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負け悪役貴族に転生した俺は推しキャラである師匠を攻略したい  作者: えん@雑記


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第137話 名もなき街の消えざる前夜

「酷いな」



 俺の第一声がそれだった。

 仮の街。という事で村ぐらいはあるのかと思えばほとんどがガレキの山だ。

 


「ほう。まだゴミが生き残っていたのか」



 アレックスがモニターを見てそういうので本気で空に出して蹴落とそうかと思ってしまう。



「ちなみに、アレックス」



 俺はアレックスを呼び捨てにする。



「このアレックス様を呼び捨てだぁ? 貴様、殺されたいのか!」

「剣も無いのに……あったとしても弱いよね……逆に哀れに思うよ。さーて! どこ殴ってほしい? と、聞きたいんだけど」

「ふっふっふっふ。知ってるぞ。貴様は操縦席にいる、そこから離れられまい!」

「そこに気づくとは天才か!?」

「当たり前だろ!」



 俺は師匠に操縦席を変わる。

 腕をまくってアレックスのほうへ歩いた。



「ひ、卑怯だぞ! 操縦をかわるとは!」



 馬鹿なのか。

 別に運転を変わって貰えばそれでいいだけの話だけである。



「そりゃそうでしょ」

「まて。騎士として決闘を申し込む!」

「俺は騎士じゃないし」

「…………ひ、卑怯だぞ!」



 2回目の卑怯を貰ったけど別に怒りもわかない。



「別に正義ってわけじゃないし」



 さぁ殴るぞ! と思ったときに師匠から「ドアホウ」と声がかかってきた。



「呼びました?」

「ミーティアがおるのじゃ」

「まじで?」



 モニターの一部が大きくなるとミーティアが大きな手を降ってる。

 周りにいるのは冒険者か? 一般人もいるな……屋根の上に見えるのはクィルだ。

 以前渡した伝説級の弓を俺達コメットに標準をとらえていた。


 師匠と交代して大きな建物の近くに止める。

 直ぐに俺と師匠は『コメットⅡ』から降りて周りを見てみた、近くまでよって来たのだろうミーティアが走ってきた。



「やっぱりド変態だ! それにメルさんも! 見た事のある飛行船だからもしかしてって」

「俺がド変態になるのは師匠だけだっていうの。ちゃんとクロウベルって名前があるからね! で、そのド変態から質問なんだけど現状は?」

「ミーティアよ久しいのじゃ」



 師匠の短い挨拶も終わったので直ぐにミーティアが色々教えてくれた。



「一度は落ち着いたんだけどクウ兄ちゃんとアリ姉ちゃんが洞窟から戻ってこない……その後に4回目の魔物が沢山出てきて……ミーティアちゃんとクィルちゃんも頑張ったんだけどさ。騎士団はサンちゃんを引っ張って直ぐに逃げるし……帝都に戻るにも途中の橋が壊れて、今は戻ってきたりして非難した人たちをこの教会に集めて防衛してる。ね、救援はいつ?」



