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負け悪役貴族に転生した俺は推しキャラである師匠を攻略したい  作者: えん@雑記


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第105話 クウガお前は何をしてるんだ

 嵐のような皇女が帰ると、お祭り騒ぎた。

 別に俺は興奮しないんだけど、酒代が無料なのだ、飲んだくれはこれで興奮しないわけはない。

 騒ぎを聞きつけた酒好きは、関係ないのに入ってくる始末である。


 酒場の主人は俺の前に酒を置くとじっと見降ろしてくる。


「何も聞かないのか?」

「何を?」

「あの女の事だ」



 ああ……そうか。

 納得していたら不自然か、咳払いをして主人を見上げる。



「誰なんだい?」

「教えん」



 教えないのかーい。

 まぁ正体は知ってるんだし別に無理に聞く事もない。



「ならいいよ」

「そうだな、しいて言うなら城からくる謎の女だ」



 教えるんかーい。



「格好からして城の技術屋だろ……」

「ああ、城からくるんだったらそうなんだろうな」



 ここの奴らも第一皇女とは知らないのだろう。



「さて。お前のおかけで酒代も飯代も城に請求できる、好きに頼め」

「と、いっても俺も普通の人間よ。適当にツマミと酒で十分だよ」



 俺の周りに酒臭いおっさんたちが群がる。

 奢りになった礼を言いたいらしい、別にいいのに……その後ろに席に座っては騒ぎに乗じてない男が見えた。


 座っていても背が高いのがわかり……亜人? 人間に見えるんだけど耳の所がぼやけ……あっ耳が長い。


 エルフか?


 胸は無いようだけど……男だよな?

 酒臭いおっさん達を手で跳ねのけて男の方を向く。

 一人のおっさんが説明をしてくれる。



「あ? ああ……あいつか。ギースだな」

「ギース?」

「C級冒険者で……目立たない奴だの」



 おっさんに、ありがとう。と、伝えると席を立ちギースと男の前に立つ。

 師匠と同じ銀髪で肌は色白。

 耳がエルフのよう長く食事をしてこちらを向かない。

 流石に俺が横に立つと食事が終えたのか俺の方を向く。



「オレは別におごられない……金は置いて行く」

「………………あんた。エルフか?」



 もう直球で聞いてみた。



「エルフ? それはなんだ?」

「ああ……そうか」



 エルフという名前がないのかな?



「少し静かにしてくれないか、今日は共に冒険をした散った仲間のために飲んでいるんだ」

「…………それはわるかった。じゃぁ一つだけ聞かせてくれ魔女の男版? 耳長いし」



 ギースの目が見開くと、世界から音が消えた。

 次に気づくとギースの姿が見えない。

 なっ!?


 世界から音が戻ってくると酔っぱらいが俺に絡んでくる。



「なぁここにいたギースは?」

「あぁ? ギースか……帰ったんじゃないか? あいつはいつも帰る時は早いからなぁ。それよりも飲もう! お前さんのおごりだ!」

「いや、ちょっと俺のおごりじゃないからね?」

「わーっとる」



 あと、俺は今すぐにギースを探したい。

 いやちょっと離して。

 おい。そこのおばさ……おねえさん俺の股間を触らないで。



「は!?」

「なーに。ぼうや?」

「おねえさん……何でヒゲが生えてるのかな……?」

「ヒ・ミ・ツ」



 いやああああああ!

 俺の貞操の危機である。

 今すぐにギース捜索させてくれ! 絶対にあれエルフ。

 エルフって概念がないなら魔女。

 男だから魔男? とにかく色々聞きたい。



「うおおおおお! 力が強い」

「乙女なんだから力よわいわよ?」

「ヒゲの生えた乙女なんていやだああ」



 俺はカウンターの前に座らさせられると、自称乙女達にあーんをさせられる。

 俺の口に肉や酒瓶を押し込まれるのだ。

 そりゃ魔法を使えばにげれそうだけどさ、そんなの街中で使うわけ出来ないし、うおお苦しい。



 ――

 ――――



 帝都二日目。

 宿の天井を見てげっそり。

 ヒゲの生えた乙女達に5件目まで飲まされた。

 ちゃんと宿に帰してくれたけど今から寝るのだ……外は太陽が昇ってきてる。


 もう一度いう。

 今から寝るのだ。

 この状態でギースを探すなんて出来ない。


 それに何だあの魔法……。

 ああ、天井が回る。


 こんな時に師匠がいれば、おっぱいを揉ませてくれるのに……。

 師匠……どこかな。

 

 …………冗談は置いておいて駄目だ。寝る。


 俺が目を閉じたと同時に部屋がノックされた。



「誰だ」

「クロウベル様にお客様です」

「………………断って。うっぷ」

「そうしたいんですが、冒険者ギルドの方でして……」



 冒険者ギルドが俺に何の用だ。



「断わ……いやまて。だれからだって?」

「冒険者ギルドの職員から」

「すぐ出るから待ってもらって」



 もうそんなの師匠の事に決まってる。

 俺と冒険者ギルドの関係なんて師匠の事を探しておいてって、カンザの街。ギルドマスター剛腕のウェンディに頼んだぐらいだ。

 何ともう情報が入ったとかそんなのだ。


 急いで着替えをして水を飲んで宿の待合室に滑り込んだ。

 階段をこけたから。


 可愛い眼鏡をかけた制服姿の女性がビクっとして転んだ俺を見る。

 地味な顔であるが愛嬌はよさそうだ。



「あのー……クロウベルさんですか?」

「はいはいはいはいはい。俺がクロウベルです」

「よかった!」



 茶髪で三つ編みをしているギルド女性は嬉しそうだ。

 俺も嬉しい。



「帝都グランバール冒険者ギルド職員のアンナと申します」

「これはご丁寧に。一人の女性を探す愛の伝道師クロウベルと言います」

「…………はぁ」



 カッコつけたら呆れられた。

 ここのミソは『一人の女性』って所だ。

 普通なら『一人の女性ですか?』って質問がきて。貴方は可愛いけど俺は心に決めたメルという女性に生涯を誓って。と話が弾むはずなのに。



「あの。お酒臭いです」

「…………さっきまで飲んでいたからね。で情報を早く」



 どの辺で師匠をみかけたんだろ。

 やっぱ学園かな?

 学園の情報がここまで来るって流石冒険者ギルド様である。



「はい! ではお伝えします。冒険者ランクCのクウガさんが亡くなられたので遺体と装備品の回収をお願いします」

「そっかそっか。師匠の話じゃなかったか。まったくクウガも迷惑を」



 ほわ?



「どうもまだ酔っぱらってるみたいだ」

「はい。友人を亡くした人は皆そういいます…………」



 おさげのアンナがしょぼんとしてる。



「もう一度復唱」

「ごめんなさい、これも仕事でして。冒険者ランクCのクウガさんの遺体と装備品の回収を。拒否する場合この書類にサインを書いていただければギルドのほうで全部手配はしますけど……」

「あーあー……なんで……俺……」



 まずそこだ。

 もしかしたら同姓同名の間違い……はないか。



「倒れる直前に貴方の名前を言ったので」

「とりあえずギルドに」



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