第15話 諸行無常
その日。
授業が進むにつれてクラスの中の空気が
少しずつ変わっていくのを僕は肌で感じた。
それは円響という絶対的女王が
例えゲームとはいえ奴隷に選ばれたことが
原因であることは明らかだった。
そして。
そんな変化がはっきりとした形で表れたのは
給食時間になってからだった。
「おい、見ろよ」
僕と良司は圭太が顎で指している方を見た。
一番前の席で1人で給食を食べている
円の背中が見えた。
彼女の後ろの席の雲泥は
その後ろの席の久瑠と机を合わせて
2人で給食を囲んでいた。
「女って怖いな・・。
まさかあの2人も
女王様に投票してたんじゃねーのか?」
「オイラはマリア様に票を入れた人の方が
気になるんだなぁ」
良司はそう言ってパンを頬張った。
僕はマリアの方に目を向けた。
彼女は1人静かに給食を食べていた。
誰に対しても優しく
まさにその名の通り聖母のようなマリアに
3票も入ったことに僕は驚いていた。
そしてもし。
最後の1票がマリアに入っていた場合。
きっと彼女は
静かにその結果を受け入れただろう。
それから僕は幻夜の方に視線を移した。
幻夜はスプーンを手に取って
美味しそうにミネストローネを
口に運んでいた。
よりによって幻夜はなぜ
マリアの名前を書いたのか。
その疑問を胸に抱きつつ僕はパンを齧った。




