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負け悪役貴族に転生した俺は推しキャラである師匠を攻略したい  作者: えん@雑記


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第15話 クウガ視点、過去と現在

 僕が彼の名前クロウベル。と、言う名を聞いたのは15歳の時。


 旅から帰って来た幼馴染のアリシアが嬉しそうに言う名前が最初だった。


 当時のアリシアは『魔法使い』に連れられて旅をしていた、その理由は知らないけど帰ってくると「クロウ君はクロウベル君って言ってね、貴族様なんだけど貴族様らしくないの。凄いのは――」とクロウベルがいかに凄いか。を僕に説明してくれる。


 同じ年と言うのに地下に現れる古代種相手にも無傷で帰還した。とか、同じ年齢なのに、いくつもの魔法を放ちアリシアの魔法と相殺させたなど信じられない事も教えてくれたのだ。



 後になり魔法をお互いに相殺する。というのは不可能だ。と冒険者の先輩から教えてくれた。


 魔法は魔力に応じて威力も変わる、同じファイヤーボールで初心者が使うのと熟練者が使うと効果も何十倍も違うのだ。


 現に冒険者ギルドにいる試験官と魔法の打ち合いをした所、相殺所が僕の魔法はあっさりと消され貫かれた。


 それなのにアリシアの魔法を打ち消すにはアリシアと同じ力で返さないといけない。


 アリシアが嘘を言っているのかと思って聞いてみると『本当だからね?』と怒られた。


 アリシアが嘘を言う理由もないといえば無い。


 そんなすごい人が世の中にいるのであれば僕ももっと強くならないといけないだろう。


 僕は自分の街にある地下下水に潜ってみた、同じ年齢の彼に出来て僕に出来ない事はない。

 しかも彼よりも2年間も訓練した後だ。


 結果といえば地下一層の魔物すら歯が立たなく大けがを負ってしまった。教会にいるアリシアが大きな目をして僕にヒールをかけてくれる。



 強くならないと……。



 絶対に彼を追い抜く。いつの間にか彼は僕の目標になった。



 彼と出会ったのはそれから3年後。

 フユーンという街に入り宿を考えていた所にアリシアがクロウベルの名前を出してきたのだ。


 会ってみたい。

 アリシアは賛成、ミーティアはやや賛成、クィルはどっちでもという意見になった。


 どうせなら地下下水で実力も試してみたい。


 たまたま、フユーンの《《地下下水の魔物が弱かった可能性もある》》。


 僕が許可書を貰いに当主代理と話している裏でひと騒動があったらしい。


 食堂で詳しく聞くとミーティアのお尻をさわった。とか、もしかして彼も女難の呪いにでもかかっているのだろうか? 


 初めて見た印象は、なぜか『嫌悪』感が僕を襲った。

 別にアリシアが彼と仲良く話している、からとかミーティアがお尻を触られたとかではなくて、なんだろう他人の様で他人じゃない感じ。


 魔力が多いと迷信のように言われる黒い髪の毛、目つきは細くあまりよくない。


 ヘラヘラしているが時折見せる大人びた顔。


 自然体な感じであり隙だらけなのに打ち込むことが出来ない雰囲気。


 殺気を飛ばしてもするっと交わされた。

 もしかしたらこの5年間で剣を辞めたのかもしれない。


 うん。きっとそうだ。


 貴族である彼は別に危険を起こす事はしなくてもいいんだ。

 僕みたいに旅をする理由もない。


 でも、彼を倒さなければ……と心のどこかで何かか叫ぶ。



 次の日アリシアが中庭に出る所に遭遇した、なにしているか? と聞くと人差し指を口に当てた。

 見ると彼が森の中に消えていきそうだ。


 アリシアが「クロウ君まだ練習続けてたんだ……」その言葉に僕はアリシアにお願いをする「どうにかして彼と戦いたい。僕の力を試してみたい」アリシアは驚いた顔をするも考えたのか小さく「努力はするよ?」とだけいうと歩いていく、すぐに半分寝ぼけてるミーティアが僕の後ろをついてくる。


 少し歩くとクィルと彼が何か言い争いをしていた。

 場を収めたのはアリシアだ。

 彼女には本当に頭が上がらない。


 必死にお願いをすると彼は試合を受けてくれる事に、僕は緊張しながらも交渉する。


 証文……僕が負けたら冒険者ギルドにでも売るのだろう。

 負けられない、貴族にすら負ける冒険者となれば評価も下がる。


 全身の力込めて僕は間合いを詰めた。

 気づけば彼は倒れていた、僕の一撃を威力を殺しわざと負けたのだ。


 一撃もまともに当ててないのに、アリシアが言う彼の魔法さえみてない。


 卑怯だ。


 彼は強いのだろう。

 

 でもだ!


 この戦いは無い。


 こんな勝った証文など貰った所で何も嬉しくはない。

 騎士なら斬られてもおかしくない所業だ。


 あの目。

 彼は下から僕を見上げていた。

 その目は『いつでも殺せるし』という強者の目に見えた。


 …………彼を超える。

 その思いを反対に味わせてやる。


 親しげに話すアリシアを横目に僕は誓った。


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