表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

59/137

第五十九話 殿下の客人

 わたしは殿下に客人としての招待を受けた。


 それはうれしいことだ。


 ただ、王室の方々のことは気になる。


 殿下が良くても、決していい気持ちはしないだろう。


 しかも、わたしは貴族ではない。


「殿下、ありがとうございます。ですが、わたしにとっては過分なお話です。それに、わたしのようなものが王宮に滞在することになると、王室の方々がきっと反発されると思います。そうすると、殿下にまでご迷惑をおかけしてしまうと思います。わたしは殿下にご迷惑をおかけしたくはありません。したがって、申し訳ありませんが、お断りした方がいいと思っています」


 殿下の客人になって、殿下と仲良くなりたいという気持ちはもちろん強い。


 しかし、その一方で、わたしは公爵家において継母や異母姉にいじめられた経験がある。


 客人になれば、いじめられる可能性はあるだろうし、そこまでいかなくても、冷たい態度をとる人は多そうだ。


 それは避けたいという気持ちも強い。


 職探しは大変そうだし、職についてからも大変だと思うので、どちらがわたしにとってのいい選択になるのかどうかはわからないところだ。


 とはいうものの、殿下とこれで離れてしまうのは、何にも増してつらいことだと思うのだけど……。


 そう思っていると、殿下は、


「心配なさることはありません。あなたのことはわたしが守ります。安心してください」


 とやさしく言ってくれた。


 わたしはその言葉に、心が沸き立っていく。


「殿下……」


「あなたは今まで、つらい目にたくさんあってきたのだと思います。わたしと会ったからには、そういうつらい目には、もうあわせないと思っています。その為に客人として招き入れるのです。王室の方々の中で、もしあなたのことをよく思わない人がいたら、わたしが説得しますし、場合によっては叱りたいと思っています。わたしはそれだけあなたのことを大切にしたいと思っているのです」


 殿下はそう言って、恥ずかしそうに微笑んだ。


「わたしのことを大切にしたいと思っている」


 それは、わたしに恋をしているということなのだろうか?


 そうだったらこれほどうれしいことはない。


 いや、それは、わたしのことをかわいそうだと思う気持ちが強いということで、恋とは違うのかもしれない。


 わたし自身はどうなのだろう。


 殿下のことはどんどん好きになってきている。


 それは、殿下に対する恋なのだろうか?


 自分でもまだそれはよくわかっていない。


 恋にまで育っていくかどうかはわからない。


 前世で会っている方だという気持ちも強いが、それもわからない。


 ただの思い込みの可能性もある。


 でも殿下ともっと一緒にいたいという気持ちを抑えることはできない。


 王室の方々にどういう仕打ちを受けようとも、そしてどんなつらい思いをしても、それは我慢しなければならないと思う。


 そして、殿下の申し出を受けるべきだろう。


 わたしは決断し、


「殿下、ありがとうございます。ここまでのお気づかい感謝申し上げます。殿下のお申し出をつつしんでお受けさせていただきます」


 と言って頭を下げた。


 わたしの言葉を聞くと、殿下は、


「わたしの申し出を受けていただきまして、こちらこそありがとうございます。うれしいです」


 と微笑みながら言った。


「面白い」


「続きが気になる。続きを読みたい」


と思っていただきましたら、


下にあります☆☆☆☆☆から、作品への応援をお願いいたします。


面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直に思っていただいた気持ちで、もちろん大丈夫です。


ブックマークもいただけるとうれしいです。


よろしくお願いいたします。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