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第2話「オリヴィエ・ノア」

俺は今「憎悪」を向けられている。

青葉玲奈の娘-青葉幸奈に。

確か、歴史書に「憎悪」の詳細が書いてあったはずだ。

青葉玲奈はただ生きているだけ。点滴の数には限りがある。非生産的なのだから生かしておくと他の生産的な人を間接的に殺すことになるかもしれない。それは「増える」目的に反する。存在が悪だ。

いや、そんなことより青葉幸奈から感情が確認された。

この事をお父様に報告する事は他の非生産的人間を殺すことより優先されるだろう。

「ついてこい」

幸奈にそう言った直後、俺の意識は無くなった。



────白い天蓋カーテン、ダマスク柄の壁。いつもの寝室だ。

「オリヴィエ様、おはようございます」

いつものナナの声。

ナナに昨日の事を全て教えられた。

俺は江東区内にいる非生産的人間を殺しに行った時、ある一家の前で倒れていたところを近くの住民に見つかり救助されたらしい。

────うっ…

唐突に吐き気が込み上げてくる。

なんだこれは。人殺しなんていつも通りじゃないか。この感覚はなんだ。



────この本を読みなさい。オリヴィエ。

お父様から本を受け取った。歴史の本だ。人類の過ちを記述した本だ。

昔の人類は争いを好んだ。自分の欲望のままに他社と奪い合い、「増える」事を疎かにした。その結果、人類は滅亡しかけた。これに嘆いた█████はできる限りの人類から感情を消し、平和を教授した。



「俺は風邪を引いたから1週間程動けない。この事をお父様に報告しろ」

俺は吐瀉物を処理しようとしたナナを、部屋から出した。

もうこれが何を目的としている行動か分からない。ただ、1人でいたかった。

皮膚を破り刃の先端を心臓部に突き刺す感覚。

血液が自分の手をつたる感覚。

そして、人を殺すという事実を受け止める感覚。

これは「気持ち悪い」か「罪悪感」か「恐怖」なのか。分からない。

これではまるで歴史書に登場する人類そのものではないか。違う。違う。違う。違う。

そのようなことはあってはならない。




「オリヴィエ様、お父様がお呼びです」

1時間程唸り続けていた時だった。ナナから伝言が届いた。

もし、お父様に感情があることがバレたら俺はどうなるのだろうか。絶対に誰にもバレてはいけない。そう心に誓った。



「オリヴィエ、東京で何があった」

開口一番お父様はそう言った。

「体調が優れず、江東区内で倒れてしまいました」

「そうか、それだけか」

「はい」

気づかれていないよな…

少し心配になりながらもお父様との会話はいつも通り続けることが出来た。大丈夫だ。俺にはできる。

「ゴホッゴホッ、体調が悪化してきました。自分の部屋で休んできます」

「分かった、速急に治せ」



俺は外の嵐に気づくこともなく部屋に篭もり考え続けた。

青葉幸奈はなぜ感情を持っていたのか。

そして、なぜ俺に突然感情が発生したのか。

あの時は、確か…

俺が玲奈を殺し、幸奈に憎悪された時だったか…

そんなことより、





────俺は青葉玲奈を殺した。この罪は絶対に忘れない。

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