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負け悪役貴族に転生した俺は推しキャラである師匠を攻略したい  作者: えん@雑記


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第104話 皇女サン27ちゃい

 帝国首都グランバール。

 広大な土地、あちこちに危険な魔物。迷宮型ダンジョンなど人が住めなさそうな場所に城がある。


 そんな場所を開拓したのが帝国初代皇帝バール。

 城が中央に見えそれを囲むように城壁がある、効率的であるが目立った特徴がないのは残念だ。


 もっと崖の上にあるとか、下が滝とか海が見えるとか……ああ! 特徴的なのはあった。

 城の地下には古代ロマンの仕掛けがあり飛空艇を作ってる。

 その試作機をクウガが貰うイベントがあるのだ。


 というか、飛空艇が作れるぐらいならバイクや自動車もあっていいと思うんだけど……もしくはプロペラ式二枚羽飛行機とかさ。

 これはゲームでは語られなかったけど、空飛ぶ魔物が多いので制空権は無理らしい。


 試作型かぁ、量産機でいいから俺も欲しい。

 わんちゃんクウガに頼めばくれないかな……?



「なんですか? クロウベルさん」

「いや、何でもない……さて」




 俺は御者のおっさんに金を払うと門前に行く。

 もちろんクウガも一緒に降りた。



「水檻」



 別名ウォータープリズンとでもいおうか? まぁ俺のオリジナル魔法だし別にいいか。

 俺を中心に4本の魔力で出来た水柱をだして薄い壁をつなげる。

 そこに滝のように水を流して俺は水族館の魚の様になった。



「ぼこっこほこほー!」



 口を開けてついたぞーと、叫ぶ。

 直ぐに水檻を解除して新鮮な空気を肺に入れた。



「ふぅ……死ぬかと思った」



 俺達以外にも通行人は沢山いて、俺のやったことを見ても特に関心がないのか素通りだ。これはこれで面白い。



「ええっとクロウベルさん……何を」

「何って新しい街についた儀式だけと、いいかクウガ。同じような街に見えても同じ街はないんだ。喜んでいかないと」

「そうなんですかね……」



 本当もったいない。

 行く街々で食べ物だって違うのに、師匠はその辺わかってくれていたんだけどなぁ……。



「じゃっ俺はいくから」

「え!? 一緒に行かないんですか」



 クウガが驚いて俺を見ているが俺の方が驚くよ。



「いや元々別パーティーだったし馬車も偶然。クウガはこれから北の大地目指すんだろ?」

「そうですね……少し力をつけて行こうと思ってます」

「俺は行く用事ないし、そもそも冒険者ギルドに登録すらしてない」



 クウガがすればいいのに……と言っている、まぁ師匠が言うならするさ程度。



「ほら」

「わかりました。では……最後に握手いいでしょうか?」

「いいけど」



 クウガと握手をして別れる。

 別々に街に入る事にする、門を守ってる人に金貨1枚を払っていざ帝都編だ!



「ってもひと先ずは宿。後は図書会館の分館か」



 空を見上げると城が見える。

 あの城の一部が破壊され飛空艇が出るシーンはムービーながら興奮した。

 そもそもなんで飛空艇いるんだっけ……確か北の大地に行くには遠くて、クウガ達が来た時大きな魔物討伐の依頼があったはずだ。

 一度は負けて、帝国は飛空艇試作型の開発を急ぐんだっけ。


 また帝国の姫さんが可愛いんだよな。

 この世界では行き遅れ……というか皇子は別にいるし継承権を放棄してる第一皇女サン。サンという名前でサン様27歳。


 長い金髪だったのに父親に反発して短く髪を切った過去があり、それ以来やる事に口を出さなくなったの事。


 負けてきた帝国軍の事を気にかけており、空の魔物にどうするか? という軍議でこちらも空で対抗するのです! とクウガと共に会議室に乗り込むイベントは中々の見ごたえだ。


