第五十一話 悩むマイセディナン殿下 (異母姉サイド)
継母はさらに続ける。
「殿下とリンデフィーヌはもともと性格的に合わないと思っていました。その内、リンデフィーヌのことが嫌になり、つらくて苦しい思いをするだろうと思っていました。その時、殿下をお救いできるのは、ルアンチーヌだと思っていたのです」
殿下はそれに対して、
「それで、わたしを救いたいと思って、わたしのところに来たのだな?」
と言ったのに対し、
「そうでございます。ルアンチーヌであれば、きっと殿下は気に入っていただけると思います。そして、リンデフィーヌから殿下を救うことができると思っています」
と応えていく。
それにしても、継母は大したものだ。
自分の欲求を全面的に押し出している。
確かに継母との打ち合わせの中で、継母は、殿下に自分の思いを伝えたいとわたしに言っていた。
しかし、もう少し柔らかめの内容になると思っていた。
それが、リンデフィーヌの母親とリンデフィーヌに対する敵意むき出しの内容になっている。
殿下はこれを聞いて、嫌になったりはしないのだろうか?
継母もこれくらいは大丈夫だと計算して言っているのだと思いたい。
わたしは継母に任せると言っているのだから……。
とはいっても、心配するなという方が無理な話だ。
そう思って殿下の表情を伺う。
少し困惑しているところは残っているようだ。
それはそうだろうと思う。
しかし、怒っている様子はない。
わたしにとっては意外だった。
聞いていて、決して気分のいい話ではないと思うが、理解は多少なりともしているのかもしれない。
そして、継母は威儀を正した後、
「殿下、どうかお願いでございます。リンデフィーヌを婚約者としてお迎えください。よろしくお願いします」
と言って頭を下げた。
ついに継母は殿下にお願いをした。
今日は、殿下にいい印象を持ってもらうことを第一目標にしてきた。
それが、予想外のスピードでここまで来てしまった。
正直言って、戸惑いの方が大きい。
わたしが思うに、最初に殿下に冷たい態度を取られたので、普通の対応をしていたのでは婚約どころか好意を持ってもらうことも難しい、と継母が判断し、計画を急遽変更したのが、このスピードにつながっていると思う。
話自体は婚約をするかどうかというところまで来た。
ただ、わたしへの好意は持っていただいているのだろうか?
容姿には自信があるし、殿下好みのゴージャスさも持っていると思う。
しかし、まだ殿下とわたしはほとんど話ができていない。
そういう中で、わたしのことを婚約者として迎えてくれるのだろうか?
ますます心配になってくる。
しかし、ここまできた以上は、殿下に婚約者として認めてもらうしかない。
わたしも、
「お願いします」
と言って頭を下げた。
殿下は、腕を組んで悩み始めた。
しばらくの間悩み続ける。
わたしたちはその間も、殿下に一生懸命お願いをし続ける。
遊び相手としてであるならば、殿下のそばにいられるかもしれない。
しかし、それではだめだ。
なんとしてでも婚約者にならなくてはならない!
そう強く思った時、殿下は、
「あなたたちのお願いを受け入れることにしよう。ルアンチーヌよ。わたしはあなたと婚約することにする」
と言った。
殿下にこの思いが通じた!
わたしたちは、一気に喜びに包まれていく。
これほどうれしいことはなかった。
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