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負け悪役貴族に転生した俺は推しキャラである師匠を攻略したい  作者: えん@雑記


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第109話 鍛冶師メーリスを探せ クエスト★★★☆☆

 1人馬に乗っての大移動。

 なんで1人かって言うと、だってギース連れて行ってもしょうがないし……。

 一応酒場の主人にはギース宛に何日か留守にすると伝言を頼んでは来てる。


 

 先ずはナナの村へと向かう事に。

 もちろん鍛冶師メーリスに会うため。


 メーリスがいないと飛空艇が完成しない、本当はどんな理由でサンとメーリスが出会うのか知らないが引き合わせないと進まないから。



「と、いうわけで。ゼン村長ーメーリスいる?」



 村長の自宅で『私が村長です』の言葉が似合いそうなゼン村長に尋ねると、ゼン村長は持っていた鍋を床に落としていた。



「うお……あぶな、ぼけた?」

「英雄様! うおおおおお! ミナ! 英雄様が戻って来たぞ!」

「英雄じゃっ、うわっ!?」



 村長宅の客間、その隣の部屋からミナ出てくる。



「ふっふっふ。若い夫ですね、捕まえます!」



 ミナが腰にしがみ付いて来た。

 もう英雄じゃなくて本心がでてるミナの顔が怖い。



「俺には相思相愛の恋人がいるの!」

「でもそれってクロウベルさんの思い込みですよね? ここで1晩遊んで行きませんか?」

「おお、そうじゃそれがいい」



 爺さんの前で肉体関係を叫ぶ孫と、それを公認する爺さん、どっちも嫌だ。

 後、俺の思い込みでもそのうち真実になるかもしれないし……まぁそこまで師匠に嫌われてはいないと思うよ? 本気で嫌われたら多分戦いになるだろうし。



「離せええ! メーリスはどこだって! って聞いてるの。いい加減にしないとこの辺全部魔法で壊すよ!!」

「なに、英雄様はそんな事しませんな」

「お爺様に同意。ささ先ほどまで温めて置いたベッドがそっちに」

「これ以上俺の寿命を取るのはやめてくれえ! 『水竜』」



 水竜たんを出すと、ゼン爺さんとミナを強引に吹き飛ばす。

 吹き飛ばすっても優しくだ。

 全力で飛ばしたらミナはいいけどゼン爺さんなんて骨粉砕するぞきっと……。



「ぜぇぜで……流石は『黒き水竜』ですな」

「そうですねお爺様、さすが『黒き水竜』です」

「まったく……早くメーリスの……いやまって。その『黒き水竜』って何!? 別な人からも聞いたんだけど!?」



 別な人、イコール皇女サンだ。

 てっきり皇女サンが勝手に言ってきたのをかと思ったら定着してる!?



「事故処理に来た帝国兵士に事件の事をきかれましてな、それはもう黒髪で水竜陣を扱う英雄としてご説明させていただきました」

「うああああああああああ!」

「ど、どうなされましたか?」

「口止めしておくんだった……俺が有名になってどうする。ゼン村長! ミナ!」



 俺が叫ぶと水竜の首にまとわりついていたミナも驚いてこっちを向く。



「今後俺が活躍したとかの話は一切なし。通りすがりの若者程度に、名前なども口外禁止」

「はて……」

「はてじゃない! 破ったら二度とこの村には来ない」



 俺が宣言すると、ゼン爺さんは諦めた顔になった。



「それは困りますな。最近、水竜パンも売り始めたのに」

「は?」

「ミナ」

「はいお爺様」



 ミナがテーブルの上にあったバスケットからパンを持って来た。

 そのパンを俺に手渡すと固いパンであるけど黒枠だけで作られたネッシー型の竜の刻印が刻まれている。



「………………これは?」

「水竜パンですな。水竜の焼きコテを、もちろん鍛冶師メーリスの特性焼きコテです。それほこの通りジューっとパンに、英雄様の黒髪もこの3本線が決めてになっております……これを禁止されると村が潰れますなわっはっはっは」



 わっはっはっは。じゃない。



「潰れるって財源はあるだろ……?」

「村の財源の8割突っ込みました。予定ではパン工場をたてて大量生産を目指している所で」



 突っ込み過ぎだろ!



