第六十一話 婚約の話 (マイセディナンサイド)
わたしは、それからも次々に女性と仲良くなっていった。
その数は十人以上。
しかし、全員、最初は魅力があるように思うのだが、すぐに飽きてしまう。
三人目の女性と付き合うようになってからは、遊びだと思って割り切るようになった。
そうすれば、相手に魅力があると思わないようになっても、腹の立つことなく別れることができる。
それからも、付き合ってからだいたい二か月ぐらいで飽きてしまっていた。
中には一日で飽きてしまった女性もいた。
飽きたというよりは、少し話をしただけで、それ以上付き合う気がなくなった。
どの女性たちも、
「なぜわたしを捨てるのですか? わたしは殿下を愛していますのに……」
ということを必ず言う。
愛しているというのなら、ずっとわたしを満足させてほしいものだ。
しかし、そういう女性は今までの中にはいなかった。
なぜ付き合っている間に、そういう努力ができないのだろうと思う。
まあ、もう女性との付き合いは、すべて遊びと割り切ることにしていたので、別れることについて相手の方が涙を流したり、悲しみの言葉を言ってきたりしても、心を動かすことはなくなった。
そして、いくら関係の維持を望んで懇願してきたりしても、腹が立つことはなくなっていた。
それよりも、すぐに別の女性と付き合いたいという気持ちでいっぱいになっていた。
そうして、付き合っていた女性と次々に別れた後も。また次の女性と付き合うことができると思っていたのだけど……。
わたしにも婚約の話が持ち上がってくるようになった。
そういう年齢になってきたと両親は判断していた。
婚約者候補が紹介されるようになった。
しかしそれは、わたしにとって迷惑な話でしかなかった。
婚約することになれば、その時点からはもういろいろな女性と遊ぶことができなくなる。
父国王には、
「わたしはまだまだ若いです。婚約者候補を紹介していただくのはありがたいですが、婚約自体、もう少し年齢を重ねてからにしたいと思います」
と申し出ていた。
しかし、父国王には、
「女性と遊びで付き合うのは、そろそろ自重すべきだ。お前の評判にも傷がつく。わたしはお前を後継者として、権限の委譲も進めているということを忘れてほしくない。もうお前は王太子として、より一層励まなければならない年齢になってきている。それにはお前と一緒に進んでくれる存在が必要だ、そういう女性が現れたら婚約する必要がある。年齢を重ねてからと言っている場合ではない」
と厳しく言われた。
母王妃も、
「お父上の言う通りです。今まではあまり言ってきませんでしたが、女性と遊びで付き合うのは、そろそろつつしみなさい。もうあなたは、いい女性がいれば、婚約しなければならない年齢です」
と厳しく言ってくる。
わたしが十人以上の女性と付き合ってきたことについて、それまであまり触れることはなかったが、最近はこのように苦言を呈してくる。
権限は委譲されてきている。
しかし、依然としてこの王国のトップは父国王だ。
最近は、わたしのすることには口は出さないようになってきたが、婚約、結婚ということにあると違ってくるようだ。
決して無視をすることはできない。
わたしにとっては嫌な話で、受け入れたくはなかった。
しかし、その後も両親がしつこく言ってくるので、仕方がなく、
「女性と遊びで付き合うのはつつしみ、婚約、結婚のことを真剣に検討させていだきたいと思います。よろしくお願いします」
と口惜しさを抑えながら言った。
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