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異端者達のメメント・モリ ~冬の始まり  作者: Mr.M
六章

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52/55

第52話 幽霊の正体見たり枯れ尾花

幻夜がトイレに立ったのを機に、

僕はパソコンに向き直った。

ぼんやりと地方ニュースを眺めていると、

看過できない記事が目に飛び込んできた。

それは。

今日の夕方。

葛城町の『森林公園』で

頭を切り落とされた猫の死骸が

見つかったというものだった。

発見者は店に出勤する前の若い女性。

記事にはそう書かれていた。


『何、驚いてるんだよ?』

いつの間にか僕の背後に

白いごみ袋を被った白露が立っていた。

「ちょ、ちょっと兄ちゃん!

 どうしてここにいるんだよ!」

僕は声を落として抗議した。

『ヒヒヒ。

 夜中に若い男女が2人きりって言うのは、

 健全じゃねえからな。

 そんなことより。

 何を見てたんだよ?』

そう言って白露は

僕の横からモニターを覗き込んだ。

『あれ?

 今日はたしか仏滅だよな?

 ってことは。

 これってあの猫殺しか?

 お前が捕まえたんじゃなかったのかよ』

「う、うん・・そのはずなんだけど」

『証拠不十分で釈放されたのかもな。

 殺した猫の霊が憑いてる

 って説明したところで

 普通の人間には見えねえからな』

「ち、違うんだ。

 犯人の男は九にボコボコにされて

 まだ入院してるはずなんだ」

『あん?

 じゃあ猫殺しは別にいるってことか?』

「そ、そんな・・まさか。

 僕ははっきりと見たんだ。

 3匹の無残な猫の霊を」

僕はアイスコーヒーを啜った。

「ていうか。

 早く出ていってよ!

 幻夜がトイレから戻ってきたら

 ヤバいだろ!」

『何だよ。

 今更隠すこともねえだろ。

 聞いてたぞ。

 お前、

 霊が見えることを話したんだろ?』

「あ、あれは仕方がなかったんだよ。

 幻夜の圧に負けてさ・・」

『ケッ。

 男のくせに情けねえやつだ』

その時。

部屋のドアが開き幻夜が戻ってきた。


「どうかしたの?

 声がしたけど誰と喋ってたのよ?」

「べ、別に・・。

 ネットで動画を見てたんだ。

 それより随分長いトイレだったね。

 溜まってたのかな」

そう口にした瞬間、

僕は余計なことを言ったことに気付き、

慌てて口を押えた。

「馬鹿ね。

 ついでに一通り部屋を見て回ったの」

幻夜は僕の発言に大した反応を示さず、

ベッドに腰を下ろした。

「な、何でそんなことをしたんだよ!」

一方。

僕はつい声が大きくなった。

幻夜は部屋の中をくるりと見回してから

改めて僕の方へ視線を戻すと、

ゆっくりと口を開いた。

「ふふん。

 白状しなさいよ。

 いるんでしょ?

 幽霊」

その一言に僕は言葉を失った。

「この前の物音。

 それに。

 5年前に家出した白露さんの部屋には、

 なぜか最新モデルのパソコンがある。

 おまけに。

 そのパソコンには

 埃1つ付いていない。

 幽霊がパソコンを扱えるのかどうか、

 私にはわからないけど。

 兎に角。

 ここには冬至以外にもう1人、

 誰かがいる。

 探偵の私に隠し通せると思った?」

「な、何を言ってるんだよ。

 は、ははは」

僕が冗談めかして笑ってみせても、

幻夜は冷めた表情で僕を見ていた。

僕は幻夜から目をそらして

僕の隣に立っている白露の方を見た。

レジ袋を被った白露が両腕を組んで

うんうんと首を縦に振っていた。


時計の針が

コチコチコチと時を刻んでいた。


「ふうん。

 そう言えば。

 妻鳥小絵の盗撮画像の件だけど。

 あのサイトで

 もう1つ興味深いスレッドを見つけたの。

 『夜の夏の夢』

 っていうスレッドなんだけど。

 びっくりしたわ。

 私の部屋の内装と

 そっくりなんですもの。

 あの被写体の人。

 立夏さんでしょ?」

その瞬間、

僕の目の前は真っ暗になった。

同時に顔が熱くなるのを感じた。

「驚いたわね。

 まさか実の姉を盗撮してたなんて」

「ち、違う!

 あ、あれは白露兄ちゃんが!」

そこまで口にしたところで、

僕は失言に気付き、

咄嗟に口に手を当てた。

「ふうん。

 幽霊の正体は白露さんなのね」

そう言って幻夜は足を組んだ。

僕はその足から目をそらして

もう一度白露の方を見た。

白露も僕の方を見ていた。

白いレジ袋に空いた2つの穴から覗く目が

パチパチと2度瞬きをした。

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