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第二十四話 お父様のやさしい言葉

 お父様の話は続く。


「お前なら大きい気持ちで、皆様をやさしく包んであげることができる。そういう方向に進んでほしい」


「もっと大きい気持ちを持ち、長い時間を使って、殿下や王室の方々をやさしく包んでいくということですね」


「そうだ。お前は意外と気が短いところがある。皆様との仲についても、仲良くなることを少しあせっているところがあると思う。もちろん、そういうところに婚約者として行かせてしまったことは申し訳ないと思っている。しかし、わたしは、お前が殿下の婚約者になることが、殿下の為、王国の為、そして、お前の為になると信じている。この気持ちは理解してほしい」


「理解したいと思います」


 わたしがそう言うと、


「ありがとう」


 と言ってお父様は、また少し涙を流す。


「とにかく冷たい仕打ちを受けても、やさしい心で接していきなさい。そうすれば、王室の多くの方々がお前を慕うようになるし、殿下もお前のことが好きになる」


「そうなっていただけるといいと思っています」


「お前にならできる。きっといい王妃になれる。そして、お前には内政の才能がある。わたしに今までこの領内の経営について、いろいろアドバイスをしてもらった。そのおかげで、この公爵領はかなり豊かになった。この王国は、今はそれほど豊かではないが、お前が殿下や王室の方々にアドバイスをしていけば、きっと豊かな国になっていくと信じている。もちろん今はアドバイスできる状態ではないと思う。しかし、皆様と親しくなっていくと同時にアドバイスもしていくようにしていくことが大切だと思う。そうすればお前に対する殿下や王室の方々の好意は、ますます増していくと思う。理想的な話をしていると思うし、難しい話をしていると思うが、お前ならできると信じている」


「お父様のご期待に沿えるよう、一生懸命努力していきたいと思います」


 お父様も、『理想的な話』『難しい話』と言っている。


 大きい困難が予想され、それだけでも気が遠くなってくるが、『お前ならできると信じている』と言われたら、その実現に向かって進むしかない。


「期待しているよ」


 そう言うとお父様は、微笑んだ。


 しかし、だんだん疲れてきている様子。


 ここ数日の状態からすると、これだけ話ができるだけでも奇跡的なことだ。


「リンデフィーヌよ。後一つだけ話をしていきたい」


「苦しくはありませんか? 侍医をお呼びしましょうか?」


「少し苦しいが、これくらいなら大丈夫だ。いずれにしても、もう長くはない。多分お前とこうして話ができるのも、これが最後だと思う」


「そんなことはおっしゃらないでください。お疲れになってきているようなので、少し休まれて方がいいと思います。まだまだ生きていただかなければなりません」


「そう言ってもらえるだけありがたいと思う。でももう少しだけ話をさせてくれ」


「お父様、お疲れなのに……」


「話というのは、イゾルレーヌとルアンチーヌのことだ」


「お母様とお姉様のことですね?」


「そうだ。二人とお前の仲が悪いことはわたしも理解はしている。『わたしはイゾルレーヌを愛しているし、ルアンチーヌも愛している。そして、リンデフィーヌも愛している。みんなで仲良くしてほしい』ということをお前たち三人には言っていた。でも二人は、決してお前との仲を良くしようとは思わなかった。お前の方は仲良くしようという努力をしていたのに……。お前にはつらい思いをさせて申し訳ないと思っている」


 そう言うと、お父様はまた涙を流し始めた。


「面白い」


「続きが気になる。続きを読みたい」


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