第138話 複合ダンジョンを攻略せよ
馬を走らせて2時間。
俺は師匠の元に戻ってきた、別に道中出てきた敵が強かったとか本当になくて、なんだったらクソ指揮官アレックス俺と魔物の戦闘をみてるだけだったし。
最後の防衛線。
名もなき街の教会にいくと師匠がナース服で医療をしていた。
「なんじゃ……もう帰って来たのじゃ、案外おそかったなのじゃ」
「…………知ってましたね」
「何の話か知らんのじゃ……ワラワが思ってる距離の事ならそうじゃな」
やっぱりか。
さぁダンジョンに行く! といっても徒歩5分でダンジョンにつけるわけがないのだ。
徒歩5分で着いたらもう教会の隣が入口だよ!
以前にいったダンジョンでも同じ思った気がする。
街の外壁予定の場所をぐるっと走って直ぐに戻ってきたのだ。
「コメットⅡに乗って行きます……アレックスこっちだ」
「この何度も呼び捨てに、このアレックス様はカスより年上なんだぞ」
「……何歳?」
「37だ!」
「思ったおりおっさんだった。さてこっちだ《《アレックス》》」
「このっ!」
殴りかかるアレックスの腕を捕まえる。
「師匠。コレ捨てていい?」
「別にいいのじゃ」
離せ! と暴れているが、本気で弱いぞこいつ。
よくこんなので司令官まで上り詰めたな。
「ま、まて! 宝を取るまでは一緒にいくぞ! このまま手ぶらで帰って見ろ『英雄』の称号しか手に入らないではないか」
英雄の称号も手に入らないけどな。
「じゃぁおとなしくしてくれ……」
コメットⅡに乗り込んでアクセルを加速する。
急上昇して急降下である。
徒歩や馬で行くのは遠いが飛空艇で行くとめっちゃ近いという困った場所にダンジョンの入り口があった。
地面が割れ、魔物が沢山でた形跡が見える、その横に飛空艇を止めるとダンジョンへと足を踏み入れた。
「おい! 真っ暗だぞ!」
「知ってる、上層は天然ダンジョンだから、今灯りをだすから」
鍛冶師メーリスにもらった魔水晶型のランプを取り出す。
カチっと音が鳴るまで魔水晶をひねるとランプを中心に明るくなった。
「なんだ、全部明るくできないのか?」
「ランプですし」
全フロア見通せる魔法もあるにはあるが光属性の魔法で俺は使えない。
天然の洞窟で作りが複雑だ。
基本大きい道に沿って歩いているがあちこちに戦闘の後がうかがえる。
天然型のダンジョンといえばアリの巣みたいになっている所が多いらしくいつの間にか地下下層に言ってるパターンもあるとかなんとか……。
魔水晶型のランプがチカチカと点滅を繰り返し始めた。
便利な道具なんだけど魔力に弱いのか、メーリスは特に何も言ってなかったな。
「お、おいなんだ!」
「どうみてもアレでしょ」
俺が指さす場所に明るい光が見える。
光の大きさは、大きくあそこから迷宮型に切り替わったのだろう。
本来であれば迷宮から出れないはずだったんだけどなぁ……まぁ何事も例外はあるか。
部屋の中は壁が大理石の様になっていて剣や盾。
見たくもないが息の無い冒険者だったものが見えた、その体半分はすでになく床と同化し始めている。
「まさに迷宮こそ最大の魔物。とはよくいったもんだ」
アレックスが死体に蹴りをいれて貴金属を懐に入れ始めた。
こいつには人の心はないのか。
「なんだ! 早い物勝ちだぞ!」
「何時か本当に地獄に落ちるよ?」
「これだけ帝国のために働いてなぜだ?」
本気でわかってないようなので無視をする。
「お、おい! 先に行くな」
「悪いが死体から金属を取るような奴と一緒にいたくないし」
「お前は馬鹿か? ダンジョンの宝箱。その中身は死んだ奴の遺品というのは知っているか?」
「まぁそれぐらいはな」
「じゃぁ宝箱に入る前にとっても同じじゃないか」
………………なるほど?
