第115話 ここから入れる占い。まだ間に合うんです!
本当にフレンダは立派になって……最初あった時は内気で陰の気が凄かったのに。
「ってか、クウガが占い師の助言を聞いたとかなんとか言っていたけど本当にフレンダだったんだな。違ったら別な人を探そうと思ってたよ」
「ごめんね。おばあちゃんの遺品を借りてだけど。あまりにも必死に頼み込むから、それからよく当たるようになって」
フレンダがはにかむと、小さい時のノラを思い出す。
「フレンダせんせい! 今日も恋占いの依頼を…………すわ……あれ来客中ですの?」
「おっ! おもらし娘、久しぶり」
「もらした事なんて一度もありま…………何でここにいるんですの!?」
フランシーヌだ。
金髪縦ロールでフレンダの幼馴染の貴族。しかも街の運営にかかわってるぐらいにでかい貴族だ。
約2年前に水着コンテストで、参加者に下剤を盛ると言う悪役令嬢も真っ青の作戦をたて、優勝をめざし見事優勝した。
ここまではコイツ。フランシーヌの大勝利である。
が。
俺はあの大会でフランシーヌに下剤をもられトイレの番人になった恨みはちゃんと直ぐに返して、フランシーヌもおもらし娘として生誕させたわけである。
「そりゃおまえ……まずは気分を落ち着かせて飲んだら?」
俺はフランシーヌにお茶を進めると「そうですわね!」と俺の紅茶を飲んだ。
「飲んだな」
「ええ、飲みましたわよ?」
「ふっふっふっふ……実はその紅茶にはお前に盛られた例の奴が」
「嘘でしょ……」
フランシーヌの顔が真っ青だ。
俺は静かに頷くとフランシーヌはお腹を押さえ震える足で部屋を出ていく……。
「クロウベルさん、前の事はフランちゃんが悪かったけど、その薬を……」
「盛ってないよ」
「え、でも」
「全部嘘だもん。フランシーヌが『嘘でしょ』って聞いたから俺はちゃんと頷いた」
「うわ、えっぐ……」
俺を非難するのはメーリスで、皇女サンのほうは涼しい顔で紅茶を飲んでいる。
さすが皇女、肝が太い。
きっと心臓に毛が生えてる。
「クロウベル……貴方すぐにわたくしをみますけど、ギロチンにされたいのですか? 継承権は無くてもそれぐらいはできますの」
「見てただけで殺されたくはない」
席に座っていたギースが《《空気を読まず》》に立ち上がった。
「場所がわかったのなら直ぐに行くべきだ」
「ギースさん、そう直ぐに動かなくてもいいと思いますわよ」
「メーリスもさんせいー」
珍しいな。
遊び惚けてるメーリスはともかく、合理主義っぽい皇女サンが止めるだなんて。
「占いなんて信じませんけど『恋占い』がフレンダさんの特技なんですの?」
「え。ええっと……サンさんでしたよね。得意というかよく占いに来る人が多いかな……後は探し物とか」
「そうですの……」
皇女サンが作業着というのに優雅に座りなおすとフレンダを見つめる。
「一つ――」
あっなるほど、恋占いをしてもらいたいのか。
しかし現実主義である皇女サンが恋占いとか……もしかして。
「え! サンって行き遅れなのに嫁にいきたいの!?」
「………………あなた」
横からギースが一歩前に出る。
「ふざけるな貴様。皇女様は今年30歳になる人だぞ! 今更恋人探しとか要らないだろ」
まぁそう思うよな。
「…………まだ27歳なんですけど! まだ間に合いますわ」
めちゃくちゃ怒っているのか笑顔で立ってるのに背後に黒い魔力が見える。
「そ、そうだったのか。人間の寿命は短いその年齢で結婚してないともういらないのかと」
「いつ、だれが、いらないといいました?」
めちゃくちゃ怒ってる。
修正起動しなくては。
「ギース。人間ってのはなぁ! 夢は見るものだ」
「そこ! 慰めてるつもりですか!」
皇女サンがとうとう震えている。
いつもの高貴さが少し足りてない。
「しかし、今は恋愛よりも人の命が」
「よかったですねギースさん。ここが帝国であれば貴方は四肢を落として頭をつぶしましたわよ」
