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異端者達のメメント・モリ ~冬の始まり  作者: Mr.M
二章

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18/57

第18話 盗み見

「蒸し暑いわね、この部屋」

そう言って幻夜は

ゆったりと開いたTシャツの首元を

パタパタと煽いだ。

「ちぇっ。

 勝手に押しかけてきて

 文句が多いんだよ」

僕は渋々エアコンの電源を入れた。

「ねえ。

 女子の人間関係はどうなってるの?」

幻夜が足を組みかえると

僕の視線は無意識に

その艶めかしい太ももを追っていた。

僕は頭を振った。

「・・え、えっと。

 女子の中で最大の勢力は

 円響を中心としたグループ。

 ここには

 雲泥万里と久瑠凛が属していた。

 残念ながら。

 今日の『Dゲーム』で

 女王様の牙城は崩れたようだけどね。

 次に。

 薬袋愛姫みない はしひめ

 と

 三木美紀みき みき

 の2人。

 この2人は幼稚園からの幼馴染で

 いつも一緒にいる仲良しだよ。

 そして。

 剣野麻衣は一匹狼。

 安武マリアは・・」

「彼女のことはわかるわ。

 その容姿と偽善的な振舞いのおかげで

 上級生下級生に限らず

 男子からの人気は絶大。

 男って本当に単純な生き物ね」

幻夜の棘のある言葉に僕は肩をすくめた。

その時ふと、

僕はなぜ幻夜が『Dゲーム』で

マリアに票を入れたのか

聞いてみたい衝動に駆られた。

「何よ?」

いつの間にか

幻夜の鋭い視線が僕を捉えていた。

「い、いや・・べ、別に」

僕は慌ててコップに口をつけた。

そして一口だけアイスコーヒーを

飲んでから静かにコップを置いた。

幻夜が僕の方を見ていた。

次の瞬間。

その瞳が赤く光ったように見えた。

心臓がドクンと跳ねた。

僕は大きく頭を振った。

「・・あ、あのさ。

 な、何で投票用紙に

 マリアの名前を書いたんだよ?」

動揺を悟られまいと

僕は思っていたことを口に出した。

今度は幻夜が僕から視線を外した。

そして。

トマトジュースの入ったコップを

手に取った。

こくこくこくと震える

彼女の細く白い喉元を見て僕は・・。

「・・盗み見なんて良い趣味してるわね」

「い、いやいやいや!

 ご、誤解だって!」

僕は慌てて立ち上がった。

「どうしたの、見たんでしょ?

 私が投票用紙に書いたところを」

ベッドボードにコップを置いた幻夜が

訝しげに僕を見ていた。

「あ・・う、うん。

 た、たまたま見えたんだよ・・」

僕はゴホンと大袈裟に咳払いをした。

「そ、それより質問に答えろよ。

 何で投票用紙に

 彼女の名前を書いたんだよ?」

それから不機嫌を装って椅子に座った。

「『綺麗な薔薇には棘がある』

 って言うでしょ?」

そう言って幻夜はにこりと微笑んだ。

白い八重歯が覗いていた。


「理由になってない気がするけど。

 ・・でもさ。

 まさか今日の『Dゲーム』の結果が

 こんなことになるなんて

 思わなかったよ」

僕は話題を変えた。

「私が奴隷になると思ってたのよね?」

「そ、そりゃ・・そうだよ。

 長い付き合いのあるクラスメイトと

 転校生を天秤にかけたら、

 どう考えたって答えは明白だろ?」

「はぁ。

 わかってないわね。

 女っていう生き物を」

幻夜が大きく溜息を吐いた。

「仕方がないわね。

 後学のために知っておくといいわ」

そして幻夜はポケットから

クシャクシャになった

いくつもの紙屑を取り出した。

「それは?」

「投票用紙よ」

「はぇっ!」

僕の口から奇妙な声が漏れた。

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