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プロローグ
新連載です。
ファンタジーものですがテーマは「家族」です。
長くなりそうですが、よろしくお願いします。
激しい雨の降る夜、ボロボロのマントを羽織った”少年”が走っていた。
雨でずぶ濡れになりながら街を駆け抜けて、”彼”がたどり着いたのは小さな教会。
暗がりの中”少年”は教会の扉を叩く。
「――私です、リリアです。お願い、助けてもらえませんか――?」
”彼”、いやリリアの声は――、ややハスキーなものの女性のそれだ。
「――リリアさん⁉」
扉の向こうから出てきたシスターはリリアのおでこに手を当てる。
「熱がありますね。――リコちゃんが産まれたばかりなのに、どこでこんな無茶を――」
「――奴らの元から逃げてきました――奴らはまた、私を――」
そう言うなり、”彼”、いや彼女はその場に倒れ込む。
シスターは倒れ込んだリリアを抱きとめ、教会の奥へと連れて行った――