第124話 罪滅びしパーティー!
退院パーティー!
場所は『竜の尻尾』主催者はクウガとその仲間達。
「クロウベルさん、本日の主役何ですしどうそ。真ん中に」
入院から3日後、退院の手続きをしてると突然クウガに拉致られたのだ。相談があるから……と言われた先でのコレである。
竜の尻尾に入ると、アリシア。ミーティア。クィル。ノラ。ギース。が待っていて俺に向かってクラッカーを鳴らして歓迎してくれた。
「その突然呼ばれたけど……え、なにこれ。垂れ幕?」
「はい、無理行って一番いい職人に作ってもらいました」
白い垂れ幕に金文字でクロウベル=スタン22才の初めての退院。と書かれている。
恥ずかしいよ!?
「美的センスまったくないじゃん、職人に頼んだの? まじで?」
「…………ごめん。クロー兄さん」
「クロウ君?」
突然謝るノラと笑顔で俺の名前を言うアリシアを見て、色々さっした。
「よく見ると金文字が渋いな……文字も一流の奴が書いた面影がある。もしかしてノラが書いたのか?」
「ち、ちがうよ! ボクは頼んだだけで。そのへんなセンスで……」
「よく見たら素晴らしいって俺のセンスが間違っていたの」
ノラの機嫌がよくなっていく。
これ以上墓穴を掘る前に俺はカウンターに座ると、いつもの店主が黙って酒を出してくれた。
「今日は僕達の奢りですので、ガンガン飲んでください」
クウガが代表してそういうと俺の同じ酒をクウガも頼む。
それ以前にだ。
「病み上がりにガンガン飲めと?」
「え……あっ考えてませんでした」
「クロウ君?」
鋭いアリシアの言葉が来たのでとりあえず笑顔を作る。
「いや……ここは飲むべきだな。数日酒も飲めなかったので楽しむとするよ」
「よ、よかった……迷惑だったらどうしようかと」
迷惑だよ!
というのを我慢する、こう見えても俺は社交性はあるのだ。
「皆で色々考えたんです。迷惑かけたクロウベルさんに何かないかと」
クウガが説明すると、ミーティアがよって来た。
「はい。これ、退院祝い……なんでミーティアちゃんがあんたに」
「え、ミーティアがくれるの?」
「当たり前よ! クウ兄ちゃんを助けてくれたんだし」
ミーティアからリボンのついた箱を貰った。
さっそく開けると1枚の紙が入ってる。
どこにでも売ってそうな紙で黒インクで何か書いてあるみたいだ。
「ええっと『ミーティアちゃんが1回何でも言う事をきく券』」
「ど、どう! 嬉しいでしょ? このミーティアちゃんが友達のいないあんたに1回だけ仲間にしてもいいし、食事だって付き合ってあげる! ミーティアちゃんを彼女の練習用にプレゼントを買って貰ってもいいし」
ミーティアはすごい上から俺に話しかけてくる。後何で全部ミーティアが得するだけの提案なんだ。
「でも。どうせ反故にするんだろ?」
もしくは『はい。聴いてあげた!』とかだ。
「裏面をみなさいよ! 反故にしたら罰金金貨2万枚もしくは操り師の腕輪で強制も可能なんだから」
まじか。
ちらっとクウガを見ると無言である。
だよな。
男なら使い道は1つしかない。でもミーティアは《《馬鹿》》だから気づいてないのだ。
近くにいたアリシアを見ても「ええっと……ミーティアちゃん」と何を話していいのか迷ってる。
「さすがにこれは貰えないな」
「ええええええええええ!! クウガがあんたの退院祝いするって言うから色々考えて作ってもらったのに!!!」
「色々考えてこれなのかよ!」
ミーティアが怒らないでよ! というので深呼吸する。
「クウガええっと……いやノラ。このチケットの《《やばい使い方》》をミーティアに教える事出来る?」
「クロー兄さんがそういうなら出来るけど。ミーティアさんちょっとこっちに」
「何なにー!? この流れ、もしかしてミーティアちゃんお説教されるの? なんで!?」
「いいですからこっちに」
酒場のはじに連れていかれたミーティア。
ノラの声で「クロー兄さんは一般女性には性欲がないですが――」
いやあるから。
から始まって声が聞こえなくった。
ミーティアが『ふんふん』いいだすと顔が真っ赤になる。
突然に指をさして俺が持っていた別名『ミーティアに色々出来る券』をひったくる。
「あ、あげないんだから!」
「だから要らないっての……クウガにも出あげれば?」
「ふえ!? え…………ダメ! 絶対にダメ!!」
一瞬迷ったミーティアはアリシアの影に隠れた。
「ミーティアちゃん。私の方で燃やしておくね」
「お願いアリ姉ちゃん……」
アリシアがチケットを受け取ると俺の前にクィルが現れた。
「こレ」
「…………くれるの?」
箱を渡された俺はふたを開ける。
食べかけのケーキが入っていた。
「…………食べかけ?」
