表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
負け悪役貴族に転生した俺は推しキャラである師匠を攻略したい  作者: えん@雑記


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

130/423

第130話 魔女の美貌と魔法

 《《偶然》》手に入れた特権チケット。

 これを持っていると西の盆地。

 今は簡易的な街作りの最中らしいが、そこに無料で行けるという。


 と、言う事で師匠と一緒に冒険者ギルドに。



「てか師匠そのアレなんですよね正体。よく冒険者ギルドに行くけど平気なんですか?」

「平気じゃろ、念のために登録こそしとらんのじゃ」

「何時までたっても綺麗だったら怪しまれますもんね」

「…………っと口が上手いののじゃ」



 お、師匠が少してれたくさい。

 これはイチャラブなのでは?



「ほれ、ドアホウ着いたぞ」

「はや」



 ギルドの横にある広場には乗合馬車が2台。

 中は胡散臭い男達が乗っているのが見えた。



「本日の便、最終でーすーチケットをお持ちの方はこちらにお並を」




 俺は師匠を見る。



「たぶんあれっすよね? 師匠」

「ん、急いだほうが良さそうなのじゃ」



 外にある机にはもう1人しか並んでいなく、その背後に俺と師匠は並ぶ。

 

 俺の番が回ってくると見知った顔がそこにあった。

 地味顔でおさげ姿の芋っぽさが多い女性事……。



「あれ……クロウベルさん?」

「地味顔の……ベンナさん」

「アンナです! 今までどこに……探したんですよ?」

「ごめん、俺には師匠がいるんだ」



 アンナが俺を不思議そうに見ると、背後の師匠がごほんと咳をする。



「あー! も、もしかして告白と勘違いしました? ……あの勘違いさせてごめんなさい」

「恥ずかしい奴なのじゃ」



 追い打ちやめて。

 あるお城ってもう答えを言ってるようなもんだ。

 皇女サンだろう。



「えーあっちこっち……とりあえずはい、チケット」

「ええっと……うわ、ずいぶんと黒い……もしかして血ですか。それもあっちこっち。この辺は破けてますね。本来であれば丈夫に作っているんですけどけ、それにしわもすごい握りしめて離さなかった感じがします番号が……245Fの――」

「え? 番号?」

「はい。不正防止に番号の確認しますけど? どうなされました?」



 やばい。

 コンサートにくのにダフ屋からかったチケットがはじかれるのと一緒か?


 ま、まだだ。

 購入者の名前確認などまだ無いはずだ。



「あ、番号ありました。購入者はバンバン。冒険者登録も紐づけしてますねランクはE…………あのクロウベルさん? ですよね?」



 名前確認あるんかーい。


 アンナが俺とチケットを比べてみて困惑する顔を向ける。

 俺にできる行動は一つしかない。



「《《初めまして、僕はバンバン!》》西の街にいきたいんだ」



 そう、なりすまし作戦だ。



「ク、ロ、ウ、ベ、ルさん!」

「ミ、見破るとは……」

「今の今まで会話してましたよね?」

「そ、そうだ金なら払うから」

「要りません! 冒険者ギルドは不正は見逃しません。今回は牢に10日ほどですかね」



 はっきりと言われてしまった。

 もう、そういう融通ぐらいきかせないと冒険者ギルドで働けないよ?


