第四十七話 悔しいわたし (異母姉サイド)
わたしが殿下の婚約者になり、王妃になると、公爵家当主と兼任することになるが、それについては問題ないと思っている。
領内経営などどうでもいい。
領民はわたしが贅沢をする為にあるのだ。
従わないものがいたとしても、弾圧すればいいだけのことだ。
父はすぐに了承してくれるものと思っていた。
しかし……。
婚約者候補はリンデフィーヌに決まってしまった。
継母も強力に推していたにも関わらずにである。
わたしは、父とリンデフィーヌに腹が立った。
結局のところ、リンデフィーヌの母の影響力は、こういうところにまで残っていたのだ。
しかも、それからしばらくして、リンデフィーヌは正式に殿下の婚約者になった。
これはわたしに大きな打撃を与えることになった。
どうしてわたしが婚約者じゃないのだろう。
わたしの方がゴージャスなのに……。
しばらくの間、悲しみに沈んでいた。
しかし、いつまでもそうしているわけにはいかない。
こうなったら、せめてこの王国で一番といえるほどの贅沢をしよう。
それで領民が苦しもうが、どうでもいい。
そう思い、心を切り替えることにした。
継母も、自分の嫌いなリンデフィーヌが婚約者になったことで大きな打撃を受けていた。
わたしとしばらくの間、話も出来なかったほどだ。
しかし、やがてその打撃から立ち直ると、わたしにこういう話をしてきた。
「わたしの情報だと、殿下とリンデフィーヌの関係はうまくいってないらしい。もともとあなたのようなゴージャスな人が好みだったのに、そういう人ではないのだから。まあもっと言うと、わたしが結婚していなければ、わたしが婚約者になっていただろうけど」
普段は、わたしに嫌味を言わなくなっている継母だが、このように言う時もある。
やはり、本質的には、わたしのことは決して好きではないのだろう。
継母に反論したい気持ちになるが、それは我慢する。
「それはそうかもしれません。お継母様は、わたしよりもはるかにゴージャスですから」
「あら、あなたもわたしを褒めてくれるのね」
と言って継母は笑った。
人のことを見下した笑いだが、ここも我慢する。
「とはいうもの、もう間もなくすると結婚までいくことには変わりないように思いますが」
「そんなことはない。あなたにもまだチャンスがあるわ。殿下はゴージャスな方が好み。あなたなら、絶対に殿下の婚約者になることができると思っているわよ」
やけに自身満々だ。
「そんなことが可能なのでしょうか?」
「もちろん。とはいっても、わたしの思い通りに動いてもらう必要があるわね。それができると約束してほしいと思っているわ」
「思い通りに、とはどう言う意味でしょうか?」
「言葉通りの意味よ。わたしが思ったことにはすべて従ってもらいます。そうすれば殿下の婚約者になれるわ」
継母の話をこうして聞いていると、腹がだんだん立ってくる。
表面上はわたしのことを思って言っているようだけど、内心は見下していることが言葉の調子から伝わってくる。
特に、
「わたしの思い通りに動いてもらう」
というところが、どうしても腹立たしく思ってしまう。
わたしは継母と対等でいたい!
そういう気持ちは強かった。
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