表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
負け悪役貴族に転生した俺は推しキャラである師匠を攻略したい  作者: えん@雑記


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

153/423

第153話 ヒーローズで再開

 アンジュの剣を杖代わりにして町の前で倒れ込む。

 入口にいた男が俺に駆け寄ると仰向けにしてくれた。



「おい、だ。大丈夫か?」

「…………ここは……どこだ……」

「ここか!? 英雄の街。ヒーローズだ! いま誰が呼んでくるからな。まってろ!」



 入口にいた男が街の中に入るとすぐに、車椅子に乗った女性とそれを押してる女性がはしって来た。

 爆速だ。

 ってか、止まるのアレ?



「アリねえちゃんごめん! これブレーキっての壊れてる!?」

「えっ! そ、そこの人よけて! よけっ」



 車椅子にのった《《アリシア》》、さらに全力でそれを押しているミーティアが俺の背中を思いっきりひいて、背中の上で1回転させて止まった。



「ぐおおおおおおおおおおおおおおおお! 『癒しの水!』うおおおお!?」

「あれ。クロウ君……?」

「うわ。ド変態じゃん……クウ兄ちゃんの姿見えないけどどこかな? アリねえちゃん、ミーティアちゃん探してくるね」

「え。ミーティアちゃん!?」



 アリシアが止める間もなくミーティアは街道を探しに行った。

 俺の背中をさらに踏みつけて。



「ぐおおおお!」

「ご、ごめん今どけるね!?」



 背中をゴリゴリ音を立てて車椅子が離れていく。

 地球だったらこれ完璧に背骨折れてるのでは……魔力がある世界でよかった。

 本当によかった。



 何とか立ち上がると車椅子のアリシアと目を合わせた。



「よくわからないけど何を協力すればいい?」

「え?」



 俺は車椅子に乗っているアリシアを見る。



「まだ何も言ってないけど?」

「何も言ってないから何かに頼って来たのだよね? 先生やクウガ君もいないし。魔法は禁止されているけど出来る事があると思うんだ」



 やばい。

 さすがアリシア様である。

 師匠の次に好きになりそう……っても親友として。

 何度も言うけど俺が好きなのはクウガが好きなアリシアであって俺の事が無条件で好きになるアリシアではない。



「サンかメーリスの力を……ってかどっちもいらないな。飛空艇だけ貸してほしい」

「うわ。今飛空艇飛ばないよ? 詳しい事は集会所に」



 アリシアが車椅子の車輪を手で回そうとするので俺は背後に立って押してやる。

 確かにブレーキはないが、俺が知ってる車椅子と同じ原理に見えた。



「凄いでしょう。メーリスさんの発明」

「凄いな」

「もっと凄いのはこれ(車椅子)を見ても《《驚かないクロウ君》》なんだけどね……普通に動かしてるし」

「………………まぁそこはほら。それより街の前で寸劇ごっごをしていただけなのに事故にあうとは思わなかった」



 帝都から抜け出した俺はひっそりと英雄の街ヒーローズに戻って来たのだ。

 で、街が見えた所でそういえば感激の舞踊ってないなって思っての事である。



「ゆくゆくはこの車椅子に魔石で撃てるミニ砲門もつけるべきだ。ってサンさんとメーリスさんが実験してるの」



 一人用戦車にでもするのか?



「道が悪かったら倒れるし、サスペンダーを組み込んでクッションを付けてもきついだろうな……砲門って事は乗るのは冒険者だろうし、魔石の力で飛んだ方がまだ良い気がする」

「私も冒険者さんが乗るには危ないと思うよ。あっクロウ君、そこの馬車に乗れば連れて行ってくれるよ、また後でね」



 アリシアは冒険者ギルドで書類仕事がある。との事で馬車前で別れる事になった。

 ちなみに歩けないのか聞いた所、立ち上がって小走りも見せてくれた。


 魔法を制限されているだけで元気は元気との事。

 粗末な馬車に乗ると御者が何も言わないのに出発し始めた。

 え。やだ誘拐。

 もしくは違う場所に連れていかれてぼったくられる?

