第8話「ずっとこのまま走り続けたい」
────ノア様の命令だ!手を上げて私たちに射殺されろ!これは「増える」為の行動であり、人類の為でもある!
ドアを破った兵士達は私たちに銃口を向けながらそう言っている。
一体どうなっている。ノア様…ということはオリヴィエの父ーリヴァイ・ノアがそう命じたのか…分からない。とりあえず、
「逃げ…」
『私に策がある。みんなで逃げよう』
突然、璃は小さなで声そう言った。
────感情がない人は基本的に人を疑わない。人は皆、「増える」為に生きているという共通認識があるからだ。なら…
────パリンッッッ
パリンッッッパリンッッッ
璃は3枚の皿を出口とは逆の方向に投げつけた。
「そこにいるのか!でてこい!」
足音を消し、ドアの方向へと進む。
そして、花さんは璃をおぶりながら裏道を走り続ける。
────その先に…
1km程走り続けた。途中何人かの兵士に見つかったが上手く巻けたらしい。
ハァハァハァハァハァハァハァハァ
呼吸が上手くできなくなった。口の中から鉄の味がした。でも、逃げきれた。私たちは逃げ切ったのだ。
「君たちか。感情を持っているのは」
どこからか誰かの声がした。低く、太い声だった。
上手く声がでない。喉が痛い。
「誰だ!」
璃が大きな声を出した。こんな声もだせるのか。いや、そんなことより。
「私はオリヴィエ・ノアの父。リヴァイ・ノアだ。」
馬に乗っている男はそう言って私たちの前に姿を現した。この訳の分からない。命令を発した張本人が目の前にいる。
「なぜ、私たちが感情を持っていることがわかった!答えろ!」
璃はリヴァイに負けないくらい低い声でそう言った。
「ふん…私も…」
────うおおおおおおおおおあああ
その時だった。突然白馬に乗っているある男がリヴァイの馬に突っ込んだ。違う、オリヴィエだ。
「お前らさっさと逃げろ!」
「オリヴィエさん!?」
璃は驚いたような声で叫んだ。
「いいから南にずっと逃げろ!!お台場なら安全だ!!」
私はもうオリヴィエとは会えないと思った。ここでお別れだ。私たちはどうなるのだろう。オリヴィエはどうなるのだろう。私たちは4人ともお尋ね者になってしまうのだろうか。このまま逃げ続けるのか?オリヴィエとも会えずに。それはいやだ!
「ごめん!オリヴィエ!私も戦う!」
オリヴィエはお母さんを殺した人。許せない人。でもそれはここで見捨てる理由にはならない。はず。
「私も戦うよ。もう嫌な気持ちにはなりたくない!」
感情がない頃、私は璃の事を非生産的な人間だと思っていた。違う。璃は勇気があって頭がいい。あと、顔もいい!!
「私もオリヴィエさんと会えなくなるのは嫌かな!」
花さん。お母さんをゴミ扱いした時は殺そうと思った。けど、オリヴィエさんと同じ。感情を持つと分かり合える。
「お前ら!いいから逃げろ!えんぐn…」
────ドン!!!!
キーーーーーーーン
頭と耳が痛くなる
オリヴィエの馬の頭に穴が空いた。
オリヴィエの服が赤黒く染まっていく。
「やはり、お前も感情を持っているのか。オリヴィエ!!!!」
────オリヴィエは死んだ馬に隠れている。いや、何かを伺っている?
────リヴァイはオリヴィエが隠れている馬を見ながら自身の馬から降りた。
────銃口はずっと私たちの方に向いている。
────璃を見た?????いや、ということは!オリヴィエから視線を外した!!!
────バンッ
「今だ!走れぇぇぇぇ!!!!」
4人で走っていた。オリヴィエさんが璃を抱えていたから3人で走っている。けど、4人で走っていることにする。楽しい。ずっとこのまま走り続けたい。
お願いです。私たちはもう悪いことはしません。だから…私たちからもう何も奪わないでください。
お願いです。もう誰かが居なくなるのは辛いんです。感情を知ってしまったから。誰かを思うことが出来てしまうから。どうか感情を知ってしまった私たちを許してください。
────お願いします────
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