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負け悪役貴族に転生した俺は推しキャラである師匠を攻略したい  作者: えん@雑記


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第133話 クソみたいな騎士団長

 さすが飛空艇『デーメーデール』俺が貰った小型飛空艇よりも部屋数が多い。

 俺の飛空艇が一室シャワートイレ付に対して、大型フロア含め部屋が20室以上あるようだ。


 ゲームの中ではクウガ率いるハーレムパーティーが好きな部屋を使っていた。

 実際に入ると広い広い。


 もう小さい村ぐらいは作れるよこれ。

 内部に家畜と農場を作ってエネルギーは大気中の魔力で飛ぶ。

 うわ、それかっこいい、ロマンあふれる。

 女性だらけにして動くハーレムの城が作れてしまいそう。


 父さん本当にあったんだ! まぐわいの城がてれてーれれてーてーててー。



「こちらですわ…………どうなされました?」

「え、いやなにも」

「そうですか? 頭のおかしい顔をされていましたけれども」



 失礼な。



「ドアホウの頭は元々なのじゃ」

「そうでしたわね」



 師匠までも俺の頭の事を言ってくる。

 失礼な。

 口に出さない抗議だけ心の中で言うと部屋の中に入る。


 部屋に入ると簡易ベッドの上で抱き枕を抱えてごろごろしてるメーリスと目が合った。



「あっ! 疫病神!」

「だれがじゃ!」

「だって、絶対に勝てるって言っていたのに負けるんだもん。と……誰さん? あっ言わなくていい! おっぱいも大きいし、身長が高い……目つきもきついって事はあんたが探していた将来を約束した女性だよね? ごめんね。この人がそう言っていたから」

「おい、ドアホウ?」

「勝つとも言ってないし俺は師匠の事をそんな風には言ってない! ……たぶん……鍛冶師メーリス。魔石を使った技術屋で当然こっちが俺の探していた師匠」



 もしかしたら言ったかもしれないが日常会話なんてそんな覚えてないよ。

 皇女サンは俺と師匠を椅子に座らせると優雅に紅茶を入れだした、メーリスのほうはクッキー缶を開け始める。


 立ちながら準備してるメーリスに飛空艇『コメット』が壊れた事を伝えた。



「はいどうぞ。ってマジで? あのエンジンはそうそう壊れる事ないんだけど……」



 4人が椅子に座ると庶民のメーリスは直ぐにクッキーを口に入れる。

 俺も庶民なので同じように食べ始めた。



「らしいですわね。現物を見に行きたいのですけれども……どこに置いてありますか?」

「フェーン山脈」



 俺が『コメット』が置いてある場所を言うと皇女サンは聞こえなかったらしい。

 不思議そうな顔をしていた。



「もう一度」

「だからフェーン山脈、耳まで遠くなった?」

「耳まで。という事は他にどこが落ちたというんでしょうか?」



 皇女サンがちょっとキレるとメーリスが驚く。



「嘘でしょ!? え、そこに落ちたとしてどうやってここに!? 1年ぐらいかかりそうなんだけど……」



 今度はメーリスの声が大きい。



「いやぁ、飛空艇ならすぐでしょ」

「帰りの話してるの私は!!」



 メーリスが立ちあがったので紅茶がこぼれそうになる。

 直ぐにメーリスが謝ると椅子に座りなおした。



「相変わらず面白い人ですのね。移動手段はこのさい目をつむりましょう……」

「説明が面倒だからつむっていて」

「この男は……まぁいいでしょう。修理といいましたがリセットボタンは押しましたか?」



 なんだそれ。

 俺が知らない。と伝えるとメーリスが補足する。



「『コメット』のだよ。自動修復装置があるから暫くすれば戻ると思うんだけど。それでだめならリセットボタン。私達だって直ぐに壊れるようなのを作った覚えはないよー?」

「押してないし今初めて知った。え、俺に説明した? メーリスでもサンでも」



 説明書は見ないタイプだけど、何も聞いてないのは事実だ。

 皇女サンとメーリスはお互いに顔を見合わせてアイコンタクトを送り出す。



「まぁいいでしょう」

「そ、そうね、次回気をつけて」

「おい」



 皇女サンは高そうなクッキーを自分の場所から俺の方に進めてきた。

 ろこつな賄賂である。

 俺はそのクッキーをそのまま師匠の方に受け流す。

 師匠は手元に増えたクッキーをパリパリと口に入れ始めた。



「わかりました、いくらほしいんです?」

「ちょ、金で解決!?」

「説明しなかった落ち度はこちらにありますわ」



 金は十分もらってるし、飛空艇ももらったこれ以上はもらってもな……俺は師匠を見ると師匠はクッキーを飲み込んだようだ。



「ワラワは部外者なのじゃが……ドアホウが要らないのであればそれでいいなのじゃ」

「ただより高い物はないと。わかりました……西の街が出来たら貴方の名義で土地と家をご用意しますわ」



 ほう、それは嬉しいかも。

 現在俺はホームレスみたいなものだ。

 家もなければ土地もない、あるのは金と勇気だけである。冒険者ではないけど冒険者のほとんどは自宅をもってないのだ。


 勝手に立てて住んでるやつもいるけど、そういうのは最終的に取り壊される可能性が高い。


 そういう人間が集まって村が出来る事もあるが、人が住むには不便だったりもする。



「あっそうそう西の街で思い出したけどクウガ達は? 一緒に来てるんでしょ?」

「クウガさん達でしたら街の迷宮でしょう……」

「全滅したと思うよ」



 んんんんん?



