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負け悪役貴族に転生した俺は推しキャラである師匠を攻略したい  作者: えん@雑記


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第100話 別に向かってくるから戦うだけ

 ダンジョンというかダンジョン内に隠されている城の内部をとりあえず走る。


 この辺はゲームでも入ったことがない場所でとにかく何かを探す。

 背後から扉が開いたり閉まったりする音が聞こえるのはもう、ホラーゲームだよ。

 捕まったが最後『お前もヴァンパイアにしてやろうか』で血を吸われるのだ。



「見事に何もないな」



 いくつかの部屋を回ったが客間、厨房、大量の棺桶がある場所などなど生活感が全くない部屋が多い。

 俺の考えでは、あのヴァンパイアの恥ずかしい物でも見つけて『お前の秘密をばらされたくなかったら見逃して、あと3人ほど返して』って交渉するつもりだったけど……それも難しそうだ。


 扉を開けて銀髪ヴァンパイアが目の前にいた。

 とっさに首を跳ねて転がった首をサッカーボールの様に蹴りとばして次の部屋に行く。



「本当にしつこい! 別に俺の知り合い以外なら嫌だけど、ある程度は見なかった事にするっていうのに、何で俺に執着するんだコイツは」



 次の部屋に行くと寝室らしい場所。クローゼットを開けても衣服もない。



「き、貴様っ!」

「げ。もう追いついた」



 剣で切りつけると手ごたえがない。

 後ろに飛ぶかと思うと背後で悪寒が走る、前だ!


 背後で舌打ちが聞こえたが、かまわず水盾連を唱え攻撃に備える。

 大量の蝙蝠こうもりが俺の水盾を押してくるのが見えた。



「おっもっい!」



 ソロパーティーなので誰も返事がないのが寂しい。

 蝙蝠は固まると人の形になっていき銀髪ヴァンパイアが牙をむきだして俺を凝視している。

 必死に抑え込むと足元がひび割れていく、あっと思った瞬間には床が崩れて俺はかなり高い高さから落ちて行った。



「水竜!」



 空中で水竜たんを呼び出すとその背中に飛び乗る。

 俺の意思というかイメージで水竜の体の中に飛び込むと落下の衝撃を抑え込む事が出来た。


 あれよ?

 よく地上3メートルぐらいから不意に落ちたら骨折するからね。

 今これ10メートル以上高さあったからね。

 バウンドしたのだろう俺は水竜の中で上下左右動くと、ぽんっとその体の中から飛び出した。



「さんきゅ水竜たん。でも寿命怖いから」



 パチンと指を鳴らして水竜を帰らせる。

 天井を見ると大きな穴が開いていて上は見えない。


 ぐるっと周りを見ると礼拝堂のように見える。

 神をまつる場所には十字架がなく、聖母みたいな女性の顔のステントグラスがある。


 心なしか俺のテンションが少し上がった。



「ボスその2の部屋か? おいおいおいおい……こんなのゲームでもみなかったよ……」



 天井から大量の蝙蝠が降ってくると祭壇の中央で人型になっていく。

 銀髪ヴァンパイアになると俺の顔をにらみ付けて来た。



「何なんだお前は……」



 これは俺に聞いているのだろう。

 聞かれたからには応えたほうがいいだろう。



「何って……なんだろう。冒険者ってわけでもないし英雄でもない、ちょっと色々知ってる師匠好きな不老不死を目指す健全男性です」

「………………」

「一応提案なんだけど、こないだ入ったらしい女性3人と男性1人。合わせて4人。それと俺を無傷で帰してほしいなぁって。そうすれば俺は暴れないし過去に何十人と人間を食べていようが見なかった事にする」



 実はエールの他に前衛でシアという女性の遺品回収も頼まれている。

 エールがいうにはクウガがまだ助かるならシアという女性も助かるはずだ。

 女性2人はいる有能男性冒険者ってどんな女好きなんだ。って思っていたらクウガだったわけだが。



「なんだったら男の方は別にいいや」



 最悪クウガには犠牲になってもらって……一切俺は知らなかったで通すしかない。

 銀髪ヴァンパイアは俺と距離をとったままだ。

 踏み込んできたら首を斬るつもり、その間合いを見きられたかな?