 よくある強盗タクシーならぬ強盗馬車である。



「俺まだ何も言ってないけど?」

「っ!? だ、旦那殺気はやめてくだせえ。クロウベルの旦那だろ?」



 目の前のひょろっとした御者何て知り合いはいない。



「あんたが救った人間の一人でさ、最近は移住者が増えているが、あんたが助けを呼んで……あのパーティーにもおれっちはいたんで」

「あーごめん。まじでごめんなさい。顔覚えてない」



 元営業マンとして失格である。

 こうして『あいつは取引先の顔も覚えない』と言われ左遷させられていくのだ。



「何、パーティー会場にいたってだけで話しかけませんけどね。アリシア嬢さんが、あんたを乗せたって事は行き先はきまってらぁ」

「そうなの!?」

「へぇ。ですからちょっと寝ていても、街中と家と遠いんで」



 考えてみたらアリシアがぼったくり馬車に俺を乗せる理由なんてないか、ではお言葉に甘えて横になりましょう。っと。


 寝つけはしないが、別に御者と話しをしたいとも思わないし運転の邪魔はしたくない。


 俺がうとうとしだすと馬車が止まった。



「旦那つきましたぜ」

「んー? ああっ! 寝てた……ええっと名前は」

「いいってよ」



 断られてしまった。

 めっちゃ良い人だ。

 せめて賄賂……じゃなくて金貨でも渡そうとしても受け取ってくれないまま帰ってしまった。



「個人的には受け取ってほしかった……」



 その方が弱みを握れるというか、俺だって賄賂欲しいし。

 仕方がない。



「ええっと、あの屋敷か……ってか飛空艇あるよな」



 大きな飛空艇が斜めの状態で地面に着地している。

 アリシアがちらっと言っていたけど本当に飛んでない、墜落してるようにも見えない。


 何人のもの人間が動き回っていて、遠くからくる俺に気づいたらしい。

 見た事あるような内容な顔の兵士が走って来た。



「クロウベル殿!」

「ええっと……ごめん何か邪魔したかも? サンかメーリスいる……?」

「遠い所へようこそ。ええいますとも……どこから来たんで……いや、余計なお世話でしたな。サン様とメーリス様は要塞デーメーデールの中にいます」



 ん? 要塞?



「飛空艇の事を要塞っていった?」

「っと……その事も中で。一同! 英雄クロウベル様に敬礼!」

「ちょ!」



 俺に話しかけてきた男がそう言うと周りの兵士が一斉に俺に敬礼してくる。

 帝国城で完全い敵意むき出しの兵士も嫌だけど、一斉に敬礼してくる兵士も嫌だ。



「ええっと、何かごめん。本当に俺その悪役だし……ええっとじゃっ」



 クーデーメールの中に入る。

 多分よく使っていた部屋にいるだろう。って事でノックをすると、皇女サンの「入りなさい」という簡潔な声が聞こえてきた。


 扉を開け挨拶をする。



「よっ!」

「あら……誰かと思えばノックを覚えたのですね、貴方の事だからノックという存在を知らなかったと思ってましたの。覚えたててどこでもつかって見たかった? 違いますか?」

「ちげーよ!」



 俺が反論すると皇女サンは小さく笑う。

 皇女サンの隣で何かの設計図を見ていたメーリスも立ち上がり俺に椅子を進めてきた。



「突然くるわね……今度は何やらかしたの?」

「当てて見せましょうか? メルさんと結婚とか……」

「あっだったら私が大穴でクウガさんにメルさんを寝取られた!」



 俺の心臓が一瞬止まったかと思った。

 馬鹿! メーリスお前の隣にいるのはそのクウガに遊ばれて捨てられた皇女だぞ! と口から出かかっているのを何とか押し殺す。



「別にサンさんがクウガさんとドスケベな事したの知ってるわよ?」

「そうなの!?」

「メーリスさん……そのもう少しお上品に。まぁその顔は帝都に行った後ですわね……知っての通りそういう事です、ちなみますけどメーリスさんもしっかりと」

「あはははははは」

「…………まじで……え、アリシアとか激おこだろう」



 よく一緒にいれるなアリシアも。



「それがその、わたくしとクウガさんの関係を勧めたのはアリシアさんなので……」

「あたしもー!」



 ほわっ!?

 ええっと、どういう事?



「まぁその話は今はどうでもいいですわね、今度は何を作ってほしいのですか? 惑星移動でしょうか? それとも空間転移装置でしょうか?」

「…………違うけど……出来るの?」

「仮に作ってと言われれば、1ヶ月ぐらいお説教した後に考えますわ」



 うん。言わなくてよかった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
もはやクロウベルが師匠とアリシア以外に興味持たないようにするために、アリシアが牽制でクウガをけしかけてて笑っちゃう それはそうとして、これがハーレムの呪いかと戦々恐々しますね
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