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負け悪役貴族に転生した俺は推しキャラである師匠を攻略したい  作者: えん@雑記


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第164話 封印を解く裏技

 裏アーカスの後を歩く、いくつかの部屋を通ると王座の間についた。

 

 この部屋には転移の門があるはずなんだけど普通の謁見の間にしか見えない。


 幽霊のような影の兵士達が直立不動で立っている。

 これが一斉に襲ってきたら流石の俺達でも大変だろうな。



「あら襲ってくる心配? 半分は受け持つわ。メル様が残った半分。ナイ様がもう半分?」

「はっはっは友人は守るよ。なに逃げるぐらいの時間は自分1人で何とかなるよ」



 あの俺、半分の半分も受け持ちたくないんだけど…………規格外すぎるんだよアンジェリカもこのナイも。



「で、転移の門はどこ?」



 黙って玉座を指さしたので全員が俺を見る。



「まずは座れって事?」



 裏アーカスは静かに頷く。



「いやぁ、別に王になりたいわけじゃないし」

「影のアーカスが言うのじゃ別にそんな意味じゃないなのじゃ」

「自分もそうと思うよ、いいじゃないが君みたいな人なんて一生こんな椅子に座る事無いと思うよ?」



 うん。

 少し照れた俺が馬鹿みたいだよ。



「じゃぁ座る」



 俺が王座に座った。

 おふぅ。思わず変声がもれた。思った以上に柔らかく尻にフィットする。

 そりゃそうか、王様が座るのに硬かったら作った職人はギロチンの刑になる。


 突然に視界がぶれる。


 一瞬で世界が変わった……部屋の名前が変わったわけじゃない。

 影の兵士もそのままにいるし当然謁見の間にいて俺は玉座に座っているし師匠達も当然横にいる。


 唯一違うのは謁見の間で行われたであろう戦闘の後。


 赤い敷物は破れており、柱は何本か壊れている。

 天井のシャンデリアは謎の光で発光していた。



「ここは……」

「懐かしいね。帝都の地下だよここ」



 ナイがそういうので俺は師匠を見る。



「ナイが発言したのじゃ、ワラワじゃなくてナイを見たほうがいいなのじゃ」

「師匠のほうがいいかなって」

「君、自分が横にいるのに平気でそういう事言えるのが好きだよ。答えてあげてよメルギナス」



 ナイに言われて師匠は息を軽く吐く。



「おそらくはこの部屋全部が転移の門だったのじゃ……細かい発動条件はわからんのじゃ、じゃが確かにこの部屋でそこの裏アーカスと戦った後じゃな。そこの壁にワラワが張り付けられての……血の跡があるじゃろ」