 技術部タイプで自分で出来ない実験をメーリスを呼んで開始する。

 約1ヶ月による攻防の末、とうとうサンは飛空艇試作型を作り終えるのだ。




「………………まぁ今の俺には関係ないけど」



 手ごろな宿に入り値段交渉。

 納得のいく金額になったので一月単位で部屋を借りる。

 へそくりのミレニアム金貨を換金していたので金はある。


 殺風景な部屋に入り一息つく。



「この所馬車旅で疲れたからな……少し午後の読書タイムを楽しむ事に」



 馬車旅の中で見た本を再び取り出す。

 題名は無名で誰かの日記……日誌みたいなものだ。

 この中で迷いの森の事が少しだけ書いてあったのだ。


 冒険者……この時代は冒険者ギルドもなく本当の意味で冒険者らしいこの本を書いた人物。


 無名であるが読んだ内容から今よりも400年以上前の人物らしい。

 旅の途中で本で調べた結果迷いの森の地下には何かか住んでいた元集落があるらしいとか。


 何かか……迷いの森。人間が破壊した後。師匠が絡んでる。

 エルフの森か何かだったのかもしれない。

 この場合魔女の森とでもいうのかな。


 持ってる本には、魔女とは不老不死の魔物である。まで書いてあってそれが本当なら俺も不老不死になれるのでは? と思ってしまう。



「いくかぁ……」



 とはいえだ。

 帝都まできて手ぶらで行くのもだるいと言えばだるい。

 学園にいっても師匠いるかわからないし、そもそも地下にどう入ればいいかも大問題だ。


 学園長に『この地下には遺跡があるので学園の中に入って探索していいですか?』なんて正直に言えるわけもない。


 まっ師匠もそうそう死なないと思うし焦っても仕方がないか。

 《《わんちゃん死霊術》》も覚えたい。


 これは保険で万が一俺が死んだらゴーストになって師匠の元にいけるように。

 問題はアリシアにはらわれそう。

 『クロウ君。はらっちゃうね来世で頑張った方がいいよ?』の一言で天に返される気もする。

 土下座して頼めばなんとかなるか?


 形は違えと一生師匠と一緒に居れる。

 ただ精神的なイチャイチャは出来ても肉体的なイチャイチャは出来ない。



「あーーー! やりたい事が多すぎる!」



 ベッドに倒れ込むと天井を見ている。

 こう黙っていると日本時代の嫌な事を思い出しそうで頭を振った。



「却下却下。たまには飲むか」



 革袋、アンジェの剣。スタン銃。その他もろもろの装備品を確認して宿を出る。

 どこぞの主人公みたいに俺は酒で記憶を失ったことはない……ってかそんなに飲まないし。

 日本時代はともかく、マナ・ワールドで貴族だよ? 小さい頃から飲む回数が違う、そりゃ強くもなるって事よ。



 『竜の尻尾』という酒場に入る。

 ゲームの中でも冒険者がたまる酒場で噂話なども入ってサブクエストのトリガーになってたりも。



 カウンターに座りおすすめを頼むと、濃そうな酒が流れてくる。

 金貨2枚を出して適当にツマミも頼む。


 肉を粉でまぶしたから揚げの山盛りが来る。

 一つを口に入れて濃い酒で流し込むのと幸せな気分になって来た。



「ねーねー腰に付けてるのナニ?」



 突然の女性の声で振り返ると短い金髪の女性が俺を見下ろしている。



「……………………」

「あら。口がきけないの? マスター! 彼に紙とインクを」



 口が聞けないんじゃなくて開く暇がなかったのだ。

 短い髪の金髪女性。少女じゃなくて女性。

 布の服に革ベスト。工具の入ったポーチに拡大鏡の眼鏡。

 靴は安全靴か? よく見ると黒い皮手袋もしてるな。

 それ系のフェチな人は興奮するだろう。


 俺の前に紙とインクが出された。

 いや、マスターも俺がさきほど注文してた時声だしたのしってたよね?




「…………いや。ずいぶんと綺麗な人で挨拶を考えていただけだ」



 そう、俺の声が止まったのは目の前の女性こそ。

 皇女サン、皇国年齢で27歳。

 なお王国年齢でも27歳で世界暦で考えても27歳の女性。



「本当? こんな髪も短いし年齢も取ってるのに? 男は若い少女の方が好きなんじゃないの?」

「それは違う! 師匠だって歳食ってるけど少女にはない魅力がある! たとえば尻――」



 俺は立ち上がり師匠の魅力をつたえる。



「別に聞きたくない。聞きたいのはその腰の……短銃よね。誰が作ったの? 効果は? 原材料は何? 量産性は?」



 これは『はい』『いいえ』のイベントだろう。

 ちょっと興味がある。



「いいたくない」



 さぁどうなる!



「ならいいわ」

「え!? いいの?」

「言いたくないのを無理に聞く事もないし、有効な武器なら自然と話しが入ってくる……こちらが気になるのは作った人なんだけど、どうみても貴方……馬鹿そうだし」

「…………まぁ馬鹿だからな」



 別に事実を言われて怒る事もない。

 逆に皇女サンが驚いた顔をしている。



「…………面白い人。無礼を詫びるわ、この店にいる全員と貴方の今日の酒代を負担する、騒がせてわるかったわマスター」



 優雅にスカートを掴むしぐさだけすると皇女サンは酒場から帰っていった。



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