表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

98/137

第九十八話 前世での話をするわたし

 わたしは殿下に、前世の話をし続けた。


 幼い頃から、前世を去る時まで。


 殿下とは幼馴染で、物心がついた時から殿下のことが好きだったこと。


 殿下もわたしのことが好きだったようで、愛を育んでいったこと。


 そして、二人の想いは、婚約というところまで到達したこと。


 しかし、これから結婚するというところで、わたしは病床の人になったこと。


 そして、殿下と来世で結婚することを約束して、あの世に旅立ったこと。


 以上の話をした。


 言葉で言えば、すんなりと話ができたように思うかもしれないが、実際は話をしている内に、恥ずかしてたまらなくなったところもあった。


 特に、わたしが、


「殿下のことがずっと好きでした。愛していました」


 ということを言った後は、心が沸騰しそうになった。


 殿下はわたしの話をどう思ったのだろう。


 前世の存在がわからない人であれば、ただの夢想だと思うかもしれない。


 わたしも、前世のことを思い出すまでは、前世が存在するかどうかはわからなかった。


 同じ立場であれば、夢想だと思ってしまうかもしれないと思う。


 殿下は、前世の存在を理解しているかどうかはわからない。


 しかし、わたしとの思い出を思い出すことができないのであれば、どちらにしても、わたしの夢想だと思われてしまうかもしれない。


 それだけではなく、わたしの想いを殿下に押し付けているだけだと思われるかもしれない。


 そうなれば、わたしが悩んでいた通り、殿下に嫌われてしまうこともありうる。


 ただ殿下はわたしが話をしている間、ずっと真剣に聞いてくれていた。


 そうした姿勢をとっていたので、夢想だと思うことはないとは思う。


 少なくともわたしの殿下への想いは伝わったと思う。


 そう信じたい。


 わたしは殿下の言葉を待った。


 すると、殿下は、わたしが話をしている間、離していたわたしの手をまた握った。


 そして、


「聞かせていただいて、どうもありがとうございます」


 と言うと、涙を流し始めた。


「殿下……」


 殿下の手から、やさしい気持ちがより一層入り始めた気がする。


「リンデフィーヌさん……」


 殿下は、その後の言葉が涙でなかなか出てこないようだ。


 胸がいっぱいになっているのかもしれない。


 やがて、殿下は涙を拭き、気分を整えると、


「わたしもリンデフィーヌさんの手を握っている時、自分の前世を思い出していたのです。それは、自分の夢想ではないかという気持ちがあったので、すぐには話すことができませんでした。前世というものの存在は、それまでわたしにもわかりませんでしたので、リンデフィーヌさんもわからないのではないかと思いました。こういう話をしたら変な人だと思われて、あなたに嫌われるかもしれないと思ってしまったのです。それを、あなたは先におっしゃてくれました。なんと勇気のあることでしょう。ありがたいです。わたしもあなたのことが好きでした。そして、あなたと前世で婚約をしました。残念ながら、結婚することはできませんでしたが、来世で結婚しようと約束しました。その約束をわたしは思い出したのです」


 と殿下は、少し恥ずかしがりながら言った。


「面白い」


「続きが気になる。続きを読みたい」


と思っていただきましたら、


下にあります☆☆☆☆☆から、作品への応援をお願いいたします。


面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直に思っていただいた気持ちで、もちろん大丈夫です。


ブックマークもいただけるとうれしいです。


よろしくお願いいたします。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