「よし、話は終わり!! 師匠帰りましょう」

「ん」



 話の流れがやばい。

 クウガが全滅したってのはすごい気になるが、これ首を突っ込んだら面倒になる奴だ。


 聞かなかった事にすればいい。

 ってかアイツ死に過ぎだろ!

 今回はアリシアがいるんだ、あっそうか。



「アリシアは?」

「もちろん一緒にいると思いますわ。天国に」



 座ったままの師匠はすごい冷静だ。



「どういう事なのじゃ? ワラワの見立てでもアリシアもあの小僧もそんな簡単に死ぬような奴ではないのじゃ」

「あら、お知り合いでしたか? ですが帰るのであればこれ以上答えを聞いても意味がない事ですの、ごきげんよう。わたくしたちは『デーメーデール』の自動修復装置で治り次第迷宮上空に向かいます、早めに降りたほうがよろしくってよ」



 皇女サンが俺達に微笑むと小さく手を降る。

 毒下を抜かれたというか、その圧で俺は立ち上がってしまった、師匠の方はどうどうとしたもので椅子に座ったままだ。


 目を閉じて胸の下で腕を組んでいる。

 三角帽子を深くかぶって背もたれに背を預け動かなくなった。



「師匠?」



 返事が返ってこない。

 そっと胸を揉んでみた。



「貴方っ!?」

「うっわっ。あっでもメルさん動かない」

「え。まじで……もみもみ」



 俺はもう2回ほど揉んでみた。

 目元がぴくぴくしてるが目を閉じたまま動かない。


 3回目を揉もうとすると腕を掴まれた。



「お?」



 俺の視界が突然天井を見ると、投げられていた……まではいいんだけど。指先に激痛が走った。




「うあああああああああ!?」

「貴方っ! ゆ、ゆびが」

「きも! きも!? 指が5本全部反対に曲がってる!?」



 痛い痛い痛い痛い。



「『癒しの水』『癒しの水』『癒しの水』!! いたいたいたい…………」

「当たり前なのじゃ! この真面目に考えてる場面でよくドアホウはワラワの胸をもめたな!? 一度本気で死んだ方がいいのじゃ!? 魔力が回復していたらドアホウの目の玉にライトニングを直打ちしたい所じゃったのじゃ!!」

「お、落ち着いて下さいませメルさん」

「そ、そうそう。この人が変態なの知ってるんでしょ? 私もドン引きしたけどさーね。ここは女性同士、この変態を叩きたいのはよーくわかるし」

「わたくしもですわ」



 女性3人の同盟が組まれてしまった。

 俺は何もしてないのに。



「本当であれば骨を拾いにいくか」



 師匠が『のじゃ』をつけないで淡々という。



「クウガの?」

「アリシアじゃボケ。あの馬鹿は昔から自己犠牲感が強すぎるのじゃ、1人であればどんな場所でも生きていけるほどの才能はあるのじゃが……仲間がいる分みずからの回復を仲間に回す癖を治せ。と言ったのじゃがなぁ……」



 確かに。

 アリシアがクウガ達を見捨てて生き残ってる未来が見えない。

 まず最初に最後まで魔力を使って倒れるのはアリシアだ、そこから全員殺されていく。

 邪竜の里でも、いくらしたでネットを張ってる仲間がいるからってアリシアが飛ぶ必要なんて一切ない。

 里の出身であるクィルでもよかったわけで……失敗しても回復魔法で大丈夫! って言っていたアリシアの顔が思い出す。


 部屋がノックされた。


 皇女サンが「どうぞ」というと先ほどの鎧を着たおっさんが扉を開けて部屋の中を見回す。



「ちっ。お前らまだいたのか!? 姫! 部外者の排除をお願いします」

「ここで言いなさい」

「…………城に戻った時に皇帝に姫のわがままが過ぎると進言させてもらいますがよろしいでしょうか?」

「ええ、お好きに」

「では。修復ボタンの復旧が終わりました。姫の言う通り何者かの工作でしょう……あんがい姫の周りにいた冒険者や聖女と名乗っていた女でしょうな。あまり見ないですが魔石がつけらていました、冒険者ギルドで手に入れたのでしょう。ですからアシ共和国から来た冒険者なぞ乗せる事は反対だったので――」



 何だこの男。

 前後の話がまったくわからんが、船が撃墜じゃない一次不時着したのはクウガやアリシアのせいだって言いたいのか?



「アレックス。要件を言いなさい」

「っ!? あ、後3時間後には飛べると思います。一度帝都グランパールに戻りゴミみたいな冒険者を時間稼ぎに送りましょう。姫様も城の方に待機を」

「作戦指揮官はアレックス。貴方です、わかりました」



 おっさんが部屋から出ていくと少し沈黙が流れる。



「サン」

「帝国も一枚板ではありませんの」

「…………そりゃわかるけどさ。王国だって一枚板じゃないし説明できる?」



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