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第八話 異母姉を抱きしめるマイセディナン殿下

 

「まだ言うんだな。わたしがせっかく腹を立てないようにしていると言うのに。なぜそれが理解できないのだ」


「殿下になんと言われてもあきらめたくないです」


「わたしにはもうルアンチーヌという素敵な婚約者がいるんだ。お前がそこに割り込む余地はない。なあ、ルアンチーヌよ」


 すると、それまで殿下のそばで恥ずかしそうにしていた異母姉は、


「殿下はわたしと婚約したのです。わたしは殿下と愛し合っているのです。あなたはもうあきらめなさい」


 と冷たい表情でわたしに言った。


 聞き捨てならない言葉だ。


「愛し合っているって、それはどういう意味です?」


「教えてほしいか? 教えてほしそうだから教えてあげよう」


 殿下は微笑みながら言う。


「殿下までそういうことをおっしゃるのですか? 別に教えてほしいとは思いません」


「そんな、遠慮することではないのに。教えてあげようと言っている」


「教えていただかなくてもいいと言っています」


「殿下、わたしの娘は遠慮しているのです。心の底では教えてほしいと思っているに違いありません」


「お前もそう思うか。ならば、リンデフィーヌに教えてあげることにしょう。教えないのは失礼だからな」


 殿下はそう言うと、異母姉の手を握る。


 そして、異母姉を抱きしめる態勢に入る。


「殿下、それは、それだけは……」


 わたしは殿下を止めようとした。


 このままでは殿下は異母姉を抱きしめてしまう。


 わたしの目の前で。


 それだけは避けてほしい。


 そう思っていたのだけど…。


 わたしの願いもむなしく、殿下と異母姉は抱きしめ合った。


「殿下、好きです」


「わたしもお前のことが好きだ」


 そして、二人はさらにその先へと進んでいく。


「殿下……」


「ルアンチーヌ……」


 重なり合う唇と唇。


 うっとりとする二人。


 婚約者がすぐそばにいるというのに、殿下は堂々と他の女性と浮気をし、幸せそうにしている。


 殿下からすれば、婚約破棄をしたのだから浮気でもなんでもないと言うかもしれないが、わたしにとって殿下は婚約者なのだから、浮気ということになる。


 抱きしめ合う姿を見るだけでもつらかったのに、唇を重ね合う姿を見るのはなおさらつらいことだ。


 わたしはめまいがして、立っているのがつらくなってきた。


 もうこれで、殿下との婚約の継続は無理になった。


 そう思うと、もう気力がなくなっていく。


 そして、涙がこぼれ始めた。


 ああ、どうしてこんなつらい思いをしなければならないのだろう……。


 殿下と異母姉は、そんなわたしにはお構いなく唇を重ね合っていた。


 やがて、二人は唇を離す。


 殿下は、


「どうだ、これでお前も理解しただろう。わたしたちは、愛し合っている。今はさすがにできないが、二人だけの世界にも入っているし。なあ、ルアンチーヌ」


 と言った。


「殿下。恥ずかしいです」


「恥ずかしがらなくていいよ。わたしたちは相思相愛なのだから」


 殿下はそう言って笑った。


「でも恥ずかしいことには変わりないです」


「そういう恥ずかしそうにするところがまたかわいいんだよな。さらにお前のことが好きになる」


「うれしいです。殿下」


 二人はまた唇を重ね合う。


 わたしはもう倒れそうだった。


「面白い」


「続きが気になる。続きを読みたい」


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