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第7話「美しい死に方」


その日は雪が降っていた。今は夏だ。


最近、異常気象や自然災害が東日本内で頻発している。だから、この雪で動揺する人は誰もいない。


────各員!!戦闘用意お願いします!!!


①敵はオリヴィエ軍。


②JLNは長野県側、オリヴィエ軍は岐阜県側に軍を置き、硬直状態にある。


③敵将「オリヴィエ」以外は殺しても構わない。オリヴィエのみ生け捕りとすること。



────総員!!配置に着け!!!


①敵はJLN。


②オリヴィエ軍が岐阜県側にあると思わせ、富山県側から攻めるという作戦である。今は硬直状態を(よそお)っている。


③この戦いの目的は「青葉幸奈」を殺すこと。これができれば負けても構わない。




────私は後方で健闘を祈るしかできなかった。


璃は凄いな…


璃は今、作戦指揮官として第8隊で戦っている。


この戦いの目的は殺すこと。感情を与えることではないのだ。




────第1隊、第2隊に告ぎます!!


岐阜県側のオリヴィエ軍が予想より少ないことが判明しました。囲まれている可能性があります。一時撤退してください!


『了解!』


────京都軍に告ぐ。


この作戦を読まれた可能性がある。一時撤退した後、政府軍と合流せよ。


『了解』


────人の数ではこちらが有利なはず!


このまま全体同時に前進してください。ここで全てを決めます!


『了解!』


────オリヴィエ軍直轄隊のみ敵の後方に回れ。


少数精鋭で「青葉幸奈」を殺害した後、全軍撤退せよ。お前らはそれまで持ちこたえろ。


『了解』


────前進せよ!!!今だ!!!進め!!!


互いの気持ちを鼓舞し合う。ここで決める!!



«地震です!地震です!直ちに避難してください!»


────何!?なんでこんな時に地震なんて!!


────おい、ここは山しかないぞ!?どうしたら…


────うぉっ!?助け…


全隊通信途絶。


「璃ちゃん!こっち!…早く!!」


「は、はい!!」


「こんな時に地震なんて…これじゃあお互い殺し合いどころじゃなくなるわね…」


皇隊長と一応安全だと言われている場所までこれた。しかし、これで作戦の指揮は取れなくなってしまった…


────ガタッ…ドコン!!!


何かが外れる音がし…皇隊長!!危ない!!


「皇たいっ…」


あ、これ…終わる?体中の感覚がない。幸奈…助けて…


「璃ちゃん!?しっかりして!!」


「璃ちゃん!!璃ちゃん!!!…どうして…私なんかを助けて…そんな…幸奈ちゃん…私…もう…どうすれば…」



声が聴こえる。誰の声だろう。分からない。


私は死んだのだろうか。ごめんね。幸奈。


でも、私の人生は楽しかった気がする。


多分、人よりいい人生だった。


だから、人より早く死ぬ。そういうことだ。


あぁ、こんな時に幸奈とキスしたかったな…


私はキスの事を知っていた。幸奈は知らなかったっぽいけど。


もう、何も見えない。聞こえない。分からない。


あれ?お母さん…?そっか。迎えに来てくれたんだ。ありがとう。大好きだよ。


お母さんも幸奈もオリヴィエもずっと大好き。









生存者

第1隊全員、海堂璃除く第8隊全員。のみ。


死者、行方不明者

第2隊~第7隊、第9隊~第20隊全員。海堂璃。


誰もが、美しく死ぬとは限らないらしい。


唐突に死ぬ。人を恨みながら死ぬ。何も感情がないまま死ぬ。誰にも思われないまま死ぬ。


そんな人たちが今日、大勢死んだ。





────クソッ…戦争は感情が爆発しやすいのか…間に合わなかった…意識が…もう…


「オリヴィエ…!?そこにいるの?オリヴィエ…!?」


オリヴィエは雪の中で寝ていた。いや、意識がなくなっていた。




私は自身の体温でオリヴィエを温め続けていた。



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