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負け悪役貴族に転生した俺は推しキャラである師匠を攻略したい  作者: えん@雑記


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第112話 ギース君怒りでテーブル破壊!

「ふざけるな!!」



 久しぶりにギースに会って早々怒られた。

 場所は酒場『竜の尻尾』で目の前に座っている。


 テーブルには大量の銀貨が積み上げられていて、俺への借金返済だそうな。


 別にいいのに。

 俺だってないわけじゃないのに、クウガの遺体……じゃないクウガの保管代や、牢から出るのに色々した工作がばれており、そのお金らしい。



「だから返済は要らないってそんなに怒らなくても」

「自分が怒っているのはそっちじゃない! その乗り物の完成に2年だと!?」

「あっそっち? 俺としても1日も早くクウガを助けたいよ?」

「お前が待て。というからもう半月も立ってるんだ。船で行った方が早かっただろう!」



 確かに。

 不眠不休で走れば王国行きの船ぐらいは乗れたかも。



「でもさぁ、そこから探す当てあるの?」

「何とかする、聖都にいけば」



 はいでたー聖都にいけば。

 行った所でC級冒険者がいきなりアリシアに会えるわけないでしょ。



「ギースだってさぁ、当てがないから俺の案のんだんだろ?」



 ギース君黙ってしまった。

 言い過ぎたかな、これ以上言うと時止めで俺が殺される。



「姫さんから数日まて。と、言われているし文句はそれから」

「姫?」



 ああ、知らないのか。

 ちらっと店主の方をみると余計な事は言うな! と、圧が見える。



「とにかく数日まってよ」

「……心得た。が……これ以上かかるようであれば自分1人で王国に行く!」

「ちなみに……王国に行くのに1ヶ月かかるとして馬車代、船代、王国に入ってからの移動費。食費。帰ってくるのに人数は増えるわけで。出せる?」

「か。稼げばいいんだな」



 ギースは立ち上がるとテーブルにバン! と手を置いて帰ってしまった。



「…………いや、無いなら融資しようか? って言おうとしたんだけどなぁ」



 料理と酒を運んできた店主からにらまれた。

 色々心当たりあるけど、俺は黙って料理を食べる。

 2人前あるけど食べきれない事はない。

 胃もたれしつつ宿に帰る。


 滞在費やクウガの保管代で結構な金額を支払ったおかけで俺の財布は物凄く軽い。

 いや、銀貨などで物理的に重くはなったけど俺だってギースから貰ったこの金はちょっと使いにくいな。


 仕方がない。


 街の中央にある大きな橋を渡る。

 沢山の兵士がいて、その中の偉そうな人が俺の顔を見たので軽く手を上げた。

 偉そうな人は一歩後ろに下がると俺に道を譲ってくれる。


 皇女サンのプライペード空間の客間に勝手に座り寝転がると作業着を着たサンが軽食を乗せたカートと一緒に客間に入ってきてくれた。



「あなた……約束の期日までまだ3日ほどありますわよ」

「相談なんだけど、何か仕事ない?」

「………………まさかと思いますか、それ言うためにここに?」

「そう。俺って冒険者登録してないし、最初の仕事って良くて銀貨3枚とかでしょ? 宿代も払うの厳しくなってきたし……その点サンだったら何かあるだろうって」

「何が出来ますの?」

「何も……しいて言えば魔法が打てる」



 俺はウォーターボールを複数浮かせた。

 次にその派生のウォーターシャベリン。そこからのウォーターシールドをサンに見せつける。



「呆れた人。ここは許可書がないと威力が弱まる対魔法の結界が張ってあるというのに……」

「そうなの!? 確かにいつもよりは力がないような」

「まぁいいですわ。いくらほしいのです」

「100万枚!」



 もちろん冗談。

 ここでサン皇女が『馬鹿ですわね』っていうと、俺はかっこよく『物乞いじゃないし、対価は体で払う』って決めるのだ。



「わかりましたわ。プラチナ金貨が100枚。ミレニアム金貨100枚。残った分は金貨でよろしいですわね」

「はいっ?」

「返事ははっきり言ったほうがいいですわよ。少々お待ちなさい」



 え?

 俺100万枚っていったよな。

 100枚とかじゃなくて?