「よかったなギースこれで国外追放だ」
「もちろん貴方クロウベルさんも一緒ですわ」
俺はまじまじと皇女サンを見た。
優雅に紅茶を飲んで冗談を言ってるようには見えない。
「ギース謝るぞ! ごめん」
「その……よくわからないがすまない」
皇女サンは「素直さに免じて、冗談ですわ」と付け加えたが全然顔が笑ってないのが怖い。
「皆あのね占いというのは占いだから、結果は変えれるからね……」
空気がひえひえで、とうとう占いに自信をもっていたフレンダが先に折れた。
「ええ、ご参考までに聞きたいの」
「わたしもー」
「ですから聖女さんを探すのであれば先にお2人でどうぞ」
ギースよ。ちらっと仲間意識を求めて俺を見るのをやめてくれ。
じゃなくても一緒に殺されるか国外追放されそうになったんだから。
「まぁギースもゆっくりしなよ、じゃっ俺が最初に占ってもらうって事で」
「貴方……」
「え、それは卑怯じゃない!?」
女性2人の非難の声が聞こえるが……。
「そもそも俺は占いを否定してないし、せっかく占うなら知り合いである俺が最初って事で」
「別にいいけど……その間違えてもしょうがないと思ってね……あと占う事で未来が変わる事もあるから……」
「だったら大丈夫。まず師匠の初恋を教えてくれ、いや占ってくれ。どんな男でキスはしたのか、それ以上いったのか」
気になるじゃん。
あんな『のじゃ』言ってる人がどんな初恋をしたのか。
もしかして隠し子がいるかもしれないしさ、そしたら将来は俺はその義父になるわけだし。
愛すのは見てみないとわからないけど俺パパとしてがんばるよ。
「ふふ……やっぱり似てるね。師匠さんって、やっぱりメルさんの事だよねあれから2回も様子を見に来てくれたんだ」
「え。そうなの!?」
背後で「噂の探し人ですね」と「どんな人なんだろう」と声が聞こえる。
「うん。どちらもクロウベルさんの現在の居場所を『《《ついで》》』で探して欲しいって。1回目は1年ぐらい前かな……私の力が足りなかったのかも見えなかった……2回目はつい最近。生きてる事がわかって……追加でクロウベルさんの「前世は《《悪魔》》かどうか教えて欲しいっ」て冗談いってくれたよ……で本題の占いはなにかな?」
いや師匠の初恋を知りたいのは本題なんだけど。
……1回目はあれか、俺がいまいましい蜃気楼の城にいた時か。
外部と時間の流れが違うから見えなかったのかな、それで墓を作ったと。
2回目は最近って事は俺とはぐれてからだ。
ってか前世……あっぶね。
いやね、ばれても良いんだけど俺が前世の記憶持ってるってのはやっぱり師匠クラスなら何となく察するのか。
でも、悪魔ではない。
「そこはせめて天使だろ……」
「ふふ、占いで前世はわからないしメルさんの冗談だよ」
絶対本気だ。
「もちろん、俺の今の占い依頼も冗談だよ。空気を和ませる感じで」
「本気とおもってゾワっとしましたわ……女性の過去を知りたいとか一番嫌われる奴ですし」
背後から聞こえる声に俺は咳払いをして「当たり前だろ!」と後ろを振り返る。
「師匠の今の場所を知りたい」
「ごめんなさい。メルさんからクロウベルさんにだけは場所を知らせては駄目なのじゃ。って」
「あら、やっぱり嫌われていますのね」
「ストーカーだもんね」
外野うるさい!
「でも、運命力があればすぐあえるじゃろ。って伝言伝えるね」
「さすが師匠。俺の心をわかってる!」
そうだよな。
「運命力がなければ会えない。無いですわよね」
先ほどのお返しかって言うほど毒が多い。
「俺の用事は終わった。じゃぁ俺とギース……一応メーリスも別の部屋に行くぞ」
なんでって顔してる。
「占いなんて個人の情報を聞かれたく無いだろ。俺の場合は聞かれても平気だったから言ったわけで」
「心使い感謝いたしますわ。普段からこうであればおモテになるでしょうに」




