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異端者達のメメント・モリ ~冬の始まり  作者: Mr.M
六章

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53/57

第53話 2人と1体?

時計の針が

コチコチコチと時を刻んでいた。


「ふうん。

 白露さんは家出中に

 誘拐されて殺されたのね?」

「う、うん」

僕はチラリと白露の方に目をやってから

代わりに答えた。

「そのことは他の家族には?」

僕は首を振った。

「い、言えないよ。

 兄ちゃんはどこかで生きてる。

 家族の皆はそう信じてるんだ。

 それに。

 幽霊が見えるなんて言ったら、

 病院に連れていかれるよ」

白いごみ袋を被った白露が

腕を組んでうんうんと頷いていた。

「ま。

 そうよね。

 それで。

 白露さんは今どこにいるの?」

「え、えっと・・。

 と、隣に・・」

「隣?

 そこにいるの?」

幻夜が首を傾げて僕の隣の空間を見た。

「いや・・そ、その・・。

 幻夜の右隣りに座ってるよ」

「はっ?」

幻夜がきょとんとした顔をした。

次の瞬間。

「キャー!」

と耳をつんざくような悲鳴と共に

幻夜がベッドから飛び上がった。

それから部屋の壁に背を付けて

「ち、近寄らないで!

 少しでも側に来たら殺すわよ!」

とベッドに向かって叫んだ。

「そ、そんなに嫌がらなくても・・。

 一応僕の兄ちゃんなんだしさ。

 それに。

 殺すも何もすでに死んでるんだけどね」

僕は溜息を吐いて立ち上がった。

「ちょっと!

 どこに行くのよ!」

「飲み物がなくなったから、

 取ってくるんだよ。

 飲むだろ?」

僕はベッドボードの上の

空になっている幻夜のコップを取った。

「私を幽霊のいる部屋で1人にする気?」

「大丈夫だって。

 兄ちゃんは悪霊じゃないんだから」

「そういう問題じゃないの!

 早くベッドから離れるように伝えて。

 それと。

 絶対に私に近寄らないように言って」

「ぼ、僕が言わなくても聞こえてるよ。

 霊の言葉は人間には

 聞き取れないけど、

 僕達生きてる人間の声は

 霊にも届いてるんだ。

 ちなみに。

 スガワラさんの見解だと。

 ラップ音やポルターガイスト現象は

 霊が人間に何かを伝えようと

 してるんだってさ」

そう言い残して僕は部屋を出た。


時計の針が

コチコチコチと時を刻んでいた。


僕がコップを持って部屋に戻ると、

幻夜はベッドの隅に座って

落ち着きなくキョロキョロと

部屋の中を見回していた。

「ねえ。

 白露さんは今、

 そこの壁のところに立ってるのよね?」

「うん」

僕は頷きつつ

トマトジュースの入ったコップを

差し出した。

幻夜は僕の手からコップを奪い取ると

ゴクゴクゴクと飲んでから、

「ふぅ」

と大きく溜息を吐いた。

「でも。

 何だか不公平よね。

 幽霊は私達のことを

 こっそりと盗み見してるわけでしょ?」

幻夜は腕を組んで眉をしかめた。

「好きでやってるとは限らないけどね」

「ね。

 つまり。

 白露さんには立夏さんの部屋を

 盗撮する理由がないわけよね?

 だって。

 好きな時に侵入できるんだから。

 やっぱり。

 立夏さんの部屋を盗撮してたのは

 冬至だったのね。

 このヘンタイ」

「ち、ち、違うんだって!

 は、話せば長くなるけど、

 僕は決して

 立夏姉ちゃんの裸が見たいなんて

 一言も口にしてないんだよ!

 白露兄ちゃんが勝手に・・」

その時。

壁がドンッと音を立てた。

見ると白露が壁を叩いていた。

「あら。

 白露さんの言い分は違うみたいよ」

「し、死んだ人間と生きてる人間の

 どっちを信じるんだよ!」

「私は自分の推理を信じるだけよ。

 そう言えば。

 さっきポルターガイスト現象

 って言ってたでしょ?

 幽霊は物に触れることができるの?」

「え、えっと。

 正確には。

 物に触れることができる霊もいる。

 が正しいのかな。

 で。

 そんな霊は珍しくて。

 兄ちゃんは珍しい霊なんだ」

「ヒヒヒ。

 俺様は特別な霊ってことだ」

白露がそう言って胸を張ったが、

当然のように

幻夜は何の反応も示さなかった。

「ふうん。

 つまり。

 立夏さんがいない間に

 白露さんが侵入して

 カメラを仕掛けたってこと?

 でもカメラは物体だから

 壁をすり抜けることはできないわよね?

 つまり・・」

「ち、違うよ!

 本当に僕じゃないんだって!」

「ま。

 どっちでもいいけど。

 それより。

 まさか私のことも

 盗撮してたわけじゃないでしょうね?」

「し、してない!してない!」

僕は慌てて首を振った。

「カメラは立夏姉ちゃんが

 寮生活を始めるために家を出た後、

 すぐに外したんだ!

 神に誓って本当だよ!」

「あら。

 その誓いは意味ないわよ。

 私、神って大っ嫌いなの。

 ま。

 いいわ。

 後で調べるから。

 でも。

 もし今の言葉が嘘だったら。

 冬至も幽霊の仲間入りを

 することになるわよ」

そう言って幻夜は微笑んだ。

「そ、そんな笑顔で・・。

 お、恐ろしいことを言うなよ・・」

僕は肩を竦めた。

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