第42話 雨の朝
6月21日。月曜日。
朝から雨が降っていた。
僕は勢いよく
302号室を飛び出した。
階段を駆け下りてビルを出たところで、
僕は傘を広げた。
そして。
隣の家の塀の前に立っている山田老人に
軽く頭を下げてから僕は駆け出した。
通学路の途中にある流川まで来ると、
そこに架かっている三本橋の袂で
傘も差さずにぽつんと佇んでいる
白いワンピースの少女がいた。
少女は僕と目が合うと、
悲しそうに微笑んでから手を振った。
僕は小さく頷いて彼女の前を走り去った。
三本橋を渡り終えて、
その先の交差点でやはり赤信号に捕まった。
雨の日ということもあって
目の前の片側2車線の大通りは
いつも以上に交通量が多かった。
僕は大きな溜息を吐いた。
その時。
いつもの若い男が
車道に飛び出した。
男は傘も差さずに
水溜りのできた横断歩道を歩いていた。
僕は恨めしそうに男の姿を目で追った。
ふいに黄色い軽自動車が男に迫った。
次の瞬間。
車が男の体をすり抜けた。
信号待ちをしている歩行者の中で
その光景に反応した者はいなかった。
結局。
男が横断歩道を渡りきるまでに
都合3台の車が男の体をすり抜けていった。
信号が青に変わるとすぐに
僕は駆け出した。




