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負け悪役貴族に転生した俺は推しキャラである師匠を攻略したい  作者: えん@雑記


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第107話 そして時は動き出す

 クウガの遺体? と過ごす事数日。

 やっぱり遺体は腐らない。

 この遺体を勝手に捨てられても困るので俺は宿に引きこもってると、やっと宿屋の主人から客が来た。と教えられた。


 主人の後ろにはサラサラな銀髪のギース。



「よう!」

「貴様っ!」



 いきなり殴りかかってきそうな勢いのギースを片手で制する。



「こっちはクウガを保管してるんだ。礼はあっても暴力はよくないよ。うん、良くない」

「ちっ」



 ギースは部屋を見渡してクウガを探してる。見当たらないのでイライラしてるようだ。



「ベッドの下だよ」

「む……中身を見せろ」

「勝手に見てくれ……」



 なんで俺がそこまでしないと行けないんだって事よ。

 宿の主人が静かにしろよ。と忠告して出ていくとギースは棺桶をベッドの下から出すと中身を確認する。


 腹に傷があるクウガがそのままだ。



「確かに……礼を言う」

「どうも……で、時を止める魔法教えて」

「…………断る」



 ギースがそういうと目の前からギースが消えた。



「は?」



 当たりを見てもギースの姿見えない。

 ってか棺桶もない。



「おいおいおい……アイツ逃げやかった!」



 急いで外を見ると、棺桶を引きずって歩いてるギースがいた。

 …………すぐそこにいるのな。

 ええっと、ここからそこまで2分ぐらいか?


