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第三十二話 歩き続けるわたし

わたしは今、リランギュール王国の王都へ向かって歩いている。


公爵家から追放されてもう九日目になっているところだった。


公爵家にいたことが、まだそれくらいの日数しか経っていないのにも関わらず、はるか昔のことのように思えてくる。


国境を越えたのは三日目。


一日目から六日目までは、丘はところどころあったものの、割合平坦な道を進んでいた。


しかし、歩きなれていないわたしにとって、決して楽な道のりではなかった。


雪が止んでいる時はそれでもいい方。


足は痛くてつらいし、寒さもあるが、それでもわたしにとって適度な速度で歩くことはできる。


しかし、雪が本降りになった時は、視界もきかなくなるし、なにより冷たい雪が体に吹き付けて、我慢の限界を越えるほどの寒さが襲ってくる。


そして、足も雪に埋もれたりするので、歩くのが困難になる。


歩けなくなりそうになることもあったが、その度に心を立て直し、何とか歩いていた。


歩く旅人だと、泊まった宿屋より朝から出発すれば夕方には次の宿屋につくのが普通だ。


しかし、わたしの場合は、ただでさえ歩きなれてなくて足が遅いのと、雪に妨げられて、たどりつくのはいつも夜になってからだった。


今のところは無事にきているが、夜の一人歩きは危険なので、できれば避けたいところだ。


それにはもう少し歩く速度を上げなくてはいけないのだけど。


雪がない季節ならまだ速度を上げることができる可能性があるが、今の季節は難しい。


このまま無事にいくことを願うしかなかった。




七日目。


王都へ進む道は二つあった。


一つは川沿いを進む道。


もう一つは山を越える道。


川沿いの道は、山が川の両岸に険しくそびえ立つ地域の川沿いにある道で、坂道はあるが、だいたいはなだらかな道を進むことになる。


険しいところはない道だ。


わたしのように、体力のない人間はこちらの方があっているのかもしれない。


雪もそこまで深く積もっていなさそうだ。


それに対して、山を越える道は、険しい山を越えていかなければならない。


雪も深く積もっているところがありそうだ。


こうしてみると、川沿いの道の方がよさそうだが、距離が違う。


山を越える道の方が距離は短い。


足に自信がありそうな人であれば、距離の短い分、時間は短縮できそうなので、こちらを進むのもいいかもしれない。


わたしも出発前、時間短縮の意味で、少しこちらのルートを検討したことはあった。


しかし、こちらのルートの場合、体力を山越えで使い果たしてしまったら、そこで倒れてしまうことになる。


それでは全く意味がなくなってしまう。


それで、公爵家の屋敷からの出発時点からこの日の出発前までは、川沿いの道を行く十日間の旅を予定していたのだけど……。


この川沿いの道は、最近、二つの賊の勢力が拡大してきて治安が悪化している、という話を六日目の夜から七日目の朝に泊まった宿屋の主人から聞いた。


「もともとは川沿いの道が王都へ行くメインルートになっている。こちらの方が体力を使わなくてすむし、途中に大きな宿屋もある。山越えだと、険しい坂道を登っていかなくてはいけないから、どうしても敬遠する人が多い。しかし、この川沿いの道を行く旅人たちは、その賊に襲われることが増え始めているんだ。二つの勢力は、ライバル関係にあり、ケンカをすることも多い。しかし、協力して旅人を襲うこともある」


主人は心配そうに言う。


「面白い」


「続きが気になる。続きを読みたい」


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