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第5話「私と世界の記憶」



────2年後────



私たちは東京都含める東日本陥落を果たした。


JLNは大組織となり、日本独立運動が盛んに行われるようになった。


────幸奈?大丈夫?


「うん。ありがとう。璃」


私はお母さんのようにはならなかった。

理由は分からない。


そして、私の「Emotion」はより強力になった。

私の周りにいる人は皆、感情を取り戻したのだった。


私が強く思うことがなくとも、相手には感情が芽生えるようになった。


海棠(かいどう)副隊長!皇隊長がお呼びです!」


璃は第8隊副隊長にまで上り詰めた。

スピード昇格って感じだ。


────オリヴィエはあの日以来、見つかることはなかった。


どこに行ってしまったのだろう…




「幸奈!大変!」


皇隊長の呼び出しから戻ってきた璃は血相を変えてそう言った。


京都を中心とする感情推進委員会なる組織が1夜にして制圧された。


そして、その組織を制圧した軍の名前が…


「政府軍『オリヴィエ・ノア隊』」


「まさか…オリヴィエが…」


私は信じられなかった。


「次の目標は私たちだと言うことも公言したらしい…幸奈…オリヴィエは…」


「オリヴィエは私たちの…敵…」





────2年前。3人が捕まった日。────


「オリヴィエよ。ついてこい。王が呼んでいる」


王?王が日本に来ているのか?


「分かりました…」






────オリヴィエ・ノア。お前には感情があるな?


王に問われる。


「…はい。あります」


「私にもある。だから分かる。辛かったろう」


「は?」


意味が分からない。


「そ、それは一体どう言う…」


欧州、西アジアを統一したアラン・ホワイト。


アフリカ、中東を統一したカレン・エドワーズ。


北米、中南米を統一したダリアナ・ラッセル。


東アジア、大洋州を統一したリヴァイ・ノア


そして、この4人を従えている世界の王。

オリバー・スミス


────この5人にはもとから感情がある。



5人の家系には「Emotion」という能力が代々受け継がれてきた。


ホワイト家は相手の感情を第三者へと移す能力。


エドワーズ家は相手の感情を作り替え、記憶を操作する能力。


ラッセル家は相手の体感時間を止め、相手のみを時間停止させる能力。


ノア家は相手の感情を読み取る能力。


「え?俺はそんな能力持ちあわせていません!」


「お前はまだ知らないだけだ。各々、発動条件が違う。お前にもあるはずだ。探してみろ」


「そう…ですか。すいません。続きを…」


私は相手の感情を消す能力。


この感情がなくなった世界は私が創りだした。



「なぜですか!なぜそんな事を!」


「仕方のないことだ…人類を救うために私は…」


「その力があれば争いを止めることだってできたはずです…なぜ…?」


────前提が間違っている


「争いを無くすために感情を消したのでは無い」


俺は王から本当の歴史を伝えられた。


宇宙のエネルギー総量には限界がある。


人間の感情というエネルギーはその中の(ごく)わずかでないと、この地球は成り立たなくなる。


そう決まっている。


しかし、近年の人口増加にともないエネルギーはその限界を超えることとなった。


地球という生物は自身を守るために人類を殺戮(さつりく)することを選んだ。


────自然災害の誕生だ。


地球は人間の大きな感情を発見するとそれを殺そうと足掻く。


地球も死にたくないのだ。





────その日、妻はマフィアに強姦された。


オリバー・スミスがただの地方貴族だったころの話だ。


私はマフィアに強い憎しみを持ち、その男を殺した。


その日、妻は台風により死んだ。


その時はただの不運により、死んでしまったと思っていた。


世界の真相を知ったのはマフィアを殺し続けている最中だった。


そのマフィアは世界の真実を知り、人類から感情を消し去ろうとしている集団だった。


私は自身の感情により、妻が死んだことを知った。


マフィアは感情を消す「Emotion」を人為的に作り出そうとしていた。


私はそれに賛同し、自らを実験体として、差し出した。


妻への謝罪として、少しでも人類に貢献してから死のうと思った。


しかし、私は実験に成功してしまった。


妻は私を許さなかった。


私は人類の為に全てを注ぐしかなかった。





「これが、私と世界の記憶の全てだ」




「オリヴィエよ…どうか私に協力してほしい…」


王は土下座をしながら私にそう言った。




「面白かった!」


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