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第4話「幸奈の言ったことは全て覚えてる」

────頭が痛い

玲奈さんの上で幸奈を看病してから何かがおかしい。

違う、幸奈に出ていくことを指示された時からだ。

あれ?玲奈さん死んじゃったの?

普段の思考回路なら私は非生産的人間がいなくなってメリットが増えたと考えるはずだ。

しかし、私は今、体中から何かがが迫るような感覚になっている。ので、逃げだしている。走り回っているのだ。

冷静になれ。なれない。自分をコントロールしろ。できない。これは何?幸奈が言っていた感情ってやつなのか?

足が絡まる。そういえば、私は足が悪かった。痛い。痛い。痛い。

玲奈さんから出ていた赤いベトベトした水が自分の膝からも流れている。嫌だ。

幸奈はたまに出してたっけ。これ。

落ち着いた。痛いから。痛すぎるから落ち着いた。よし。

自分の中にあるこれを感情という事にしよう。

なぜ急に感情がでてきた?

分からない。

多分、幸奈も感情が出てきたのだろう。そんな気がする。

あんなに顔にシワを寄せている幸奈は初めて見た。

でも、幸奈は大丈夫かな?多分あれは良くない感情だ。幸奈が言っていた「嬉しい」とか「楽しい」とかではないと思う。

私が玲奈さんの上に座ったから?あれはその方が幸奈の表情がよく見えると思って…

もしそうだとしたら大変だ。幸奈に謝りに行こう。

「璃」

その時、私を呼ぶ声が聞こえた。



────頭が痛い

幸奈ちゃんと会ってから頭が痛い。

幸奈ちゃんの狂犬病がうつってしまったのかしら。

それと、玲奈さんの死骸を処理する時は変な感じだった。初めてする感覚だった。

今までご近所さんの死骸を処理することはあったが、こんな事はなかった。

違和感は他にもある。幸奈ちゃんだ。まるで人が変わっていた。初めてのことが多すぎる。分からない。

目の前にもやがかかった。なんだろう?

手になにか冷たいものが落ちてきた。

雨?

空の様子を確認する。

快晴

また、初めてのことだ。

その時、前の変な歩き方をしている女の子が転んだ。違う、璃だ。

視界が悪くても分かる。

「璃」

気づいてないのかな?

近づいてもう一度呼ぶ。

「璃!」

いつも無機質な顔の璃が目を大きくして眉を上げながらこちらを向いた。また、初めてだ。だけれども、今回の初めては心地が良い。私の口角は少し上がった。

「お母さん!大変だよ!」

璃は突然大きな声で私に言った。

「どうしたの?」

「私と幸奈から感情がでてきたの!」

「カンジョー?」

「幸奈がよく言っていたやつだよ!体の中から湧き出すやつ!」

────今までの変な感じのことか?…

「それ…私からも出てきたかも」

この後はトントン拍子に話が進んだ。

幸奈のこと。玲奈さんのこと。カンジョーのこと。合点がいったこともあるが、おかしなところもある。ただ、私たちは幸奈ちゃんに謝らなくてはならない。そう思った。

「もう遅いから一旦お家に帰りましょう」




────いただきます

昨日、幸奈と一緒にお昼ご飯を食べていた時に言ってたやつ。

お母さんと食料を食べている。いつもなら何も感じない「コレ」に対して。いやな感じになった。これが「不味い」なのかな?

これも幸奈が言ってたやつ。

「ごちそうさまでした」

これも幸奈が言ってた。多分全部感情なんだろう。

幸奈の言ったことは全て覚えてる。顔も。声も。姿も。忘れたことは無い。





────ガタっ

何かが倒れた音がした。

«地震です。地震です。直ちに避難してください»

列車の汽笛のような音と共に避難警報が街中を覆った。

地震の時の動きは決まっている。近くの小学校に…

「璃!!!」

璃はそれとは逆の方向に走っていった。

違う、幸奈の家の方向に走っていった。

追いかける。追いかける。追いかける。

本棚の下敷きになっている幸奈ちゃんを娘が助けていた。

隣の部屋から強く光る炎が見えた。また、変な感じ。いや、感情だ。嫌な感情が私を横切った。しかし、それ以上に幸奈ちゃんを助けなければならない。そう思った。

「私が本棚を持っている間に璃が幸奈を助けて!」

私は炎の中に身を投じた。

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