表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

99/137

第九十九話 殿下とわたしの今世でのファーストキス

 殿下が、前世のことを思い出してくれている。


 なんと素敵なことだろう。


 わたしとの結婚の約束も思い出してくれた。


 うれしいことだ。


 喜びをかみしめていると、殿下は、


「わたしはリンデフィーヌさんに謝らなければなりません」


 と言って頭を下げてきた。


「殿下、頭をおあげください。わたしは殿下に謝られるようなことはされていません」


「いや、謝らなければならないのです。わたしは前世と同じく、あなたと幼馴染として生まれ、ずっと一緒に生きていきたかったです。しかし、わたしのあなたへの想いが足りなかったばかりに、生まれたところが離れ離れになってしまいました。しかも、あなたは、婚約を破棄され、公爵家も追放されてしまいました、わたしの想いがもう少し強くなっていれば、あなたにこういう苦労をさせることもなかっただろうと思うと、申し訳ない気持ちでいっぱいです」


「そんなことはないです。わたしの殿下への想いも足りなかったのだと思います。わたしの方こそ謝らなければなりません」


 わたしはそう言って、殿下に頭を下げた。


 そして、


「でもこうして殿下と出会うことができました。これから二人で一緒に幸せになっていければいいと思います」


 と言った。


 わたしは言った後で、少し言い過ぎたかも、と思った。


「二人で幸せになる」


 いくら前世で約束したとはいっても、わたしたちは今日出会ったばかり。


 付き合ってもいないのに、そういうことを言ってよかったのだろうか?


 嫌われないまでも、ちょっと嫌な思いはするかもしれない……。


 そう思っていると、殿下は、


「リンデフィーヌさん、そう言っていただきまして、ありがとうございます」


 と言ってくれた。


 そして、


「わたしはこれから、全力であなたを幸せにしていきます。あなたは、前世でも今世でも理想の女性です。今まで会うことができなかった分、一生懸命あなたに尽くし、愛していきたいと思っています」

 と恥ずかしそうに言った。


「殿下……」


 わたしもだんだん恥ずかしくなってくる。


「わたしはあなたのことが大好きです。愛しています。婚約して、結婚したいです。婚約を受け入れていただけますでしょうか?」


 殿下は恥ずかしがりながら、しかし、強い気持ちの入った口調で言う。


 プロポーズ。


 わたしの目から涙がこぼれ始めた。


 前世の時の記憶がよみがえってくる。


 あの時もこうして力強い口調でプロポーズされたのだった。


 うれしくてしょうがない。


「殿下、ありがとうございます。前世でも今世でもプロポーズしていただいて、わたしは幸せものでございます。わたしも殿下のことが大好きです。そして、愛しています。つつしんで婚約をお受けしたいと思います」


「ありがとうございます。とてもうれしいです」


 殿下も涙を流し始める。


 そして、殿下の手からは、これまでよりも多くのやさしさが流れ込んできた。


「婚約した後は、結婚です。前世ではできなかった結婚をいたしましょう」


「わたしは前世でも殿下と結婚することが最大の夢でした。そうおっしゃってくださって、ありがたい気持ちでいっぱいです」


「わたしは前世では体があまり丈夫ではなく、あなたがあの世に行った後、半年ほどしか生きることができませんでした。しかし、今世ではあなたと一緒に長生きをしていきたいと思っています。そして、あなたを幸せにしたいと強く思っています」


「わたしも殿下を幸せにできるように、一生懸命努力いたします。殿下の為に尽くしていきたいと思います」


「リンデフィーヌさん、大好きです」


「わたしも殿下が大好きです」


 殿下はわたしを抱きしめた。


 恥ずかしい気持ちでいっぱいになるけれど、とても心地いい。


 そして、唇と唇を重ね合う。


 わたしにとっての今世でのファーストキス。


 わたしたちは幸せを味わい始めていた。


「面白い」


「続きが気になる。続きを読みたい」


と思っていただきましたら、


下にあります☆☆☆☆☆から、作品への応援をお願いいたします。


面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直に思っていただいた気持ちで、もちろん大丈夫です。


ブックマークもいただけるとうれしいです。


よろしくお願いいたします。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