第六十二話 婚約したくないわたし (マイセディナンサイド)
こうしてわたしは、本腰を入れて婚約者を決めることになってしまった。
それでもわたしは、婚約などしたい気は全くなかった。
そこで、婚約者候補を紹介されても、適当にあしらうことにした。
もちろん形式上は、真剣だ。
真剣に検討した結果、「気が合いそうもない」ということで断る。
こうしてやりすごしている間に、新たな遊び相手を探す。
わたしはとにかく遊びたい。
婚約をしても遊べなくなることはないかもしれないが、格段に難しくなることだろう。
とにかく婚約することは避けなければならない。
両親と約束をした後、何人かの候補を紹介されたが、結局みな断わることはできた。
しかし、断るにしてもすぐには断れなかったので、新たな遊び相手を探すことはなかなかできず、ストレスはたまる一方だった。
そんな中、紹介されても断っていたわたしに対し、父国王はついに、
「わたしはお前の態度にもう我慢ができない。我々がせっかくお前の為に、候補を紹介しているのに、ちょっと会っただけで断るなんて、どういうつもりなんだ! いい加減にしてほしい」
とわたしに対して厳しい言葉で言ってきた。
それに対して、
「いえ、わたしの方も真剣に選ぼうとしているのです。そのことを理解していただけるとありがたいです」
とわたしは言った。
「わたしは婚約をしたくないのです。一緒に遊ぶ女性がほしいのです。もっと遊びたいと思っているのです」
と言いたいところだったが、そういうわけにもいかない。
つらいところではあるが、このままだと父国王のさらなる怒りを招いてしまう。
そろそろ決めなければならないところにきていた。
そういう時に、王室主催の舞踏会が開催された。
そこに、婚約者候補たちが招かれていた。
わたしは、その候補たちを見ても特に心を動かされることはなかった。
わたしの好みの女性がいない。
ゴージャスと思える女性がいない。
いつもだったら、おしゃべりぐらいはしようかと思うのだが、その気力もない。
父国王にまた怒られるかもしれないが、全員、この場で断るしかないと思った。
しかし……。
父国王に、
「今日の候補の中から、お前の婚約者を決めてもらう。今日すぐにとは言わないが、一か月の間で決めてもらう必要がある。わたしももう高齢だ。これ以上は待てない。これは、国王としての立場で言っている。いいな。よろしく頼むぞ」
と厳命されてしまった。
いくら権限を委譲されてきていても、父国王の命には従わなければならない。
嫌なことだと思う。
でも仕方がないことだ。
わたしは、
「お父上のおっしゃる通りにいたします」
と言うしかなかった。
わたしは渋々、舞踏会で婚約者候補たちと踊り、その後少しおしゃべりもした。
その中には、第一印象とは違い、遊び相手としてなら良さそうな女性はいた。
しかし、その女性と付き合うということは、婚約というところまで進む可能性が強くなる。
いずれにしても、ほどほどの付き合いにしておくしかない。
そして、
「付き合いましたが、結局、気が合いませんでした」
と言って断るしかないだろう。
ただ今日の婚約者候補の中で、断る人を出すかどうかは迷っているところだった。
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