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負け悪役貴族に転生した俺は推しキャラである師匠を攻略したい  作者: えん@雑記


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第143話 『英雄達の街』

 ガレキを撤去された大広場で大宴会中だ。

 皇女サンが『デーメーデール』に積んできた補給物資を存分にふるまってる。


 俺は半分崩れた壁に体重をかけて無料の酒を飲む。俺達がしらないだけで結構な死人は出たらしくその追悼ついとうもかねての大宴会。


 俺の目の先には先ほど皇女サンが『この街は…………クロウ……いえ苦労を共にした人々すべてたたえ英雄の街、ヒーローズ』と名付けてはどうでしょう? と、演説を行った場所が見える。


 さらに続きを思い出すと『英雄とはこの街に関係する人全員。そしてこれからこの街に来る人間すべてに置いてです』と綺麗に閉めた。


 それを聞いた冒険者や兵士は肩を叩きあい生き残った事を褒め合う。


 ここで橋を落とした兵士とよく肩を並べられるな。とか小さい事派言ってはいけない。彼らだって命令されていただけなのだ。


 にしても危なかった。

 皇女サンは最後まで名前を言う時に俺を見ていたから、あの場で俺の名前いれてクロウベルランドにしてみろ。デーメーデールを壊して悪評を広め街の名前を返させたかもしれない。


 苦労じゃなくてクロウベ、まで俺は聞こえたし。

 アンジュの剣をそっと出して周りに水球を出したらちゃんと収めた。



「クロー兄さん飲んでる?」

「ああ、ノラか。飲んでるよ……この通り」



 空のグラス見せてはノラから新しいグラスを貰う。

 ええ…………自然に受け取ったけど俺をよい潰してどうするつもりだ。

 もしかしてノラに狙われている!?



「ノラ……俺は師匠がいるからその」

「何の話?」

「いや俺を酔い潰して連れていかれると思って」



 俺の答えにノラは「はぁ」と肩を落とす。



「クロー兄さんがメル姉さん好きなのは知ってるしボクじゃもうどうしようもないよ。それともボクが迫ったらクロー兄さんは答えてくれるの?」



 答えようがない。

 ノラは可愛い弟子みたいなものだしさ。



「別に困ったクロー兄さんを見たいとも思わないし、この話はお終い」

「いやぁなんかごめん。所でノラはクウガの所に行かなくていいのか? ミーティアなんて離れるって聞いて、ミーティアちゃんも行くって叫んでいたぞ」



 クウガを連れて行く事が決まったのでミーティア騒いでいるのだ。



「前にも言ったけどクウガさんとはあんまり接点ないからね。一度フユーンに戻ろうかなって思って。ボクのお父さんのお墓も手入れしたいし」



 ああ、ノラの父は極悪人で盗賊団ゾラだもんな。

 盗賊団そのものはノラの叔父に乗っ取られていたし、その盗賊団も俺が結果的に滅ぼした。



「メーリスさんが『コメットⅡ』で送ってくれるっていうし。馬車で戻るって言ったら遠いんだよ」

「そっか……それもいいかもな。ついでに俺の実家見にいってくれる? アンジュに子供が生まれてるはずだしさ」



 1年以上たっているんだ無事であれば子供もいるだろう。



「クロー兄さんって貴族なんだよね? そんな所にボク1人でいけないんだけど」

「大丈夫大丈夫、アンジュなら俺の事を言えば。でもスゴウベルには気をつけて欲しい。あれは女好きだから……」

「行く前から嫌な事を言わないでほしいけど、わかった見にいくよ。他には?」



 他かぁ、特に知り合いもいないボッチ貴族なので用事はない。




「大丈夫だ」



 ノラが「わかったよ、じゃっまた明日」というと俺から離れていく。


 俺も師匠達に挨拶して寝るかなと周りを見渡す。


 途中でクウガをちらっとみると赤い顔をしてべろべろだ。

 女の子の胸に手を突っ込んでは謝っているが、触られたほうはクウガの手を取ってさらにアピールしてくる。

 そこをミーティアが怒ってクウガの背中から抱き着いている。


 なんていうエロゲだあれ。



 まぁいいもんね俺には師匠がいるから。

 ええっと師匠は……っと。


 車椅子のアリシアを押しながら食事をとっているのを発見。

 急いで近づくと向こうもこっちに気づいた。



「よっ!」

「クロウ君!」

「ん、のじゃ」



 元気そうなアリシアを見てほっとする。

 なんだったら立ち上がった。



「ごめんね。クロウ君に相談なしに決めちゃって」

「座っていていいよ、別にいいってクウガと数ヶ月一緒にいるだけでアリシアが治るならそれで」

「よく言うやつじゃ、散々ごねたなのじゃ」



 師匠が余計な一言をいってくる。



「明日には出発?」

「んーそうするかな」

「そっか寂しくなるね」

「本当はアリシアも連れて行きたかったなのじゃが、他のメンバーもいるのじゃ。まっ無理はしない事じゃな、皇女もここに残る。といっておるし聖女としての広告塔は無理をしない。わかったのじゃ?」