「パンは公認するから、頼むから俺の名前など出さないでくれ。あと売れるまで大量生産は辞めた方がいいよ……」

「それはもう……失敗してもギリギリ村の女性、子供を売ればなんとか」



 全然大丈夫そうじゃない。



「所でここには何用で」



 最初にメーリスを訪ねて来たって言っただろ! と叫びたいのを我慢してゼン村長にたずねた。



「ミナ。あの鍛冶師はどこに向かった?」

「はい、メーリスさんでしたら、かなり前にカンザの街にお戻られに」

「ん。ありがとう」



 俺が外に出ようとすると呼び止められるが、こっちも長居するほど暇ではない。

 お使いイベントは移動で時間がかかるから早めに終えたいのだ。

 どうせメーリス連れて行っても1晩で飛空艇何て完成しないだろうし。



 馬に乗って再びカンザの街につく。

 懐かしい街番にナナの村で大量に持たされたパンを差し入れして冒険者ギルドに入った。




「ええっと、小さい子はどこかなー」

「言葉だけで言うと犯罪者みたい」



 突然足元から声がしたので下を見る。

 しゃがんで床を叩くも声の主はいない。



「そこまでする必要あるかしら!?」



 目の前で立っている小さい女性、鑑定士フーロンがしゃがんだ俺をにらみ付けて来た。

 俺も立ち上がると相変わらず身長差が大人と子供みたいだ。



「あれ。少し背が伸びた?」

「…………冗談?」

「いや?」



 フーロンの頭の位置が前よりも気持ち上に。



「…………そうね、わかる人にはわかるのよね。伸びたわ……で黒き竜使いのクロウベルさんは何を鑑定するのかしら?」

「…………ここもか」



 俺は体が崩れ落ちた。

 突然の事でフーロンが心配してくれるので、簡単に説明する。



「自分で名乗ったわけじゃないのね」

「当たり前だろ……俺は《《普通の一般人》》よ一般人」

「一般人ねぇ……まぁ貴方に比べたら私達の方が一般人よ。で……本当に何しに。エールやシアが貴方の知り合いの男性を探していたけど関係ある?」



 エール。

 鑑定士フーロンの友達で、ここのギルドマスター剛腕のウェンディの姪っこ。


 シア。

 エールと組んでいる中級冒険者の一人。

 両手斧を使い敵を粉砕する。


 どっちも女性で、クウガと《《何か》》あった2人の事だ。



「無い事も無いしあるって言えばある」

「どういう事よ?」

「便利な乗り物作るのに偶然というか……」



 説明が難しい。

 だってまだ飛空艇ってばらすわけにもいかないし。



「まぁいいわ。鍛冶師メーリス……だったわね。本来であればギルドの中、依頼料も貰うし情報は伝えれないけど前の礼もかねて」



 フーロンはいつもの鑑定はこちらへのカウンター席に行くので俺もその前に座る。



「どうも」

「丁度古い金貨を鑑定しに来たのよ。本物だってわかると凄い叫んでいたわよ……」

「へぇ…………」



 ミレニアム金貨の事だろう。

 俺が1枚あげたきがする。あれ2枚か。



「数日はこの街で豪遊してたみたいよ。数日前に今はグランバールへ向かったかしら」

「ほわっ!?」



 数日前というと、俺がナナの村に行っていた時期と被る。

 つまりこちらを先に行けば捕まえられたのだ。



「この街も中々に広いけど、遊ぶならあっちだって。貴方が探していた女性と格好が違ったけど浮気?」



 俺がフーロンに頼んだのは師匠の事だ。

 その師匠とメーリスの事を比べてるのだろう。



「師匠に比べたら子供。メーリスじゃないとダメな仕事頼まれてるんだよ、この街で仕事してると思ったんだけどなぁ……」

「あら、残念だったね、めちゃくちゃ遊んでいたわよ」



 ミレニアム金貨1枚で普通の人ならかなり遊べる。

 しかし冒険者の装備整えるのには全然少ないという感じだ。



「帰る……」



 俺は力なく立ち上がる。

 フーロンから『たまには顔見せにきなよ、鑑定料やすくするから』と激励を貰って街門へと。


 先ほど渡したパンを食べている街兵が「もう帰るのか?」と……。



「探し人イナカッタ……」

「そ、そうか。入場料は返そうか……? まだ2時間もたってないだろ?」

「いや、それはいい……」



 心配されながらも俺は気合を入れて馬に乗る。

 どんなに頑張っても移動だけで4日という無駄な時間をかけつつ俺は、お使いイベントをこなすのだ。

 


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