 皇女サンが再び現れると革袋をポンと俺の目の前に出した。



「持ちやすいようにマジックボックスに入れて置きましたわ。メーリスさんの紹介料も含んでますのでお気にせずに……しかし、吹っ掛けると思いましたのに、《《小心者》》……いえ優しいのですね。では3日後に」

「は、はい……」



 作業着で見えないドレスをたくし上げ礼をすると奥に消えていった。

 冗談だろ? と思いつつ俺は革袋を手にする、マジックボックスであれば袋に手を入れた瞬間に中に何か入っているか感覚でわかるのだ。


 本当に金貨100万枚ほど物が入ってる。



「ええっと……ドッキリだよな」



 もう少しすると、テッテレーって看板をもったメーリスでも、あっ!



「メーリス!」

「あら。まだいたの?」

「まだいたのって。ドッキリとか、いやもう勘弁してくれよ。俺は何か手伝える仕事ないかなって来ただけでさ」

「何の話?」



 メーリスも皇女サンと同じように作業着を着ている。

 前と違うのは真っ白な手袋をしている所だ。

 その手袋を凝視するとメーリスの顔が笑顔になる。



「あっ気づいたこの手袋。あの道具屋に売ってたやつの改良版。貰っちゃった」

「貰ったっておまえ……確かあれ2万はしてたよな」

「多分市場にでたら10万はするかも、でも売らないわよ、捨てるほど作ったらしいけど誰もいらないから本当に殆ど捨てたんだって……それの残り」

「へ、へぇ……」



 メーリスは俺のために持って来たケーキをパクっと食べて紅茶の飲み干す。



「ふう……で、本当に何の用事だったの? 期限はまだだけど」

「モ、モウカエルヨ」

「なんで片言……? まぁ3日後ね楽しみにしてなさい」



 最後に俺は『ワカリマシタ』だけいって城を出る。

 思わず大金を得てしまって後味が悪い。

 前にも思ったけどゲーム序盤の貴族の家なんてちょっと裕福な冒険者に金銭感覚抜かされるからね!?


 現代日本では一般人だったしさ……一生遊んで暮らせるかもしれん。ってかこれをポンとくれる帝国いや、皇女サンに驚きだ。


 酒場『竜の尻尾』にはいってカウンターの女性を見る。

 黙って俺の前に水を出すと注文を言うまで黙っていてくれるいい女性だ。



「ええっとギース呼んでもらえる?」

「別にいいけど、くるかしら?」

「そこを何とか」



 俺が頼み込むと奥に消えて、代わりに眠そうな主人が出て来た。



「おい。俺の妻はお前の召使いじゃないぞ……」

「わかってるって、後個室かして」

「…………なんだ、まだ厄介事か?」

「まぁ、うん」



 主人が『しょうがねえ』というと小部屋に案内してくれた。

 適当に頼んだ料理を摘まんでいると不機嫌そうなギースが入ってくる。



「今度は何の用だ! もう少しで二角ユニコーンの角を取れた物を」

「ああ。あの換金用アイテムな……いや。ちょっと話を聞いてほしくてなギースに関係ないわけじゃないし」

「……どういう事だ」



 俺はギースに皇女サンとの事を軽く話して最後に金貨50万枚分のマジックボックス袋をギースの前に差し出す。

 マジックボックスの袋に関しては俺が使っていた少量のほうをついでにあげる。



「……自分は物乞いじゃない」

「俺のセリフだろ!」

「知らない話を、そもそも自分はお前みたいな胡散臭い奴を持ち上げるクウガの気持ちがわからない」

「…………それは俺もわからない」



 俺は真顔で言うと逆にギースのほうが無言になった。

 だってアリシアを寝取りそうになった男だよ? 殺されても文句は言われない。いや言うけど。


 しばらくするとギースが口を開いてくれる。



「それはお前が貰った金だろ」

「と、思うじゃん。結果論だけどギースの事も含まれてるから半々にしない?」

「いらん」



 まぁ普通はそうよね。

 ギースが来る前に考えてあるし。



「じゃ、クウガ混ぜて2人分で預かってくれ。クウガだけ渡すってのは不公平だしな、クウガだってギースが受け取らないと受け取らないだろ? でもクウガだって夢がある。長寿の民族には中々難しいと思うが寿命って結構短いのよ?」



 これだったら断れまい。



「む……」

「綺麗に三等分。俺もこんなに貰っても落としたら怖いし」

「仕方がない……」



 よし、これで1人で大金を持つというストレスを分け与えた。

 なんだったらクウガの分も渡すので俺の負担はかなり軽減される。



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