 銀髪ヴァンパイアが手を上げると、その横からクウガ。エール。フーロン。あとは知らない女性。シアかな? が何もない床からせり上がってくる。



「あ、返してくれるの?」



 話通じる奴でよかった。

 と、思っているとすぐに眷属になったヴァンパイアエールが口を開く。



「クロウさん。まだ生きていたんですネ! あのアタシの意識はあるんですけど逃げたほうがいいですヨ」



 ヴァンパイアエールの次にはじから口を開いて行く。



「『鑑定』クロウベル、レベルフメイ。ジャクテンシンゾウ」

「クロウさん……たすけ……」

「そこの人ごめン」



 4人……4体が一気に襲ってきた。



「なっ卑怯だぞ! このネクラヴァンパイア!」



 シアの攻撃は大きな斧か、フルスイングで振り下ろすのを避けるとクウガが横から攻撃してくる、見事な連携だ。


 水盾を出して防ぐと、ムチで壊される。

 フーロンの攻撃威力上がってないかこれ。



「いやいやいや」

「みんなのチカラあがってますヨ!」

「でしょうね!」



 剣の柄でフーロンをなぐ……れないので近くにいたクウガを思いっきりぶん殴る。ガードをしたみたいだけど骨が折れる音が聞こえた。



「やったか!」

「ブラッティヒール」



 エールの声が聞こえるとクウガの足元に赤い魔法陣が出て折れた腕が元に戻っていく。



「エールさん。辞めてくれない?」



 俺が心底お願いするも。エールは八重歯を見せてくる。



「無理でスヨ。ケンゾクなんですカラ」



 銀髪ヴァンパイはニヤっと俺を見ては祭壇にある台の上で勝ち誇ってる、凄い嫌な気分だ。

 なんていうか本当の自分を見てるみたい。

 まさに悪役令息で暴れまわっていた本当の俺というのか、部下に戦わせて自身は一切手をくださないみたいな。


 肩に衝撃が走った。

 振り返るとヴァンパイアフーロンが鞭をふっており腕に鞭が絡みつく、引っ張られると腹を斧で斬られた。

 目の前にはヴァンパイアシア。



「『癒しの水』『癒しの水!!』」



 左手で傷を抑えながら回復をさせる、その間にヴァンパイアクウガが足払いをかけ背中を踏みつけてくる。



「く」



 俺の肩を刺したのが凄い痛い。

 フーロンがワイングラスをもって屈むと俺の流れている血を貯め、銀髪ヴァンパイアへと持っていった。


 銀髪ヴァンパイアはワインを飲むようなしぐさで血を嗅ぐと一口飲む。



「………………不味いな。暴れまわっているからどんな物かと……冷めた」



 銀髪ヴァンパイアは手を前にする。その前に無言でたったエールが胸を見せるとその胸を掴み血を出すと直飲みする。

 えっろ……じゃなくて!



「クウガ足をどけろ! お前は英雄なんだろ!? 目の前で女の子があんな目にあっているのにお前はどうなんだよ!!」

「むだとおもいますヨ。私と違って……あれ……クウガさン」



 足の力が弱まった。

 あと少しだ。



「クウガさんのイシキがふえ……ふーちゃん」

「はい、鑑定……。ヴァンパイアクウガの人間のイシキ40%」

「さすがクウガ。手あたり次第えっちして逃げるだけある……がんばうぐうっ!? クウガ!?」



 背中の重みが一気に重たくなった。



「鑑定、ヴァンパイアクウガ、人間のイシキ0%」

「あっクウガさんの表情きえましたネ……主様……はい。わかりましタ」



 エールが胸をしまうと銀髪パンパイは満足したように後ろに下がる。



「あの、主様はあなたの首を外に投げておくそうでス。早くにげナイから……シア」



 シアって子が大きな斧を振りあげる。

 このままでは俺の首と動はないないばー。



「水竜! 水盾連! 水槍連! 水球あああ!」



 省略魔法を全部唱えた。

 水竜たんがシアを吹き飛ばし、水盾でクウガを吹き飛ばす。水槍でフーロンの鞭をけん制して、水球をエールにぶつける。



「いいか! 俺はただ師匠とイチャイチャしたいだけなの! そのために依頼受けてるんだし! こんな地下で死ぬわけにはいかないっての!」



 あーもう全身が痛い、骨も何本がいってるなこれ。

 肩も痛いし、根暗銀髪ヴァンパイアは俺を見てあざ笑ってるし。

 周りの眷属は魔法で足止めしてある。



「水竜たん!」



 走っても間に合わないなら、俺は水竜を操って? 思いっきり吹き飛ばしてもらった。

 流石に驚いたのか銀髪ヴァンパイアの動きが一瞬止まる、俺はそのままソイツを捕まえた。



「捕まえた」

「っ下衆生物め」

「その下衆生物の血を食べてるお前はなんだっていうんだよ! 元は人間だったんじゃないの?」

「っ!?」



 そんな話をしたくて捕まえたわけじゃない。



「悪いけどさ……もう死んでくれない?」



 とはいえ首を斬られても死なないんだ。


 マジックボックスから1本の短剣を取り出すと銀髪ヴァンパイアの胸に突き刺した。

 別にこれで死ぬような事は無いと思うが流石ヴァンパイアが嫌いと言われてる銀製品だ。

 こいつの胸から血が止まらない。



「ウォーター」



 短く魔法を唱える。

 ウォーターボールやウォーターシャベリンと違って単純な魔力の水。

 何が違うかって攻撃力はほぼない。

 無いが……俺の魔力が尽きるまで水を出し続けたらどうなるか。

 俺を中心に四方に水の柱が立つと水をためていく。



「離せ!」

「あっやっとまたこっち向いた? 我慢比べ……斬っても死なないし周りからの増援もない。あんたの血全部抜くか、俺がおぼれ死ぬかどっちだろうね」



 すでに俺の水は胸あたりまできてる。



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