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第五十八話 心が熱くなっていくわたし

 わたしは心が熱くなってくる。


「わたしは、婚約破棄をされたので、家からも追放されてしまいました。もう貴族でなくなってしまったのです。家を追放されるということはつらいことです。でもそれをいつまでも思っていても仕方がありません。前を向いていくしかないと思いました」


「リンデフィーヌさん……」


「それで。王都で職につくことを目指して旅をしていました」


「それで、一人で旅をされていたんですね」


「そうでございます」


「逆境にも決してめげることがなく、前を向く心の強さ。わたしはあなたのことが好きになってきました」


 恥ずかしそうに言う殿下。


 好き?


 聞き違いではない。


 殿下がわたしのことを好きだと言っている。しかも恥ずかしそうに。


 わたしのことを異性として意識をしているのであろうか?


 そうだとうれしいんだけどなあ……。


 でもそれは私の思い込みだろう。


 好意は持ってもらったと思うけど、それは恋というところに行くのは、はるかに遠い。


 なんといっても、相手は王太子殿下で、しかも魅力のたくさんあるお方。


 わたしよりも魅力的な女性と結婚されるお方だと思っている。


 このようなお方に、好意を持っていただいただけでもありがたいことだし、幸せなことだ。


 もう間もなくお別れだけど、この幸せを心に刻んで生きていきたい。


 そう思っていると、


「リンデフィーヌさん、あなたにお願いがあります」


 と殿下が言ってきた。


 なんだろう?


 いい話であることをお願いしたいと思う。


 期待をしているのだが、殿下は話しにくいのか、もしくは言いにくいのか、その後はなかなか話しだそうとしない。


 どうしたんだろう?


 もしかして、


「あなたには申し訳ないが、今すぐここで降りてもらうことにした」


 と言おうとしているのだろうか?


 今までの流れからすると、王都までは少なくとも乗せていただけるものと思っていた。


 しかし、それは単なるわたしの思い込みだったのかもしれない。


 殿下からすれば、王都の近くまで連れてきただけでも、十分配慮をしたことになると思う。


 本来であれば、この身分差があれば、殿下に馬車に乗せてもらうことなど無理な話なのだ。


 ここまで乗せていただいただけでも十分感謝しなければならないと思う。


 わたしは、ここで降ろされることも覚悟して、殿下の次の言葉を待つことにした。


 緊張の一瞬。


 殿下は決心したのか、真剣な表情でわたしに向き合う。


「わたしはあなたの話に感動いたしました。そして、このようなお方と王都でお別れをするというのは、悲しい気持ちになりました。わたしはあなたともっと話がしたいですし、仲良くなっていきたい。そこで、王宮の中の一室を提供しますので、客人としてしばらくの間、滞在していただけないでしょうか。もちろん嫌であれば、無理にはおすすめしませんが、わたしとしては、この話を受けていただけるとありがたいです」


 思いもよらぬ申し出だった。


 今の今まで、この馬車から、降ろされてしまう可能性の方が強いと思っていたのに、全く反対のことを言われたのだ。


 わたしのことを、ただ憐れんでいるだけ、という可能性もある。


 しかし、客人として遇してくれるということは、少なくとも嫌われているということはないはず。


 好意を持っていなければ、こういう申し出はしないだろう。


「面白い」


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