 師匠がそういうので見てみると、壁に人型の跡があり肩と首のあたりから大きな血痕後がある。



「あの時のメルギナスの顔ったら君に見せてあげたかったよ、半べそで『ステリア助けてー』って」

「言ってないなのじゃ! ナイお主こそ尻尾が取れて『一生はえてこないんだ』とピーピーわめいて」

「いやぁ流石メルギナス。下らない事を何時までも覚えてるもんだね」



 へぇ、そんな過去があったのか。



「師匠がピンチになったら俺が助けますからね」

「ドアホウに助けられる時はもう終わりじゃな」



 何が終わりなのかわからないけど、師匠てきには終わりらしい。



「それよりも封印の扉見にいくんですよね?」



 封印状態の確認と、封印の重ね掛けだ。



「そうじゃ――っ!?」



 師匠の言葉が途中で止まった。大きな振動と音が俺達を襲ったからだ。



「地震だ! 何かテーブルの下に!!」



 俺は叫んで周りを見渡す。

 王の間、謁見の間、名前はどっちでもいいけどテーブルや机などあるはずもない。



「クロウベル君何もないよ!?」

「そうなんだけどさ」



 一瞬であるけど揺れは収まった。



「おさまった……?」

「ここが迷宮であれば地震なぞトラップでもない限り無いはずなんじゃが……」



 俺の肩をトントンと指で叩かれた。

 振り向くと裏アーカスだ。

 裏アーカスは指先をまっすぐ前に伸ばすと謁見の前の扉を指さした、そこから少し上に指を上げる。



「なるほど? 下の扉は通路で上の扉はバルコニー?」



 裏アーカスは静かに頷く。



「君、よくわかるね……」

「クロウベル君。この人たちの通訳で食べていけるよ」



 そこ、うるさい。

 裏アーカスは気にした様子もなく指を鳴らすとバルコニー側の扉が開く。



「なっ!」



 俺が短く声をあげたのは、城下町の先にある大きな門が倒されたのが見えた。

 その扉は周りの家をつぶし土煙の向こうに帝国の旗が見える。



「メルギナス。君の封印解かれてれるんだけど、何千年ももつんじゃなかったの?」

「ワラワクラスの血がないと封印は解けないはずなんじゃが……アリシア。いやアレとて無理じゃろと思ったのじゃが」

「あー…………」



 俺が気づいた。



「なんじゃドアホウ! わかったのじゃ? ワラワの結界が壊された理由が」

「自分も聞いてみたいね」

「裏アーカス何か望遠鏡みたいのある?」



 俺が言うと裏アーカスは望遠鏡を出してくれた。

 どこから……? 多分マジックボックスでも持ってるのかな?

 深くは考えずその望遠鏡をのぞき込む。


 そして師匠に手渡した。



「結界はたぶん破られてないと思いますよ。みえます? 扉は閉じたままですし……倒れたって事は《《開けたのじゃなくて、扉を倒した》》。ようは周りの壁を壊したんでしょう」

「え。何それメルギナス。自分にも見せてよ!? どうも、うわっ本当だ……扉は開いてない。はっはっはっは人間は面白い、面白いよ」



 鍵かかった部屋があったとして、鍵じゃなくて横の壁を壊したのだ。


 裏アーカスはもう1本望遠鏡を貸してくれたので俺は覗き込んだ。



「あっ……」

「今度はなんじゃ」

「一番前で指揮してるのはクソ生意気な第一皇子アレスだっけ? その横にクウガいるんだけど」

「……本当じゃな」



 何してるんだアイツは。

 ああ、もう笑顔で喋って俺は悲しいよ。



「お前だけは英雄でいると思ったんだけど……」

「ワラワが言う事ではないが英雄はそんなポンポン浮気しないなのじゃ」

「確かに」

「その浮気者の子を宿した私としては耳が痛いよ。とはいえ私が誘ったしそれはいいんだ」

「あっごめん」



 クウガを叩いてしまったが、クウガの子を宿したアンジェリカの事を忘れていた。

 アンジェリカは普通に首を振って笑顔を見せる。



「なに。そういう事をした私なんだし……にしても帝国が地下遺跡攻略。本当なんだね」

「これだけ揃ってる土地は便利だからねさらに王国にワープ出来ると知ったら大喜びだ」



 裏アーカスが俺の前で膝まづくとくるっと体の向きを変えて部屋から出ていく、扉の前あたりで姿が消えた。


 まさに英雄としの動き。



 双眼鏡でのぞき込むと、帝国が居座っている所で裏アーカスが暴れている。その他にも影の兵士が裏アーカスを守るように動いていた。


 何人も帝国兵士が引いて行くと、第一皇子アレキが黒い剣を振り回す。


 その攻撃を受けた影の兵士が霧のように散った。



「ドアホウ」



 俺を呼ぶ声が聞こえたので振り向くと師匠も望遠鏡をのぞいている。



「黒い刀身……多分ですけど魔剣ソウルハントかも。魂食いですかね」

「厄介な……」

「クロウベル君説明できる?」

「簡単になら、魔剣ソウルハント。不死の錬金術が作り上げた魔剣その剣で斬られた物は魂すら斬る。その代わり素早さと運が極端落ちるのであまりお勧めしない武器かな」

「…………何でそこまで知ってるのかな?」



 アンジェリカのツッコミに俺は「ノーコメント」だけ答えておく。



「まずいね。影の兵士消えてく」



 俺が望遠鏡を覗いていると裏アーカスが一歩後ろに下がる、そこにクウガが突進して斬り込んでいった。

 あの馬鹿。

 

 裏アーカスを守るように影の兵士が裏アーカスの前に出ると裏アーカスが霧のように消えた。


 ガチャ。と、音がして望遠鏡から目を離すと王の間の出入り口に裏アーカスが出て来ては倒れ込む。



「師匠。自分でも嫌になるんですけど」

「はぁ……ドアホウみなまでいうな怪我の様子を見るのじゃ」



 俺達は裏アーカスの周りまで走り、その傷を見た。

 

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