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負け悪役貴族に転生した俺は推しキャラである師匠を攻略したい  作者: えん@雑記


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第157話 クエスト確認

 アンジェリカが泊まっている宿に無理やり連れていかれた。

 直ぐに『着替えるから待ってて』。と、言うと少しお腹の大きいアンジェリカは浴衣に着替え俺を出迎える。


 うん。

 色んな意味でやばい。


 元々胸もある方だし、膨らんだお腹に色々こぼれそうな感じで、人妻の色気がにじみ出ている。


 普通の男なら一撃だろう。

 だが! 俺は師匠を攻略中であるし、そもそも前世の記憶時代ではニートラップを何度も回避した。


 久しぶりに会った女性から、何度もツボや浄水器を買わないか? と力説され、時にはホテルに誘われてシャワー浴びた後に言われた事もある。


 全部回避した。



「あの座ったら?」

「え? そうだな……」

「浴衣あるけど着替える?」

「………………いや。別に俺は温泉に入りに来たわけじゃなくて」



 サブトンに座ると、対面がアンジェリカだ。



「お互いの情報交換ね。表向きは非番で温泉地に観光」

「いいのか? 表向きって俺にそんな事いって……」

「ナイ様やメル様が後ろに控えてるんでしょ? 別にいいわよ」



 アンジェリカに「そっちは?」と尋ねられてしまった。

 どこまで話せばいいのか。

 説明が難しい。



「地下遺跡。そこの調査をしたいんだけど……邪竜と師匠も見たいらしく、なおかつ時間もあんまりなくて俺が先行してイフの街に来た」

「偶然! 私も地下遺跡調べてるのよ」

「妊婦が?」

「そう妊婦でも」



 アンジェリカか言い切ると突然に俺の手を握って来た。

 浴衣の間から胸チラ攻撃だ。

 クウガだったら一発アウトだろう。



「一応見るのね」

「そりゃ男なので……でもまぁクウガじゃないんだしそこまでは」

「ぺろん」

「………………あのねぇ」



 アンジェリカが片手で浴衣をめくった。見ては駄目な部分が俺の目に入る。

 呆れた声を出すとすぐに浴衣を元に戻した。



「メル様には内緒よ内緒。お願いがあるの、聞いてくれたらもっと凄いの見せてあげる。護衛が欲しいのよ」

「嫌です」

「…………本当!? ありがとう!」

「聞いてた!? 俺は断ったの。変な依頼はこれ以上受けたくないの!」



 『はい』『いいえ』の選択で『いいえ』を選んだのに強引に話を進めようとしてくる。

 握った手を離すと今度はぶっきらぼうに話し出す。



「じゃぁ別にいいわ。でも最後に私の遺体を引き取ってフレイに送って『護衛がいなく身も子供も死にました、クロウベル君含め皆忙しいから』って」



 うぐ。

 卑怯だ。



「それは卑怯だろ、別に俺じゃなくていいんだろ?」

「だって……冒険者ギルドに依頼してるけど誰も来ないのよ。来ても私の体目当てとかばっかりで手合わせしても私より弱いし、考えるだけでいいから。それにほらナイ様のお城をこの近くに呼ぶのよね? クロウベル君がダメでもメル様ならどうかしら」



 仕方がない……。



「報酬はしっかり貰う。それでいいか?」

「ありがとう!」



 金をふんだくるしかないか。

 行く場所が同じだからと言って目的が同じとは限らないんだよなぁ。



「じゃぁパーティー結成って事でお祝いしましょうお祝い」



 アンジェリカが立ち上がると廊下に消えていく、多分食べ物を頼みに行ったのだろう。



「ええっと……整理するか」



 ・孤島にいる少女に薬を届ける。

 ・俺の体の異変を調べる。

 ・邪竜と師匠がいる蜃気楼の城を近くに呼ぶ。

 ・古代遺跡にいって裏アーカスと接触する。

 ・帝国と繋がっているらしい古代遺跡に入る。

 ・暇だったらクウガを助ける。

 ・帝国のクソ皇子をぶん殴る。

 ・NEWアンジェリカの護衛をする。

 

 


「だーーー! 多い、多いよ! 俺の身は一つなんだけど? 最後に師匠とイチャラブする。までが長い、長すぎる。これ全部クリアしても出来る気がしない! ってか1つのクエスト終わる前に渋滞し過ぎる」

「何騒いでるの?」



 アンジェリカが思ったよりも早く戻ってくる。

 手にはお盆を持っていてとっくりが10本ほど見えた。

 多くない?