 部屋を見渡して忘れ物がないのを確認すると宿を後にする。

 途中で念のために宿の契約は今日までにして日割りで計算してもらった。


 そのままギースの後をつけると、ギースは息を切らせながら担いでる。



「…………手かそうか?」

「い、いつのまに!」

「いつのまにも何も宿から見えたっていうの……」

「断る」



 ギースは棺を背負って歩くものだから通行人が避けて通る。

 まるで何かの物語の様にもみえ少し絵になる。


 だって銀髪の青年が棺を背負って、顔からは汗を垂らしながら歩くんだよ。



「もう逃げないのか?」



 横で一緒に歩きながら話しかける。

 追いつかれているんだから時間止めて逃げればいいのに、今度はそうしない。



「時止めの魔法は乱発出来ない……」

「そうなの? クウガみたいに長時間止めればいいのに」



 思ったよりも使えない魔法か。

 いや、日常では使えないが昔見た漫画の主人公は5秒だけでも無双していた。

 ギースのは2分ぐらいは止めてるから実践ではやばいぐらいに強い。

 俺とてギースと戦うとして2分もあれば首を跳ねられて終わる。



「自分がクウガに使ったのは禁呪と呼ばれる奴だ……俺しか解けないし俺が死んだら永久に解けない」



 それはそれで怖いな。

 なんらかの抜け道はありそうだけど……。



「で。どうするのこれ?」

「…………ひと先ず自分の寝床に置く……それからヒーラーを探し依頼する……」

「じゃぁ冒険者ギルドか」

「駄目だ!」



 突然大きな声を上げるので少しびっくりだよ。



「二角ユニコーンの毒はそこらのヒーラーでは……成功すればいいが失敗すると今度こそ死ぬ」



 二角ユニコーンか。

 黒い二本の角を持った馬である。

 狂暴でさらに魔法も唱えるし足も速い。

 その角も強力で……レアドロはそのまま『二角の角』売ると高い。



「どうするの……」

「だから! 自分の寝床に隠すんだ!」



 まぁついて行くけどね。

 ギースのあるく先に橋が見えて来た、石の橋というやつで川はそんなに広くない。

 なぜか橋を渡らずに橋の根本に行く。


 とても嫌な予感がする。

 だって橋の根本に薄汚れた布が張ってあるからだ。


 ギースはその布の中に入っていった。



「おいおいおい。ホームレス……」

「お前にはもう関係ない。一人にしてくれ」



 ギースはそういうと俺を帰らせようとする。

 流石にそうもいかないだろ……聞きたい事もあるし。



「入るぞ」

「入るな!」



 無視してテントの中に入る。

 寝るだけのスペースと天井にランタン。

 後は武器が置いてあるだけの空間だ。

 その寝床にクウガの棺が置いてある。



「せっまっ」

「だから入るなと」

「はいはい、そっち詰めて」



 ギースをテントのはじに寄せて俺はクウガの棺の上に座る。

 俺だって死者の上には座らない、これは生きてるからおっけーなのだ。



「っとあれ」



 視界が動いた。

 棺が動くとそのまま滑っていく。



「ギース!」

「ちっ!」



 俺はギースに手を出すとギースは俺の手をつかんでくれた。

 橋の下は少し斜めになっていたようで俺が棺に座ったことによって滑ったのだ。

 ギースの手を借りて滑り落ちを回避したのだ。



 《《俺は。》》



「うおおおおおおおおおおおおお!」

「え、なに?」

「馬鹿、クウガが流される!」



 ああ……テントを突き抜けてクウガの棺が船の様に流れて行った。



「出発進行!」

「そんな事言ってる場合か!」



 ギースは直ぐに川に飛び込むとクウガの棺まで泳いでいった。

 俺も手伝おうかと思ったけど、ギースが飛び込んだので大丈夫だろう。とおもってテントの中で待つ。


 さて……運よく一人になったので家探しでもするかな。

 テントの中は他には着替えぐらいしかない。

 後は地面にフタのようなものがあり、開けると金貨が入っていた。

 流石に取る気にならないでフタを閉める。



「もう少し良い所に住めばいいのに……」



 俺がマジックボックスから出した水を飲んでるとぽちゃぽちゃと濡れた衣服のギースが戻って来た。



「はぁはぁはぁはぁ……貴様……はぁはぁ……貴様……」

「ん、お疲れ」

「もはやクウガの恩人など関係ない。切り捨てる!」

「それは困る」

「抜かせ!」



 仕方がない。

 最終カードを出すか。



「知り合いが聖女だ」



 ギースの抜いた剣が俺の顔の目の前で止まる。

 見た目はカッコいいシーンであるけど、どきどきだ。

 あと半歩で俺の顔にキャプテンなんちゃらのように傷が出来る所だった。



「治せるのか!?」

「知らない」

「…………殺す」



 うわぁ殺気が凄い。



「………………お前は人か?」

「どういう意味だ」

「この距離で殺気を飛ばして、貴様は強いのだろ? あのクウガが貴様の事の話をしていた。貴様から英雄の素質を貰った。とな……英雄はこんな所で死なない。と言っていたが」



 あれ。

 もしかしてクウガが怪我したのって俺のせい? ち、ちがうよな。



「俺は弱いよ。最弱すぎて……」

「ふん。まぁいい……聖女の所連れていけ」

「いやぁ……それがわかんない」



 正直に言うとギースが半歩下がった。

 あっやばい。



「水盾!」

「一閃!!」



 ギースの技と俺の水盾がぶつかる。

 踏み込みからの首を狙った攻撃だ……あっぶね、こいつ本気で俺の事殺す気か?



「ふん……強いのだな」



 ギースは剣を鞘に戻すと地面に突き刺した。



「だから弱いよ……もう水盾がなかったら首と動が別れてるよ。正直に言うと聖女アリシアとは知り合いなんだけど、本気で居場所がわからん。多分王国にいるとは思うんだけど……」

「遠いな……」

「遠いでしょ」



 俺がそういうと外が騒がしい。

 俺もギースも顔を見合わせると笛の音が聞こえた。



「ピッピッピッピーー!! ギースさん! 死体を川に流したと通報が入りました! こちらは冒険者ギルドです! 弁明はギルドに……あれ先日のクロウベルさん?」

「あっどうも」



 テントの中でモブ顔のギルド職員アンナと再び会う事になった。




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