表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

45/137

第四十五話 殿下の馬車に乗っているわたし

 わたしは今、殿下の馬車に乗っている。


 しかも、なんと、殿下の隣にいる。


 ハンサムで凛々しくて、生命の危機にあったわたしの前に颯爽と現れ、あっという間に賊を撃破したお方。


 この素敵なお方のおそばにいる。


 夢のような話だ。


 つい先程までは、生命を失いかけていたのに、ここまで運が好転するとは思わなかった。


 微笑んでいる殿下。


 なんと素敵な微笑みなのだろう。


 心がとろけていく。


 このままずっと殿下のおそばにいられるといいんだけど……。


 王都に行けば、そこでお別れ。


 殿下とわたしは、身分が違いすぎるので、会うことすらかなわなくなるだろう。


 だから、今だけは、殿下と一緒にいる幸せをかみしめていきたい。


 殿下とわたしの間には、隙間がある。


 これがもどかしいところだ。


 もう少しで殿下と接することができるのに、と思う。


 殿下と接して、そのやさしさをもっと味わっていきたい。


 そして、抱きしめていただきたい。


 さらに、


「リンデフィーヌさん、好きです」


「殿下のことが好きです」


 と愛の言葉を交わして、唇と唇を重ね合わせたい……。


 ああ、殿下。


 わたしは殿下のことがどんどん好きになっています。


 もしかすると、前世で会っているかもしれません。


 そして、前世で結婚の約束をしていれば、とても素敵なことだと思います。


 前世でのことは思い出すことができませんが、会ってすぐになつかしさを覚え、こうして好きになってきているのですから、殿下との縁はあると信じています。


 わたしはこの想いを殿下に今伝えたいと思った。


 しかし、思ってはいても、殿下と出会ってまもないわたしに、その想いを伝える気力は出てこない。


 伝えることができないのならば、せめて殿下との隙間を埋めていきたいと思う。


 埋めることができれば、抱きしめていただくところまではいかないにしても、殿下との心の距離は少し縮めることができると思う。


 殿下の方から埋めてくださるといいんだけど……。


 と思ってきて、わたしは急激に恥ずかしさに襲われた。


 今日会ったばかりだと言うのに、どうしてすぐこういうことを思ってしまうのだろう。


 こんなことを思っていたら、はしたない女性と思われて、嫌われてしまうのでは?


 殿下はやさしい方なので、嫌われることはないかもしれない。


 でも恋人にしたいとは思わなくなるかもしれない。


 それは避けたいところだ。


 いや、避けたいという問題ではない。


 わたしの身分で、殿下と結婚などできるわけがないのだ。


 とはいっても、殿下にはいい印象をもっていただいて、お別れをしたいと思っている。


 たまにしか思い出すことはないかもしれない。


 それでも思い出した時に。いい思い出になってもらえるとうれしい。


 殿下と唇を重ね合わせたいというようなことは、想わないようにするべきだろう。


 とにかく今は、殿下の隣にいるだけで幸せ。


 その幸せをじっくりと味わっていきたい。


 そう思っていると、急速に眠くなってきた。


 それだけ緊張の連続で疲れていたということだろう。


 殿下とこれから話をしていきたいところだったが、疲れには勝てない。


 一度寝て、体力が少し回復したところで、話をすることにしたいと思う。


「殿下、申し訳ありません。眠くなってきました」


「疲れたでしょう。ゆっくり眠ってください」


 やさしく言う殿下。


「ありがとうございます」


 わたしはそう言うと、眠りに入っていった。


「面白い」


「続きが気になる。続きを読みたい」


と思っていただきましたら、


下にあります☆☆☆☆☆から、作品への応援をお願いいたします。


面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直に思っていただいた気持ちで、もちろん大丈夫です。


ブックマークもいただけるとうれしいです。


よろしくお願いいたします。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