第七十三話 婚約破棄計画 (マイセディナンサイド)
わたしとルアンチーヌの仲はどんどん深まっていった。
婚約ということではなく、このまま遊び相手としていてくれたら、どれほどありがたいことだろうと思っていた。
しかし、そうしているだけというわけにはいかなかった。
リンデフィーヌの評判はますますよくなってきていて、その地位は盤石なものになってきていた。
婚約者の評判がいいというのは、その相手にとって、うれしいことなのかもしれない。
このままいけば、王妃になっていくのであるが、今の評判を維持できれば、それだけ国王になる相手の評判も向上していくということはいえるのかもしれない。
それも相手にとってはうれしいことなのかもしれない。
でもそれは一般的な話にすぎないと思う。
婚約者に好意の持てないなわたしには関係のないことだ。
というより、婚約というものそのものに、好意を持つことのできないわたしだ。
それにしても、ここまで評判が良くなってくるとは思っていなかった。
最初からの賛成者は、この婚約を推進した父国王しかいなかったといっていい。
それからも、賛成する人はそれほど増えていかなかった。
今思えば、その段階の内に、婚約を破棄しておくべきだった。
父国王やわずかな王室の賛成者を説得すればよかったからだ。
父国王にその時は怒られたかもしれないが、頭を下げ続ければ、了承してくれたと思う。
今の状況は違う。
このままでは、王室内のほとんどの人間が、リンデフィーヌとの結婚に賛成するだろう。
そうなってはもう婚約破棄はできない。
わたしは急がなくてはならなかった。
次の舞踏会の開催が目前に迫っている。
もう一週間後のことだ。
これは普通の舞踏会ではない。
ここで、ルアンチーヌをわたしの婚約者として紹介する。
そして、わたしと一緒に並んだり、ダンスを踊ったりすることによって、ここに集まってきた王室と貴族のものたちに、その美しさと威光を印象付ける。
集まった人々はそれに対し、祝福をおくる。
そういった大切なものだ。
しかし、ここでリンデフィーヌが舞踏会に参加し、参集者に祝福されてしまっては、もうこのまま結婚まで進むしかなくなる。
その動きを何とか止める必要がある。
その為にはもう気がすすまないとは言っていられない。
ルアンチーヌと婚約をする必要がある。
そして、舞踏会でリンデフィーヌとの婚約破棄とルアンチーヌとの婚約を宣言しなければならない。
リンデフィーヌには、その前日に婚約を破棄すると伝え、舞踏会には出席させない。
出席させたら、巻き返される可能性があるからだ。
婚約破棄だけではなく、公爵家からも追放させるのがいいだろう。
そうすれば、リンデフィーヌが復活することはなくなる。
こうして、婚約破棄をし、ルアンチーヌと婚約した後、しばらくはルアンチーヌとの生活を楽しむ。
飽きたら別れればいい。
また新しい遊び相手と出会う。
その繰り返しをしていくことによって、楽しんでいく。
わたしは計画を立てた後、リンデフィーヌの継母とルアンチーヌを呼んだ。
「ルアンチーヌよ。わたしはあなたを次の舞踏会で婚約者として紹介することにした」
わたしがそう言うと、
「殿下、ありがとうございます。うれしいです」
「わたしからもお礼を申し上げます」
と言って二人は喜んだ。
そして、計画の詳細を練っていった。
「面白い」
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