHP(ヒットポイント)の話は意味がない。



「20発でいいんですね!! うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」



 お? クウガが叫んだ、炎を付属した剣を振り回し口の中を貫く、そのまま炎は食虫花の全身を燃やしていくと最後にカスだけが残った。



「あ。倒したね。クリティカルかな」

「はぁはぁはぁはぁはぁ…………クロウベルさん!」

「はい」

「僕はまだ弱いです。ですから僕が殺すまで死なないでください!! 帰ります!!」



 ん? あれ……? 

 クウガは俺に宣戦布告をしたとおもったらさっさと帰りだした。

 ミーティアやクィル、それにアリシアが呆気に取られている状態だ。



「ええっと」

「うわ、クウ兄ちゃん眼がマジだった」

「クウガ……かわいソウ」

「気をつけてねクロウ君、クウガ君一度決めると絶対に引かないから」



 いや、え?

 なんで宣戦布告されるんだ。

 一応俺は《《まだ貴族》》だ。アリシア達のために一応注意だけしておくか……。



「アリシア」

「なーに? クロウ君」

「俺だからいいけど、他の貴族にあんな態度をしたら殺されるよ?」

「う…………そ、そうだよね。クロウ君があまりにも貴族っぽくないから忘れていたよ」



 貴族は貴族なんだけど、心の中は本当の貴族でもないからな。

 それに三男坊なんて庶民中の庶民よ。




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