微妙に説得力あって困る。
「…………気分的に嫌なの! もう帰ったら?」
「この奥にはもっといい宝箱があるかもしれんだろ! これは調査が必要なのである!」
まだついてくるのかよ。
「ってか、敵だ」
2部屋進んだところでスライムの群れが現れた。
そう雑魚中の雑魚であるスライム。
「なんだスライムか。素手でも倒せそうだな」
半透明なスライムは内側に魔石が見える。それをつぶせば液体となって消えるんだけど……この冒険者が沢山いる街でスライム。
アレックスが攻撃仕掛けるのを黙ってみてみた。
スライムのぽよんとした攻撃がアレックスにあたると、人間って飛ぶんだ。ってぐらいに吹っ飛んだ。
「ぐっはっ!?」
「あっやっぱり……とりあえず回復魔法かけるか」
吹き飛んだアレックスの隣にいって『癒しの水』をかける。
口から血を吐くアレックスはげほげほしながらも起き上がった。
「な、なんだあれは」
「多分……スライムlv60。とかそんな種類だよ」
同じグラフィックでも突然強い奴がでるあれと同じである。
「水槍」
スライムを串刺しに道を開ける、通りたい部分だけ排除して残ったのは串刺しのままだ。
「倒さないのか!?」
「魔力がもったいないのと……別に倒す理由ないし、やだよ永久機関。それにスライムって魔力も食うのよ、雑魚だけど雑魚じゃないんだよねぇ」
わかったのかわからないのがアレックスは唸りながらも俺についてくる。
次の部屋には巨大な黒蛇が舌を出して俺達を見ていた。
竜と並ぶ魔物の中では上位にいて、なおかつ派生が多い種類だ。
俺が今見ているのは大きめのオークでも一口で食べれそうな奴である。
間違えてなければ、ヒュドラン。
ぎりぎりを責めた名前で著作権的にもOKと思った名前なんだろう。
俺達を襲って来ないのはたぶん大きな卵を守っているからか、壁のはじを通ると見逃してくれた。
その次にあった魔物はマジックリザード。
大きめのトカゲで、各属勢の魔法を使ってくるドラゴンもどき。
見極めはその皮膚の色で青なら水。赤なら火などだ。
さらに奥に進むと未開封の宝箱部屋あった。
ど真ん中に1個だけあって罠に近いがアレックスが開けると静寂の杖が出てきた。
静寂の杖。
対魔法用の杖で使用者の周りにある魔力を一時的に0にする。
つまりだ。
俺や師匠にとっては天敵となる杖。
それ所か『コメットⅡ』にも影響があるかもしれない。
「古びた杖だな」
「そ、そうだね。買い取ろうか?」
「………………お前がそんな提案をするとは考えにくい。自分で持っていく」
裏目ったあああ!
その杖は使えない杖だからバレる前に回収したかったのに。
「いや、そんな重要じゃ杖じゃないよ? マジで。買い取ったほうがいいなぁ。今なら宝石もつけちゃう」
「ふん。ますます価値がありそうだな」
「ない、まったくないから!」
あれ……俺は立ち止まる。
「なんだ。また厄介な敵か?」
「自然型のダンジョンに戻った……この場所だけ。あとあれ」
「穴だな」
「そうぽっかりと穴が開いてる」
視界が暗くなった場所に、注意すればよけれるが落とし穴みたいな穴がある。
魔水晶型ランプに紐をつけて垂らしてみる。
「だれだ! 助けてくれっ!!」
見知った声が聞こえた。
「ギースか!?」
「………………貴様はクロウベル! 助かった……のか。助けてくれ……」
ギース。
師匠と同じ耳長長寿族で時を短時間止める魔法を使える。
「いやまて。貴様なぜ動ける!」
「え?」
「なぜって……なぁ……うわっ!?」
アレックスに声をかえようとしたら、穴をのぞき込む前からアレックスは人形のようになっていた。
瞬きもせずに開いた口も閉じない。
近くにあった石でその股間を叩く、鉄板を叩いてるみたいだ。
「…………自分の魔法は高位の物にはきかない……強くなったのだな」
「謎の師匠感は出さなくていいから。アリシアは? あとおまけでクウガは?」
「生きてはいる間に合えば……」
いやな言葉を聞きつつ、ロープを出して穴の中に降りてみた。