 へえ。

 城に帰らないんだ。



「はーい。わかりました先生」



 なんとなく6年前に戻った感じで懐かしい。

 アリシアも優等生なんだけど師匠によく注意を受けていた。

 師匠が持っている皿から適当につまんで口に入れる。


 油で揚げた芋が美味しい。

 


「そういえばアレックスは結局?」

「先ほどギースが確認して帰って来て貰ったのじゃ……力関係はわからないのじゃが今の迷宮ボスは、そのアレックスを飲み込んだあの大蛇、知能も高くギースを見ては邪魔するな。という態度じゃったとか。しばらくはあの内部も変動する落ち着くまで行かない方がいいじゃろうな」



 迷宮に関しては俺よりも師匠の方が詳しい。

 そう言うのならそうなんだろう。



「さて……ドアホウも来たしワラワは先に寝るのじゃ」

「先生もういいんですか? 料理とかまだあるみたいですけど」

「年寄りだから早く寝る――うぐ!」



 足を思いっきり踏まれた。



「明日に備えて寝るだけじゃ、こう見えても魔力の回復が追い付いてないからなのじゃ!」



 足を抑えているとアリシアの落胆した声が聞こえてきた。



「クロウ君懲りないよね……」

「あ、愛のあるイチャラブだから……」

「そのうち本当に嫌われるよ?」

「常に嫌っておるのじゃ……ドアホウ……寝坊していたら置いて行くのじゃ」



 軽くてをあげて返事をすると師匠はすたすたと『コメットⅡ』へ帰っていく。


 アリシアと2人になり、特に意識もする事無く料理を食べる、凄い平和な時間だ。



「クロウ君」

「なに?」



 アリシアが前を向いたまま真面目な声で俺を呼ぶ。



「先生の正体知ってるの?」

「………………」



 俺は師匠から直接聞いたから知ってるけど、アリシアがそれを知っているとは限らない。

 もしかしたら知ってるかもしれないがカマかけと言う事もある。

 アリシアに? と思うが師匠の許可も取らずにいっていいのかどうか。



「あっ大丈夫。その先生の耳が長いの私も見えるし」

「あー見えてるのか」

「うん。ギースさんもそうよね」

「同族らしいよ……で」

「ううん。今でも先生が好きだったら……クロウ君死なないでね……」



 アリシアは声だけでこっちを見ない。

 軽く軽食しながら俺に話しかけている。



「死なないよ」



 俺がそう言うとアリシアが突然立った。



「クロウ君そういうけど、ダンジョン内で体が半分になった時もうだけと思ったよ!? いつも思うけどクロウ君って――」



 やば。怒られてる。



「2人して何をーいいないいないいな!! クロウベルさんは!!」




 べろべろに寄ったクウガが近くに来る。

 背中にはミーティアを背負っていて、腰にはクィルがしがみ付いていた。



「アリシア! 僕は絶対に君を幸せにする!!!」

「アリ姉ちゃんの次にミーティアちゃんも幸せにしろー!」



 2人でおーおーおー言っている。

 ナイス。

 3人が来た所でアリシアのお説教が終わった。

 アリシアは車椅子に座りなおすと深いため息をだしはじめる。



「うーん、クウガ君そういうのはお酒飲まない時に言うのが一番よ」

「だって、だって!!」



 アリシアのドストレートの言葉にクウガは数歩下がる。



「解毒の魔法つかうね」



 俺はアリシアの頭を軽くたたく。



「いったーい! クロウ君!?」

「俺からも説教だけど、使うなっての。魔法禁止にされてるんでしょ?」

「そうなんだけど……ほら魔力そんな使わないし……」

「うああああああ!!!」



 うお。クウガが突然叫ぶので俺はびびった。



「そうやってアリシアの事を! クロウベルさん! 本当になんなんですがっ!」

「からむなって……」

「わかっているです――」



 クウガが絡みだした。

 明日早いんだからさ……って聞いてないよね。



「クウガ君、クロウ君に文句を言うのはカッコ悪いな……」

「うええええ! アリシアあああ見捨てないでえええ」

「見捨てるも何も幼馴染なだけだし」



 アリシアの言葉の追撃が止まらない。



「わかりました! クロウベルさん勝負しましょう!」

「やだよ」

「クィル! あれもってきて!」

「わかっタ」



 腰にしがみ付いていたクィルが離れると、大きな樽を転がしてくる。それも2個。


 うーん。嫌な予感がするぞ。



「飲み対決です!」

「だから嫌だって……」

「逃げるんですか! だからメルさんにも逃げられるんですよ!」



 はぁ? 今は関係ないだろ。



「殺すぞ」



 思わず本音と建て前が反対にでた。

 が、酔っ払いのクウガには反応鈍い。



「殺せるものならやってみてください!」

「ご、ごめんねクロウ君」

「アリシアが謝る事はない、いいだろう……旅をするのに上下関係をしっかりさせようじゃないか」



 アリシアが小さい声で「なんだかんだでクロウ君ってノリ良いんだよね」とほめてくれる。


 こういうのはほら楽しまないと……。


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