 あー渓谷が多いもんな、あれを超えるとなると大きく迂回しないといけない。


 魔物から襲わていたら無理だ。

 泣きそうなミーティアの頭を軽くなでる。



「おい、貴様! 街を見たのなら帰るぞ」

「だれが一緒のいるの?……あっ逃げた騎士団!!」

「に、逃げては無い! 戦略的後退だ! そんな事より愚民たちよ、アレックス様が帰るまで屋敷と食べ物を用意せよ」



 あるわけないだろ、この状態で。



「ねぇド変態、アレなに?」



 ミーティアの声色が静かになる。



「ゴミ……いや喋るゴミ。まぁそんなに殺気をだすなって、少し注意してくるから」



 この状態で腰に手をあて威張っているアレックスの前に行く。



「この街といっても仮の街だけどさ。この先にあるダンジョンで魔物が暴れてるらしいんだ」

「それぐらい知ってる」



 まぁそうか一応指揮官だもんな。



「帝都に魔物が来たら困るだろ?」

「帝都の方に来ないように橋は落としてある、何も問題あるまい」

「………………」

「な、なんだ?」



 アレックス以外言葉がとまった。

 なるほど。

 どうりで魔物があふれたとしても帝都の方では焦ってないと思った。



「一応聞くけど、このことサン知ってる?」

「姫の事か? 知るわけないだろ、戦術も何もわからない小娘に」



 聞いたのが俺だけでよかった。

 ここで暴動が起きると色々面倒だし、人手が足りない。

 コメットⅡには武装は無い。



「頼むから揉め事は辞めてくれ……それとも殴られたいか?」

「む、こ、怖くは無いが英雄たるもの我慢はしようじゃないか」



 ずっとしてくれ。

 ミーティアや師匠の達の所まで戻る。



「連絡係や戦力が欲しいな、師匠も今は口だけの女性だし」

「魔力切れなだけなのじゃ、あと半日あればフルバーストぐらいは、けが人を早く非難させたほうがいいじゃろな。もしくは魔物か」



 とはいえコメットに乗せれる人数はぎゅうぎゅうにつめても10人ぐらい、ミーティアやクィル。それに他の冒険者もみえるなか師匠も言っているけが人もいる。


 コメットで帝国や宿場の往復でもいいけど、そこそこに時間がかかる。


 その前にまずは魔物を来ないようにしなければならないのが現状だ。



「とりあえず洞窟に行くか……師匠はここに」

「アリ姉ちゃんを助けに行くの?」

「んーー生きていればな」



 ここで絶対に生きてる。とはさすがに言い切れない。

 ミーティアの後ろでは怪我をした人間がかなりいる、アリシアなら全部治すだろうし、それが治ってないって事はだ。



「それでもいい。もし生きていたら洞窟の中にあったお宝全部渡すね」

「宝だど!?」



 暇そうにしていたアレックスが叫びだした。



「きさま宝があるのか!?」

「ミーティアちゃんって名前があるんですけどー! この臆病者!」

「帝国の領地内にあるダンジョンから出た宝は帝国の物だ! 冒険者は手癖が悪くて困る、まだ管理されてないダンジョンから宝を奪う泥棒とはな」

「ななななななななな!」



 やっば。

 ミーティアが震えてる。

 寒さじゃなくて怒りだこれ、俺は慌ててミーティアの腰にタックルした。



「な! 硬い!」



 予定ではミーティアをタックルして転ばせて、不本意ながら尻や腹をなでで戦意を分散させるつもりが、腰がしっかりしていて俺の力では倒せない。



「はーなーせー!! ころす! アイツだけは殺す!!」

「落ち着けミーティア!」

「クー兄ちゃんやアリ姉ちゃんを見捨てたくせに!」

「勝手に突進しただけではないか?」

「なんだとおお! 騎士が黙っているからミーティアちゃんたちがっ」



 ミーティアをなんとかしないと本気で死人がでるな……抱きついたついでに最終手段で胸をちょっとさわった。



「ふぎゃああああああ!?」

「やばっ水盾!!」



 ミーティアの回し蹴り。

 それを俺は水盾で受け止めた、それでも強い衝撃が来て体全体が後ろに下がる。



「さわ。さわった! メルさん、ド変態ちゃんがミーティアちゃんの触った!!」

「し、師匠。今のはしょうがなくですね!? 俺だってまな板を触りたいと思った事は」

「ふぎゃああああ!? ま、まないた!?」

「それより宝を早く出せ!」



 あーもう話があっちこっち……師匠!?

 師匠が両手を上げていて、俺と目が合った。



「ライトニングフルバースト」



 何もない空から稲妻が落ちた。

 世界が真っ白になり、その数秒後爆音が響く。

 空気と魔力が振動しており崩れかけていた建物のいくつかが本当に崩れた。


 誰も何もいわないまま口を開ける。



「うるさいのじゃ」



 師匠が小さく言うといつの間にか持って来ていた木製の椅子に座って足を組み始めた。



「また魔力が空に近くなってしまったのじゃ……ドアホウ。ダンジョン内にいって2人の……遺品を頼むのじゃ。ミーティアよ落ち着かせるための奴じゃドアホウに代わって謝罪するのじゃ。それと、そこの司令官、貴様も男であれば宝などダンジョン内にあるはずじゃ。いまなら取り放題じゃぞ。表に出てきた魔物は居なく復活待ちだろうじゃらかの」

「そ、そうなのか!…………そうか。おい貴様。洞窟へ案内しろ」

「えー……こいつと?」

「ドアホウちょっとこいなのじゃ」



 師匠に呼ばれたので、近くに行く座っている師匠のどこに座ろうか迷っていると手を引っ張られた。

 しまった迷う前に対面に座ればよかった、さすがに怒られるかなって迷ったのがいけなかったか。



「変な事かんがえてるんじゃないじゃろな……」

「何も?」

「思いっきりワラワのどこに座ろうかまよっていたじゃろ……アレをここに置かれても面倒なのじゃ。なに実力がなければ洞窟内で死ぬじゃろし、危ないと思ったら逃げるじゃろ」



 確かに、行きたいっていうなら連れて行くか、死んでも俺も知らない。

 当初の予定通りさせてもらうか。




「ミーティア、屋根の上で魔物を倒してるクィルや他の冒険者達には後で事情を説明しといてくれ。俺とおまけのアレックスは洞窟内にいって結晶を壊してくる」

「はにゃ? 結晶?」

「迷宮ボスみたいなものだよ。それを壊せば魔物おさまると思う」



 皇女サンとメーリスに教わったことでさらには師匠の知恵も入った意見だ。


 俺がナナの村で同様の事が起きた奴、天然の魔石水晶のせいじゃないかって事。

 今回の迷宮型と自然型の複合ダンジョン、どこかに似たようなのがあると思うのでそれを壊せば魔物の暴走は止まる可能性が高いとかの話だ。


 皇女サン曰く『あくまで可能性』って言っていたけど。

 何もしないよりはいいだろう。


 生き残った馬に乗って名もなきダンジョンへと足早に進んだ。



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