第19話 思惑
幻夜は紙屑を
1枚ずつ丁寧に広げてベッドに並べた。
8枚の投票用紙には
それぞれ個性的な字が書かれていた。
次に幻夜はポケットから
黒革の手帳を取り出して開いた。
僕は幻夜の用意周到さに舌を巻いた。
それから僕達は投票用紙に書かれた字と
幻夜の手帳に書かれた字を見比べて
誰が誰に票を入れたのかを調べた。
「ふうん。
円響に票を入れたのは
安武マリア。
薬袋愛姫。
三木美紀。
そして雲泥万里。
の4人ね」
「・・ちょっとびっくりだな。
側近の雲泥が女王様を裏切ってたのか」
「女の子は複雑なのよ」
「同じ側近でも久瑠の方は
剣野に票を入れてるんだな」
つまり。
積極的に主を裏切った雲泥に対して、
久瑠は女王様が奴隷に落ちたことで
その許を離れたことになる。
この差は案外大きいと思った。
「ふうん。
安武マリアに票を入れたのは
私と円響。
そして剣野麻衣ね」
「剣野がマリアに投票したのは意外だな」
僕は投票用紙の字と手帳の字を
見比べながら首を捻った。
「ねぇ?
妻鳥小絵が死んだのは6月3日よね?
それって6月1日の『Dゲーム』で
奴隷に選ばれてから2日後でしょ?
やっぱり奴隷に選ばれたことが
ショックだったんじゃないの?」
「いや・・
彼女の場合は・・」
僕は机に戻ってコップを手に取った。
しかし結局口をつけずにそのまま置いた。
「今日の臨時の『Dゲーム』を除いて
これまで『Dゲーム』は
6回行われてる。
そして奴隷に選ばれたのは
男子では6人。
1回目は
安心院正義。
2回目は
道成寺義淵。
3回目は
僕。
4回目は
細川圭太。
5回目は
出口良司。
そして6回目、
今月は小林大樹だ」
「ふうん。
それで?」
「男子は暗黙の了解で奴隷の担当を
満遍なく回してるけど。
女子の方は違うんだ。
1回目は
雲泥万里。
2回目は
久瑠凛。
そして。
3回目から6回目までは
ずっと妻鳥だった・・」




