第四十八話 継母に反発するわたし (異母姉サイド)
継母は、わたしが継母の思い通りに動けば、殿下の婚約者になることができると言っている。
継母に服属させられるような気がして、嫌な気持ちになっていた。
しかし、それ以上に、婚約者になりたいという気持ちは強かった。
わたしは、今だけは継母の言うことに従おうと思った。
「お継母様。おおせの通りにしたしたいと思います。お継母様の思い通りに動くことを約束いたします」
わたしはそう言って頭を下げた。
下げるのは嫌だったが、仕方がない。
「なかなかいい心がけね」
笑い出す継母。
そこには、わたしを見下すところがあった。
しばらくの間、笑った後、
「それではわたしのかわいい娘が殿下の婚約者になれるよう、尽力しましょう」
と継母は言った。
なにが「かわいい娘」よ。
本心では一度も思ったこともないくせに!
そう思うが、言うことはできない。
「よろしくお願いします」
わたしはそう言うしかなかった。
それからわたしは継母に、殿下と婚約する為の作戦を授けられた。
それはかなり細かいものだった。
殿下がわたしのことを好きになってもらう為の作戦が良く練られている。
継母のことは好きになれないが、この作戦は大したものだと思った。
殿下の好みというものを良く把握しているし、この作戦通りにいけば、殿下の婚約者になれる気がしてきた。
「どう? あなたの為にここまで立ててあげたのよ。感謝してね」
胸を張って言う継母。
いちいち今日の継母には腹が立ってしょうがない。
ここまで腹が立つのも、最近はなかったことだ。
それだけ今日の継母は、わたしに対して優位に立っている。
それでもわたしは言わなければならなかった。
「ありがとうございます」
思わず涙が出そうになる。
しかし、継母の思い通りに動くことを約束してしまったのだ。
その通り動き、殿下の婚約者になっていく。
婚約者になってしまえばもうこっちももの。
継母は、わたしを殿下の婚約者にすることにより、公爵家の実権を握りたいと思っているようだ。
婚約者にあることができたのは、自分のおかげ。
そういうことをわたしに対して印象づける。
そして、
「わたしは公爵家の実権を握りたいと思っている。あなたを婚約者にしてあげたのだから、それくらいは言ってもいいと思っているし、当然のことだろうと思う。継母とはいっても、わたしはあなたの母親なのだし、母親のことは大切に思っているでしょう。わたしの方だって、あなたのことを大切に思っている。その母親が頼んでいるのだから、この頼みは聞いてもらえると思っているわ」
と言ってくると思う。
そうすれば、わたしは何も言えないだろうと思っているに違いない。
普通の人だったら、言えないだろうと思う。
しかし、わたしは違う。
殿下の婚約者、そして王妃になれば、その権力を使い、絶対に継母の思い通りにはさせない。
今はとにかく我慢だ。
継母からどんなに優位性を誇示されても、微笑むぐらいの気持ちでいこうと思う。
わたしは自分にそう言い聞かせていく。
「それでは今日から、作戦を開始することにしますよ。まずはあなたが殿下好みの女性になっていくこと。よろしいわね」
継母がそう言うと、わたしは、
「わかりました。お継母様のご期待通りにいたします」
と言って無理やり微笑んだ。
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