第2話「私たちは確実に愛し合っていた」
────ごめん。私…
璃は私の唇に触れた後、そう言って部屋から出ていく。出ていく。出ていく。
────待って!
咄嗟に璃の手を掴む。
私は何をすればいいんだろう。何が正解なんだろう。分からない。から、
────私は璃の唇を奪った。奪い返した。
目を瞑る。
璃はどう思ったのだろう。
私はどう思っているのだろう。
これは不正解な気がする。
でも、私はこれしか知らない。
璃の肩が震えてる。不安になって唇を離してしまった。
「大丈夫?」
璃は涙を流していた。
涙は悲しい時に流すらしい。
オリヴィエが言っていた。
「…ごめん」
私は謝った。璃に悲しい思いをさせてしまった。
────また、璃が私の唇を奪ってきた。
私も涙が流れてきた。
悲しい訳ではない。なんでだろう。
オリヴィエと海で遊ぼうとした時と同じだ。
璃もそうなのかな。
そうだとしたら私たちは変な人たちだ。
悲しくないのに涙を流す。
でも、変な人でも、璃と同じで嬉しい。
ずっと涙がでる。
唇にまで涙がつたる。
この味はどちらの涙の味なんだろう。
────私たちは互いの涙を噛み締めた。
そうしていくうちに互いの舌が絡み合う。
璃が寝ていた暗い部屋で、私たちは確実に愛し合っていた。
────どのくらいそうしていたのだろうか。
私たちはいつの間にか話し合っていた。
お母さん…
花さん…
オリヴィエ…
私たちは失ってばかりだった。
これが感情の代償なのだろうか。
でも、感情がないと失う事すら感じれない。
だから、私たちはこれで良かった。
感情は悪ではない。そう思えた。
多分。私はオリヴィエの事が好きだ。
お母さんを殺し、私の事も殺そうとした。
でも、私はそんなオリヴィエが好きなんだ。
ずっと思い出してしまう。
璃も好きだ。大事な時に私を助けてくれる。
大事な時に私のそばにいてくれる。
────私、璃の事好きだよ。
お母さんも花さんもみんな大好きだ。
ずっと生きていてほしかった。
感情って美しい。
ただの会話に喜びを感じる。
人の死に悲しみを感じる。
オリヴィエは絶対に取り戻す。話をすれば分かるはずだ。感情の美しさに。
────白い壁。柔らかい床。
「おはよう。幸奈」
どうやら私は璃の部屋で眠ってしまったらしい。
「おはよう。璃」
私も璃に挨拶をする。
そういえば、ここはどこなんだろう。
────おはよう。幸奈、璃。
突然あの男が部屋に入ってきた。私たちをここに連れ出した男だ。いや、助けてもらったのかな…
「朝食がある。ついてきなさい」
────私たちは用意された食料を食べながら男と話した。
「美味しい!」
用意された食料は生まれて初めて「美味しい」と思えた。
白く、もちもちしているつぶ。これはご飯と言うらしい。
茶色く、少し熱い水。これは味噌汁。
赤く、ぷりぷりしている物体。これは鮭。
緑色のシャキシャキしている葉っぱ。これは野菜。これだけ不味かった。あんま食べたくない。
男の人は1つづつ説明してくれた。
「あなたは誰なんですか?なぜ私たちをここに連れてきたんですか?」
璃が男に問う。
「私は幸奈の父。青葉圭吾だ」
男。いや、お父さん?はそう言った。
「お父さん…なの…」
「お父さんって…じゃあなんで今まで一緒に暮らして来なかったの?」
「そう…せざるを得なかった」
────私は日本解放戦線(JLN)の一員だった。
玲奈は「Emotion」という能力を持っていた。
その能力は相手に強い感情を抱くとその人は感情を持つようになるというものだった。
その力を利用し、日本人の感情を取り戻そうとしていた。しかし、「Emotion」を発揮するごとに玲奈の体調は悪くなるばかりだった。
私はその事に気づけなかった。
私が気づく頃には玲奈は何も話すことができなかった。
そして、幸奈と共に安全な東京で余生を過ごしてもらう事にした。
それから私はJLNに戻り、感情保有者たちを統治した。
多分。リヴァイが玲奈に気づいたのだろう。
私たち玲奈が殺されたと聞いて急いで幸奈を保護した。「Emotion」は遺伝するからだ。
────これが私の今までだ。今まで顔を合わすことができず、すまない…幸奈…
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