「味見おいしかっタ」
「食べちゃダメだろ!?」
俺は犬猫かっていうの! クィルはなんで? って顔をしている。
「クロウ君。クィルさんの里では美味しい物は皆で食べて絆を深めるらしいの」
「そ……なの?」
クィルはこくんと頷く。
…………俺は空気を読む。
たとえケーキが腐っていそうな感じでも。
俺は手づかみでケーキをほおばる。
「お……腐ってない」
「クロウ君? 3度目だよ」
アリシアの警告が入った。
これ以上超えたら何が待っているんだろう。
「冗談だから! いや、食べかけはともかく美味しいよ」
「絆、ふかマル!」
クィルがむふーと猫型の鼻を鳴らしている。
まぁこれならこっちも食べたかいがある。
「じゃぁボクかな? っていっても物は特に用意してないんだ。メル姉さんが好きそうな、ぬいぐるみの店をいくつかメモっておいたぐらいしか」
「え。師匠ってぬいぐるみ好きなの?」
「……知らないの?」
「クロウ君……」
ノラとアリシアが俺をかわいそうな目で見て来た。
し、知らなかった……今度俺のぬいぐるみを作って渡してあげよう。
「ありがとう、物もいいけど情報は物よりも重い」
「いえいえどういたして」
ノラの機嫌がよくなると新規加入組のギースがのそっと前に出る。
「貴様にはこれをやる」
「うお!?」
渡されたのはまたもや『チケット』である。少し違うのはくちゃくちゃだ。
「え……俺ちょっとそっちの趣味は無いんだけど」
「ん? 俺一人では何を上げていいのかわからなかったからな……突然貴様に退院祝いと言われて親友クウガに相談した所、親友の得意先の店のチケットを譲ってもらった」
「わーーーーわーーーわーーわーーーーわーーー!」
クウガが突然叫びだした。
俺はチケットの名前を目で追って《《つい口》》にする「男性の癒しににゃんにゃんランド1日無料券……無制限コース……」
「わーわー………………」
クウガの声が小さくなっていく、完全に沈黙した所でアリシアが笑みを浮かべた。
「クウガ君? 後でお説教」
「はい……」
「ってか。俺が貰ってもしょうがないだろ……師匠の所に行くんだし」「クウガが言うには別物と……正直俺もその、元々そういうのはない《《性格》》なのでな」
たぶん種族って言いたいところを濁したのだろう。
ここで悪者は一気にクウガになる。
「なになにー? 要らないならミーティアちゃん欲しい!!」
何もわかってないミーティアにあげようかと思ったけど、流石のギースも困ったあげくアリシアに渡していた。
アリシアは「処分しておくね」と短くいうだけだ。
「気持ちだけ貰っておくよ、アリシアももしかして何か用意してたり?」
「私からはこれ守りの指輪かな。私の魔力を入れてるので1回までならハイ・ヒールと同じ効果だせるの」
それはありがたい。
「へえ。ちなみに……」
「うん。クロウ君が使わなくても別な人がほしかったら譲っていいから」
こういう気の使い方出来るアリシアはさすがである。
酒場の親父がどんどん酒を出すと、裏からきた女将さんが料理を運んでくる。
この3日でクウガ達がどんだけ戦ったかなどを聞きながら酒もいい感じに回って来た。
誰が言い出したのか俺があのク〇邪竜から頼まれた依頼。
忘れられた小島に行く話になり、持っていく物を見たい。などの話題に。
「面白い物でもないけど……はいこれ」
カウンターの上に小瓶を3つ並べる。
青色の液体が入っているだけだ。
「すごい。光に通すと赤くなったりもするよ」
「ミーティアちゃんこれほしい!」
やらねーよ! ってか本当だな。
青と思っていたが黄色や紫にもなる。
クウガが興味深々だ。
「触っても?」
「いいよ。あの邪竜の血とか不吉な事いっていたけどな、呪われてもしらない」
「呪い!?」
呪いの言葉に敏感だったんだろう、クウガの手から2本の小瓶が落ちた。
「あっ!」
音を立ててビンが割れた。
「うああああああああ! す、すみません!!」
「馬鹿っ! 触るな破片や……うわお前手が血だらけに!?」
「す、すみません。大事なのをこれ、これしか」
クウガの両手にはガラスと残った液体とクウガの血がブレンドされた飛んでも液体だけが残った。
どうぞ。と渡されても困る。
「ま、まずは落ち着け、ほら水! もしくは酒!!」
クウガに水を渡して俺も小瓶を開けて酒を飲む。
「クロウ君!?」
「っぷはーいやー美味いなこの酒って何アリシア。クウガも落ち着いた?」
「は、はい……びっくりしすぎて僕は落ち付いたんですけど……」
なんだ? 俺の顔を皆が見てる。
手にはあのク〇邪竜からもらった小瓶を握っていて、《《俺が飲んだはずの酒瓶とすり替わってる。》》
ん?
「んああああああああああ!?」