「やる事が多くて嫌になるって話だ」

「まぁまぁまぁ美味しいお酒持って来たから」



 俺の前に座りなおすと透明な酒をグラスに注ぐ。

 どうみても日本酒もしくは焼酎。


 胃の中に入れると体全体が熱くなる。



「で……聖騎士がわざわざ非番まで使って古代遺跡調査って何が目的なの?」

「別に聖騎士だから調べるわけじゃなくて、どうも最近私と同じ顔の魔物が目撃されるのよ」

「…………………………へー」



 絶対に裏アーカスだ。

 アンジェリカの顔、なぜか英雄アーカスと同じ顔で当然裏ボスである裏アーカスとも同じ顔である。


 それもそのはず、アーカスの子孫がアンジェリカだから。




「へぇ驚かないのね……って事は知ってた? 害のある魔物なのか魔物じゃないのか、意思はあるのか? って所の調査なんだけど」

「全然」



 アンジェリカか俺のグラスに酒を無言で注ぐ。

 グラスぎりぎりで表面張力で浮いてる。



「飲んで」



 俺はグラスとアンジェリカを交互に見る。

 飲んだら何も聞かなかった事にする。って事か?




「無理だろ……」

「聖騎士って民間人を捕らえる権利があるの、例えば嘘ばっかりつく人とか、実は私と同じ顔の敵に出会ってその事を黙っていた人とか……捕らえる時に相手が暴れた場合殺しても許されるのよ」

「それは物騒な」

「私の気持ち、飲んで」



 拒否権はないらしい。



「別に黙っていたわけじゃ……師匠にだって話してなかったしさ……わかった! 飲めばいいんだな! その代わり根に持たないでほしい。俺だってあの敵とは戦うの嫌なんだし」



 グラスを持って一気に飲む。

 一瞬で酔いが回ってくる天井が周りメリーゴーランドの中にいるみたいだ。


 仰向けになりそのまま目をつぶった。



――

――――



 無理やり飲まされた翌日、俺とアンジェリカは砂漠にいた。

 火山の街イフと砂漠の街スータンとの間。

 天空城ならいざ知らず蜃気楼の城は呼ぶ場所に困るって事で大きく開けた場所がここしかなかったのだ。



「にしても、別について来る事なかっただろうに、体大事にしたほうがいいよ」

「この子も大丈夫って言ってるし」



 確実に言ってない。

 諦めつつ俺は邪竜から貰った小瓶のふたを開けた。

 足元に液体を巻くと周りに霧が出てきた、その霧は濃くなり古城の一部と繋がった。


 足元が砂漠だったはずなのに今では城の中、レッドカーペットの上に立っているほどだ。



「凄い…………」

「さて、あの邪竜と師匠はどこかぐえ!」



 背中の服を引っ張られたので首が閉まる。

 思わず変な声が出た。



「なんでそんなに平常心! さすがの私も驚くわ」

「なんでって……そういうアイテムだからとしか……時間経過は前回と逆」



 短い言葉だけでアンジェリカは、頷いてくれた。

 さすがは聖騎士様である。



「やぁやぁやぁ早かったね君。とそちらは依然あったアンジェリカ君かな」



 背後で声がしたので振り向くと邪竜登場だ。



「この度は無許可での侵入まこともうしわけありません!」



 アンジェリカが膝を立てて顔を伏せた。

 俺は当然その横で立っている。



「楽にしていいよ……そうだな君も友人の一人って事で、また会えるとは思っていたよアンジェリカ君。それに君の横の彼なんて自分に一度も頭を下げた事がないからね」

「あるわい!」

「あったっけ?」



 たぶん。



「…………それよりも師匠は?」

「メルギナスなら……」



 邪竜が突然手を二回叩いた。

 廊下をメイド姿の師匠が歩いて来た。



「次から次へと何なのじゃ、いくら罰ゲームだか……ら……と……のおおお!?」

「師匠!?」

「はっはっはっはっはっはっは。アンジェリカ君みたかい? この2人の顔。1人は赤面して1人は呼吸が止まってる! はっはっはっは…………は?」

「ライトニングフルバースト!!」



 メイド服姿の師匠が邪竜の体を吹き飛ばした。

 腕と体の半分がちぎれると肉片があちこちに飛ぶ。



「メ、メル様!? それにナイ様も!?」



 アンジェリカが悲鳴を上げると、邪竜の体が再生されていく。

 あれ……これって俺が肉体再生した時みたいな……。

 城のどこかで鐘が鳴った。



「罰ゲームの時間は終わりなのじゃ……着替えてくる。ドアホウ良く戻ったのじゃ」

「もう着替えるんですか」

「当たり前なのじゃ!」



 俺がいない間に何があった知らないけど随分と楽しそうな事があったっぽい。



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