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第5話 『本所町2丁目の惨劇』

校門を出た僕達はそのまま

本所町へと向かった。

「本所町第二公園」

という小さな公園を通り抜けて

その少し先にある

『クリーンマート』

という今時珍しい

個人経営のコンビニに立ち寄った。

僕は微糖の缶コーヒーを

圭太はパックの牛乳を

良司はペットボトルのコーラーを買って、

僕達はふたたび「本所町第二公園」に戻った。


「そう言えば。

 2丁目の外れにある『お化け屋敷』だけど。

 犯人はまだ捕まってないんだろ?」

ベンチに座った圭太がそんなことを口にした。

「うんうん。

 早く捕まって欲しいんだなぁ」

圭太の隣に座った良司が大きく頷いてから

ペットボトルに口をつけた。

2人が話しているのは

『本所町2丁目の惨劇』

の名で呼ばれている殺人事件のことだった。

正式には

『宿禰市本所町母子殺害事件』

と呼ばれる未解決事件だった。


事件が起きたのは今から3年前。

塾講師の家主が仕事を終えて帰宅したところ、

妻のAさんの遺体を発見した。

そして家主の通報を受けて駆けつけた

宿禰中央警察署の警察官が

押入れの上の棚で

生後11か月になる長女の遺体を発見した。

警察の調べで

妻のAさんは強姦されたうえで

殺されたことがわかった。

さらにAさんの遺体には

死姦された形跡も見つかった。


「俺が思うに、

 犯人はきっと若い奴だぜ」

「何でそう思うのかなぁ?」

「だって立て続けに2回もヤッてるんだぜ?

 おっさんの体力じゃ無理だろ?

 だから犯人は10代、せいぜい20代だ」

「圭太は名探偵なんだなぁ」

僕は2人の会話を

ブランコに乗って聞いていた。

「後であの家に寄ってみようぜ?

 もしかしたら

 心霊写真が撮れるかもしれないぜ」

圭太がポケットからスマホを取り出した。

「おいおい。

 不謹慎だよ。

 それに変なことをしてたら

 近所の住人から通報されるよ」

僕が反対すると

「そ、それに幽霊は夜にしか出ないんだなぁ」

と良司も震える声で僕を支持した。


僕達はそれからしばらくの間

他愛もない世間話に華を咲かせた。

そして圭太が牛乳を

飲み終わったタイミングで僕達は公園を出た。


校舎を出た時は黄昏色だった空が

今は深い藍色に染まっていた。

「逢魔時か・・」

僕は誰にともなく呟いた。

遠くの空で烏が鳴いていた。

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