 10日も牢に入りたくない。



「助けて師匠えもんー」

「はぁ……おい小娘。そのチケットは譲り受けたのじゃ」

「師匠……そ、そうバンバンって奴から色々あったけど金貨400枚で買い取った」



 殴って殴って『癒しの水』で回復させた後にさらに殴って譲ってもらったのだ。

 でも武器を壊したのは事実なのでちゃんと金貨400枚ほどは渡した。

 最後は喜んでいたし良い買い物をしたはずなんだけど、番号がいるって知っていれば買わなかったぞ。



「あの貴女は? チケットはありますか?」

「無いのじゃ。こやつの…………連れじゃな」



 一瞬何て言おうか迷った師匠は連れと言う事に落ち着いたらしい。



「クロウベルさん」

「なに?」

「もしかして胸が大きく融通効かないし直ぐに怒るけどちょっと乙女な女性を探してましたけど、この方です?」

「うおおおおおおおいいい! ここでそれ言う? そりゃ確かにギルドに頼んだけど、ちょ」



 肩をポンポンとされて振り向くと杖が飛んで来た。

 腕をクロスして受け身を取るも、普段より威力が大きい。

 俺は数メートル吹っ飛んで周りの冒険者の視線を集める。


 両足でなんとかふんばり、アンナが座っている机の前に戻ってきた。



「で、話戻すけど。そのチケットは正式に譲り受けた」

「………………今のアレで普通に進むんですか!?」

「え。ああっ俺と師匠のボケとツッコミみたいなやつだし」

「ワラワは本気なのじゃがな」



 またまたー。

 師匠が本気だったら戦い方変えるでしょ、俺を追い詰める戦い方だってできるはずだ。



「正式にって、ギルドで変更手続きしてませんよね?」

「時間がなかった」

「………………」

「………………」



 俺もアンナも無言だ。

 ちらっとみると冒険者を乗せた馬車が暇そうにしていて御者が御者台に座って待っているようだ。



「そういう事があるから、番号の登録制にしてるんですよ……困ったなぁ……先ほど探していたって理由ですけどクロウベルさん見かけたら連れてきてって言われてますし」

「はい? 俺をどこに?」

「ある王族の方が見かけたら呼ぶように。と」



 皇女サンか?

 だったら話は早い。



「国家権力に逆らってまで俺を足止め?」

「国家権力ではなくお願いなので命令じゃありませんし。チケットはちゃんと発行しますので10日ほど牢にお願いします」

「ぐぬぬぬ……」

「10日ほど牢に入ればいいなのじゃ」

「嫌-でーすー! 師匠入ります?」

「なんでワラワが入らんといけないんじゃ」



 師匠が文句を言うと、冒険者が乗っている馬車から野次が飛ぶ。

 いい加減出発しろ。

 女だけ乗せろ。

 ロリじゃないのは要らない。などなど。



「はぁうるさいゴミなのじゃ……」



 師匠がそう呟くと、冒険者の野次がもっと酷くなる。

 聞くに堪えない言葉で師匠の事をババアなど呼ぶ奴も。



「は? ふざけるな師匠の色気凄いんだぞ!?」

「おい、辞めろなのじゃ」

「ソックスはいたまま寝て翌朝片方ないとかむぐぐ」

「辞めろなのじゃ!」



 師匠がキレだしたので俺は言葉を止める。

 そうすると、野次を飛ばす冒険者はもっと凄い事を言ってくるのだ。


 若い男しか興味ないババアや、俺もあやかりてえなどなど。

 師匠は野次にはキレてないが、ひどく面倒そうな顔になっていく。


 大丈夫、俺も大変面倒になってきた。

 なんで西に行くだけで帝国の許可がいるのか、もう勝手に行ったほうがいいよね。まで思えてくる。



「おい小娘。ギルドマスターは居るのじゃ?」

「いますけど……お知り合いでしょうか? で、ですが駄目です! お知り合いの不正とか絶対に!」



 声がでかい。

 まるでこれから俺達が不正をするみたいな言い方を、物凄く宣伝してくれる。

 地味なアンナさんは頭が固くて困ってしまう。



 師匠の気配が変わった。

 野次を飛ばしていた奴の中にも気づいた奴がいたのだろう口を閉ざす者、まだわめく奴。


 俺達を10日の牢にいれるために取り押さえようとしている冒険者も少し離れた。




「ドアホウ。万が一を備えて置け」

「え、まぁはい?」

「ワラワは誰の命も受けぬ。もしワラワの前に立ちふさがるならそれ相応の覚悟をせよ!」



 大きな胸を張って堂々と言い張る師匠はかっこ美しい。

 魔女が魔女と呼ばれる由縁というか、思わず俺は見とれてしまった。




「…………はっ!? 問題を起こす気ですか!? ここは冒険者ギルドですよ!? 周りにだって強い人がたくさ――」

「ライトニングフルバースト」

「ちょ!?」



 俺が師匠!? と叫ぶ前に師匠の無詠唱に近い魔法が放たれた。

 冒険者ギルドに隣接してる丁度人がいない場所。


 野次を飛ばしていた馬車の目の前だ。



 大きな爆音が響き視界が真っ白になる。

 耳がキーンとなり辺りの音が消えた。


 白煙が収まると頭上にあげた手をゆっくりと降ろす師匠。

 それを見ているアンナは顔面蒼白で震えている。



「ワラワ達は西の街やらとやらに行く。異論は無いのじゃ?」



 アンナは助けを求めるかのように冒険者ギルドの方を見た、3階の窓から老人がこっちを見ていて物凄く首を上下に振ってる。


 あれがギルドマスターなのかな?



「わ。わかりました。乗合い馬車にど、どうぞ」



 勝った。


 師匠が乗り合い馬車を見ると、乗っていた冒険者全員がわれ先にと逃げ出した。


 御者台にいた御者と馬さえも逃げてガランとした馬車に師匠が乗り込み、俺も乗る。



「まだ出発しないのじゃ?」



 師匠が誰に言う事も無く聞こえるように言うとすぐに馬が付けられて動き出した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